大規模修繕工事|業者選定業務(公募編)

丹波良太

あなぶき加賀城建設 マンション修繕工事担当 丹波です。

これまで、「事前に準備しておきたい〇〇、建物調査診断、改修設計業務、仕様・数量、工事内訳項目(どんな工事をするのか)、他」について御紹介してきました。
実は、今回ご紹介する業者選定業務までがコンサルタント業務になります。
今回は、業者選定業務の公募について書きたいと思います。

目次

  • 公募とは
  • 公募の主な方法
  • 公募要綱書の作成
  • 公募後の作業
  • まとめ

 

 

公募とは

大規模修繕工事施工業者から見積もりを取るにしても、どんな会社でもよいというわけではありません。
ある程度、条件設定をして、どの業者から見積もりを取るのか、公に募集する事を公募といいます。

公募の主な方法

では、公募といってもどんな方法があるのか。

館内公募

マンション内で募集する方法になります。
マンションの居住者の知り合いなどから募集する方法です。
見積参加業者が少ない場合がありますが、全く見ず知らずの所からは応募が無いので信用できる会社が集まりやすいです。

新聞公募

文字通り、工事関係の新聞などで募集する方法です。
多くの施工会社から応募がある可能性があります。公募条件等である程度のラインを決めておく必要があります。
信用できる会社か、公募後に慎重に検討する必要があります。

ホームページ公募

最近、設計事務所のホームページから募集を呼びかけているものもありました。
正直、未知の応募方法になりますが、新しい方法だと思います。
ホームページの閲覧数(設計事務所の実績・規模)によって多く開かれたものになるのか、そうでないのかに別れると思います。

公募要綱書の作成

施工会社を決めていくにあたって、実績・資本金・現場代理人(予定)など、見積してもらう業者の最低条件を決めていきます。
また、施工会社も見積もりをするのに工事の概要を知る必要があります。
これらを盛り込んだものが公募要綱になります。

公募要綱(例)

・工事概要

工事名称・工事場所・発注者・建物概要(マンション名・敷地面積・建築面積・延床面積・構造・規模・戸数・竣工年月)・対象工事範囲(下記その他のブログ 工事内訳①~⑭参照)・工事期間

・公募提出先

・公募期間

・参加資格

本工事を管轄する事業所(本店・支店・営業所)が●●市にある事。(アフターを考え、マンションに近い方が良いと思います。)
資本金が●千万円以上ある事。(資本金額を大きくすれば大きな会社しか応募できませんし、逆に資本金額を小さくすると小さい会社も応募視してくる可能性が有ります。応募会社は多い方が良いですが、保証期間中に倒産してもらっては困ります。どの程度の会社にしてもらうのかを考え、資本金額を決めると良いでしょう。)
建設業法による特定建設業の許可(建築工事業・塗装工事業・防水工事業等)を受けている事。
●●県内において、総戸数●●戸以上(当マンションと同じ規模以上)かつ●●階建て以上の分譲マンション大規模修繕工事(賃貸・と分譲ではお客様対応が異なる為)の実績が、直近●●年で●●件以上。
分譲マンション大規模修繕工事の経験が豊富な技術者が現場担当者として常駐出来る事。
過去●●年以内に支払い不能等の経理事故を起こしていない事。
過去●●年以内に発注者(管理組合等)との紛争又は法的トラブルを起こしていない事。
メーカーとの連名でアフターケアを行える事。
工事の履行保証及び瑕疵担保保証保険に加入出来る事。
対人対物1事故につき●億円以上の工事保険に加入出来る事。

・指定提出書類

参加表明書
会社登記簿謄本(写)
建設業許可証明書(写)
直近●●期分の決算報告書(写)
過去●●年間の大規模修繕工事施工実績書(発注者名・マンション名・所在地・階数・住戸数・工事内容・完工高を明記)
現場担当者経歴書(氏名・生年月日・資格・職歴・過去●●年間の施工実績を明記)
工事賠償責任保険証券(写)

以上の様な条件設定をして、施工業者を募集していきます。

業者選定業務の流れ

①公募方法の選択。
②公募要項の作成。
③公募開始・締切
④施工者候補選択
⑤見積依頼・落選通知

①・②は同時に検討する事もあります。

④施工者候補選択するにあたって、まず参加資格の確認をします。
参加資格審査に関する提出書類を基に参加者が参加資格に満たしているか否か確認します。
参加者数によっては、基準を全て満たしていなくても見積依頼をすることもありますが、最終段階で落選する事が多いです。
施行者候補が決まったら、⑤見積依頼・落選通知をします。

以上の様な流れで公募していきます。

見積依頼については、次回 業者選定業務(見積取得編)でご紹介します。

まとめ

公募は施工業者選定の一番初めのステップになります。
慎重に選別していくためにも、条件設定(基準)をきちんと決めていくことが重要です。

これまでのブログタイトル!
リンクしていますのでクリックしてみてください。

事前に準備しておきたい外壁タイル
事前に準備しておきたい代替駐車場
事前に決めておきたい乾燥機のルール
施工時期はいつがいいの?
実は支払条件って大事

①共通仮設工事
②直接仮設工事
③下地補修工事(塗装下地編)
④下地補修工事(タイル編)
⑤シーリング工事
⑥防水工事(アスファルト防水編)
⑦防水工事(塩ビシート防水編)
⑧防水工事(ウレタン防水編)
⑨防水工事(共用廊下・バルコニー・階段編
⑩外壁塗装工事
⑪鉄部塗装工事
⑫その他工事(玄関扉取替工事編)
⑬その他工事(共用照明LED取替編)

⑭その他工事(金物編)

仕様書・数量
建物調査診断
業者選定業務(改修設計編)

業者選定業務(見積取得編)

業者選定業務(ヒアリング編)

塗装体験会

 

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丹波良太

あなぶき建設工業 丹波 良太(たんば りょうた)
以前は、新築工事にたずさわり建物を建てる・作る側の人間でした。現在は、マンション大規模修繕工事の現場管理をしています。担当エリアは北部九州です。出来たマンションを直す仕事です。建物を建てた経験を今は直す事に活かせています。
好きな事は、神社めぐり。心をおちつかせたり、パワーをもらったり。
いつもお参りできるように5円玉を常備しています。

保有資格:1級建築士・1級建築施工管理技士
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