どうしよう!! マンション管理組合の役員になっちゃった!(大規模修繕工事編PART⑩)

株式会社ツツミワークス工事統括本部の吉橋です。

前回は、【 大規模修繕工事実施編 着工後 片付け・広報 】について一連の流れをご説明させていただきました。

まだ過去のブログをお読みでない読者様がいらっしゃいましたら、ストーリー仕立てでお届けをしておりますので、是非とも1回目の投稿よりお読みになって頂ければと思います。

 

第1回目のブログ【 一体なにからはじめればいいの? 】はこちらをクリック

第2回目のブログ【     建物の現状を知る    】はこちらをクリック

第3回目のブログ【 建物の現状が分かったその後は 】はこちらをクリック

第4回目のブログ【 建物の現状が分かったその後は 】はこちらをクリック

第5回目のブログ【    いよいよ最終段階!    】はこちらをクリック

第6回目のブログ【    工事着工前に行うこととは①    】はこちらをクリック♪

第7回目のブログ【 工事着工前に行うこととは②届出・申請編 】はこちらをクリック

第8回目のブログ【 工事着工前に行うこととは③仮設計画・特注作成品計画 】はこちらをクリック♪

第9回目のブログ【 大規模修繕工事実施編 着工後 片付け・広報 】はこちらをクリック♪

第10回目のブログ【 大規模修繕工事実施編 直接仮設 下地・タイル補修工事 シーリング工事① 】はこちらをクリック♪

第11回目のブログ【 大規模修繕工事実施編 下地・タイル補修工事 シーリング工事② 洗浄工事 塗装工事 防水工事 】はこちらをクリック♪

第12回目のブログ【 大規模修繕工事実施編 改善追加工事 施工範囲の確認 竣工について 】はこちらをクリック♪

 

第10回目となる今回は、前回お話をさせていただきましたように

大規模修繕工事実施編 直接仮設  下地・タイル補修工事 シーリング工事①です。

前回までのお話で、このブログをお読みになっている読者さまは、

大規模修繕工事着工後、私物のお片付けが完了し、実際に直接仮設が開始される段階まで来ている状況ではないかと思います。

直接仮設が開始し、工事序盤の下地補修・タイル補修・シーリング工事に発生する要点をご説明させて頂きます。

直接仮設工事

直接仮設工事は大規模修繕工事を行う為の足場やゴンドラを仮設で設置する為の工事です。

単に足場仮設といっても枠組み足場・楔緊結式足場・次世代足場等足場の仕様も様々です。

また単にゴンドラといっても屋上等からワイヤーを垂らしそのワイヤーを利用しゴンドラが上昇下降するゴンドラ、鉄骨状のレールを立てそのレールを伝い上昇下降するワークプラットホーム等があります。

これらの直接仮設の仕様は工事計画時に決定されている事から直接仮設全般における注意点をご説明いたします。

   

     

直接仮設開始前に必ず片付けて頂きたい物

直接仮設はマンション外壁の形状に沿って下階から上階に向かって仮設物を組立て設置する工事です。

例えばマンションの外壁にCS・BSアンテナが空中に向かって設置されていると直接仮設の資材に干渉して組立工事が進められなかったり、大規模修繕工事期間中の汚損破損に繋がります。CS・BSアンテナは直接仮設工事前にお片付け頂き、大規模修繕工事中は休止のお手続きをして頂くことで、CS・BSの契約料の削減になります。直接仮設解体後にはCS・BSアンテナの契約会社再開のお申し出を頂くと復旧対応して貰えることが一般的です。

またマンションによっては専用庭ルーフバルコニー等専用使用権のあるスペースでもマンション建物沿いに設置されている私物は直接仮設に干渉し、直接仮設の設置が行えなかったり、汚損破損に繋がります。

これらは第9回目のブログでご説明したお片付け頂きたい物品の一部に含まれますが直接仮設を円滑に安全に進める処置として改めてご説明させて頂きました。

    

