大規模修繕工事|工事内訳⑪鉄部塗装工事

丹波良太

あなぶき加賀城建設 マンション修繕工事担当 丹波です。

シリーズで実際の工事内容、各工事内訳項目(どんな工事をするのか)の内容について、数回に分けてご紹介したいと思います。

今回は⑪鉄部塗装工事について書きたいと思います。
鉄部塗装の必要性・適切な実施時期などは、大規模修繕工事の基礎知識~鉄部塗装編~ にてご紹介しています。
今回は、内訳として事前に指定しておきたい仕様や検査方法について書きたいと思います。

目次

  • 主なケレン(錆落し)の種類
  • 主な錆止め材の種類
  • 主な上塗り材の種類
  • 鉄部塗装の一工夫
  • 鉄部塗装の検査
  • まとめ

 

 

主なケレン(錆落し)の種類

鉄部塗装で初めに大事なのがケレン作業になります。錆や汚れ・劣化した塗膜を除去することが大事ですが、どの程度まで除去するのかが次の3種類になります。

RA種:旧塗膜及び錆等を全面除去する。
RB種:劣化し脆弱な部分及び錆び等部分的に除去する程度。旧塗膜の状態の良い部分は残ります。
RC種:表面上の汚れのみ除去する程度。

ケレンのレベルはRA種>RB種>RC種となります。
RA種の場合、全面除去のため金額が高く、施工面でも機械で削りとったり、砂を吹き付けて塗膜を剥いだりと、住みながら施工する大規模修繕工事では採用されにくい仕様です。
大規模修繕工事では、RB種・RC種が採用されることが多いです。

主な錆止め材の種類

弱溶剤形エポキシ樹脂錆び止め塗料:旧塗膜をあまり選ばないので、大規模修繕ではこの材料が良く使われます。弱溶剤形エポキシ樹脂錆び止め塗料でもグレードがあるので、事前にメーカーや仕様を調べておくと良いでしょう。
強溶剤形エポキシ樹脂錆び止め塗料:橋梁やプラント・鉄塔などで使われる材料です。旧塗膜の状況により使えないことが有ります。

強溶剤の方が錆び止めの効果はありますが、旧塗膜を溶かし使用できないことがあったり、塗料の臭いが強いので大規模修繕では一般的に弱溶剤が選ばれます。
強溶剤・弱溶剤どちらにしても、きちんと規定量塗ることが錆止めとして重要です。

主な上塗り材の種類

ウレタン塗料・シリコン塗料・フッ素塗料と主に3種類あります。

劣化しにくい順・価格の高い順は外壁同様、フッ素>シリコン>ウレタンの順になります。

ウレタンは数年でチョーキング(塗装の劣化により、白くチョークのようなものが付く現象。)をすることがあるので、中間のシリコンを大規模修繕では選ばれることが多いです。
ウレタンとシリコンの金額差は材料代だけなので、価格の大半を占める人件費と比べれば若干のUPで表面の耐久性がUPします。
個人的にはシリコン塗料の上塗りにすることをお勧めします。

鉄部塗装の一工夫

錆び止め成分の入った塗料へ変更(※玄関枠のみ
鉄部塗装で、玄関扉の枠も塗装することがあります。
通常の鉄部塗装の場合、ケレン→錆止め→上塗り×2回となり、早く乾いても1日は扉をあけたままにしておかなければいけません。
扉をあけたままということは、丸一日在宅して頂く必要があります。
そこで、塗料に錆止め成分が入った上塗りを使用すると、錆止めの作業が必要なくなるため約半日で作業完了することが出来ます。
居住者様の負担軽減を考え、塗料に錆止め成分が入った上塗を玄関枠に限り選ぶと良いでしょう。

鉄部塗装の検査

鉄部塗装では、きちんと錆止め・上塗りが規定量塗られているかが重要になります。
コンクリートの一般外壁と違い、鉄の塗装の為、機械を使うことで鉄との距離を測定し塗圧を計測することができます。
施工前・施工後に同じ場所で計測することでどれだけ塗厚があるか確認出来ます。(膜厚検査状況写真参照)
ちなみに、コンクリートの一般外壁は試験施工と塗装面積に対して使用した塗料の量(出荷証明により確認)で塗布量が規定を超えていることを確認します。

まとめ

鉄部塗装の仕様は、ケレン→RB種・錆び止め材→弱溶剤型エポキシ樹脂錆び止め塗料・上塗り材→シリコン塗料がお勧めです。
玄関枠のみ錆び止め成分の入った塗料にすると居住者の負担軽減になるでしょう。
また、鉄部塗装は塗厚みが非常に重要になります。
必ず、施工前・施工後の膜厚を確認し、規定量の塗厚みが塗られているか確認すると良いでしょう。

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丹波良太

あなぶき建設工業 丹波 良太(たんば りょうた)
以前は、新築工事にたずさわり建物を建てる・作る側の人間でした。現在は、マンション大規模修繕工事の現場管理をしています。担当エリアは北部九州です。出来たマンションを直す仕事です。建物を建てた経験を今は直す事に活かせています。
好きな事は、神社めぐり。心をおちつかせたり、パワーをもらったり。
いつもお参りできるように5円玉を常備しています。

保有資格:1級建築士・1級建築施工管理技士
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