    

立ち入り禁止区画や通行制限区画又は通行止め区画

直接仮設時の資材の搬入出時及び、組立解体時では作業上危険なエリアが発生する為、立ち入り禁止区画通行制限区画又は通行止め区画を行い迂回して頂く場合があります。普段の生活動線と異なる状況が発生しますが、居住者の方や第三者との事故防止処置の為、大規模修繕工事中の立ち入り禁止区画や通行制限区画又は通行止め区画による迂回はご理解を頂き、ご協力ください。

施工業者もカラーコーンやバリケード等を用いて各区画を明確に行い、警備誘導員を配置します。しかし、中には区画や警備誘導員の誘導を無視して押し通る方がいるのです。無視して押し通る方の怪我や事故に繋がるだけでは無く、押し通られる度に施工を一時中断せざる得ない状況が発生し、その予期せぬ中断の事態により作業員に危険が及んだり、施工工程の遅延を招いたりと様々なトラブルが発生するのです。

それらを回避する為の立ち入り禁止区画や通行制限区画又は通行止め区画による迂回なので、大規模修繕工事中は特に施工業者の各区画に対してご理解頂き、ご通行時のご協力をお願い致します。

   

 

壁繋ぎ補強

直接仮設を設置する際に倒壊・変形防止や強風・暴風対策の為に、マンションの外壁と直接仮設を繋ぐ処置を行います。これらは一般的に壁繋ぎと呼ばれます。

この壁繋ぎは電動ドリルを用いてマンション外壁に穴を開け固定専用アンカーを打ち込み、そのアンカーに壁繋ぎ部材を取り付けて直接仮設を固定します。この作業時に発生するのが、粉塵と騒音と振動です。

   

 

粉塵対策

足場仮設が開始されると作業時に発生する粉塵が洗濯物に飛散し汚さない様にと、粉塵対策として洗濯物情報が発信される様になります。工事中に粉塵の影響が発生する範囲に洗濯物干しの制限がかかります。

洗濯物が干されていると、壁繋ぎが設置できずにそのエリアから作業が進まなくなってしまいます。

洗濯物を汚さない為の制限ですが、作業の中断や遅延に大きく影響が発生する為、大規模修繕工事中は直接仮設に限らず、洗濯物情報をご確認の上で、洗濯物干しをお願い致します。

   

騒音・振動

直接仮設工事時には騒音・振動が発生します。騒音や振動は施工箇所でないエリアへも、マンションの躯体や配管等を伝い広範囲に発生します。ですが、実際に工事を行っている箇所から離れれば離れる程に騒音・振動は減少します。この騒音・振動をストレスとして感じやすい方とさほど気にされない方が実際にいて個人差が出るものではあります。

個人でできる騒音・振動対策としては、まずご自宅の中で、施工箇所から離れたお部屋を騒音・振動対策の避難場所とすることです。やはり発生元から離れるだけ騒音・振動は減少するからです。コロナ渦でのリモートワーク時でのご対応にもこの様な対策をご案内しております。

またマンションによって異なりますが、集会室やコミュニティルーム等マンションの共用施設を工事期間中の避難場所として開放していた管理組合もいらっしゃいます。マンション全体でのご理解が必要となりますが、この手法につきましては、大規模修繕工事計画段階でご検討下さい。

 

安全作業を行う為の各区画や粉塵・騒音・振動に対するご理解とご協力を頂きながら直接仮設工事は進んで行きます。直接仮設工事が固まったエリアから、次に下地・タイル補修やシーリング工事が始まります。

 

下地・タイル補修工事 シーリング工事①

下地・タイル補修工事やシーリング工事は塗装工事や防水工事等のマンション外壁等の仕上げ工事を行う前に、健全な下地作りを行う重要な工事です。また粉塵が発生する工事は塗装工事等の仕上げ工事前に完了させ、高圧洗浄工事時にマンションに付着した汚れと共に粉塵を洗い流してから仕上げ工事へ進める為でもあります。

下地・タイル補修工事

下地・タイル補修工事はマンション外壁を目視・打診調査を行いマンション外壁のコンクリート・モルタル等の躯体やタイルの不具合部を、部分的に補修を行う工事です。不具合部の状況・内容によって補修方法を選定し補修を行います。

   

 

シーリング工事

シーリング工事は建物の外壁コンクリートのつなぎ目や外壁と窓サッシ・玄関ドア周囲などの隙間の劣化したゴム状素材を一旦撤去し新しく充填する工事が一般的です。水が直接かかる場所では防水性気密性美観性を、水が直接かからない場所では気密性美観性を確保する為の工事です。

   

 

下地・タイル補修工事 実数清算項目

大規模修繕工事では塗装工事での塗装面積等、計画段階で施工数量が積算可能な数量・金額確定項目と下地・タイル補修工事や防水層の不具合補修工事などの実際に直接仮設完了後に現地調査を行わないと施工数量が判明しない項目と大きく2つに分かれます。

現地調査を行わないと施工数量が判明しない項目を実数清算項目として契約することが一般的です。

この実数清算項目とは工事計画段階で、コンサルタント会社や管理会社又は施工会社の経験による予想数量を設定し、実際に調査・補修を行った数量を実数として、予想数量より減った項目を減額し、予想数量より増えた項目を増額し、数量の変動による差額を清算する項目です。

予想数量より実数が減る分には工事コストが削減されマンションにとってメリットが発生しますが、予想数量より大幅に実数が増えてしまう場合もあります。しかし施工数量が特定できずに数量及び金額に関するトラブルを回避する為にも必要な契約項目として一般的に採用されている形式なのです。

   

シーリング工事 実数清算項目

実際の不具合数量に応じて、下地・タイル補修工事や防水層の不具合補修工事が実数清算項目とされる事は一般的ですが、シーリング工事を実数清算項目とする場合もあります。

シーリング工事は先述の通り防水性と気密性と美観性の3要素を確保する為の工事です。一般的には計画段階で施工数量が積算可能な数量・金額確定項目として契約される工事ですが、3要素が確保されているのに、積算数量を全て施工してしまうのはもったいない!!と実数清算項目として契約されるマンションもあります。シーリング工事は大規模修繕工事では防水性を強く求められる工事項目ですが、

例えば直接水がかからず気密性と美観性に問題が無い様に見え、良く見ると軽微な美観性による経年劣化が発生している完全屋内の部位を想像して下さい。軽微な経年劣化を部分的に補修を行う事で工事金額の削減に繋がればと、、、

その様な考えからシーリング工事を実数清算項目とする事も可能なのです。

実数清算項目での下地補修工事は一般的に塗装工事や防水工事等の下地補修の為、調査時の不具合箇所は要補修箇所とされますが、タイル補修工事やシーリング工事の実数清算項目は施工部位や不具合状況によって清算することによって減額を起こす良い起爆剤となります。

   

実数清算項目まとめ

実数清算項目は、大規模修繕工事中に施工業者からの調査図や実数量、また補修部位の不具合・劣化状況の説明を受け、補修箇所の部位や状況によって取捨選択できることで工事金額の削減に利用して頂ければと思います。

まとめ

今回は大きく2点説明させて頂きました。

直接仮設が開始されると実際のマンション住生活環境に大規模修繕工事が大きく携わってきます。直接仮設では施工業者の安全配慮は当然ではありますが、マンション居住者の皆様のご理解とご協力があってより安全な工事が可能となります。

下地・タイル補修工事とシーリング工事での実数清算項目では、マンションの維持修繕にとって重要な項目である事と、大規模修繕工事完了時の工事金額変動に大きく関わってくる内容です。大規模修繕工事の計画段階で実数清算項目の選定・大規模修繕工事中での実数清算項目の取捨選択を十分にご検討下さい。

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