どうしよう!! マンション管理組合の役員になっちゃった!(大規模修繕工事編PART⑪)

吉橋秀太郎

株式会社ツツミワークス工事統括本部の吉橋です。

前回は、『大規模修繕工事実施編 直接仮設 下地・タイル補修工事 シーリング工事①』について一連の流れをご説明させていただきました。

まだ過去のブログをお読みでない読者様がいらっしゃいましたら、ストーリー仕立てでお届けをしておりますので、是非とも1回目の投稿よりお読みになって頂ければと思います。

第1回目のブログ【 一体なにからはじめればいいの? 】はこちらをクリック

第2回目のブログ【     建物の現状を知る    】はこちらをクリック

第3回目のブログ【 建物の現状が分かったその後は 】はこちらをクリック

第4回目のブログ【 建物の現状が分かったその後は 】はこちらをクリック

第5回目のブログ【    いよいよ最終段階!    】はこちらをクリック

第6回目のブログ【    工事着工前に行うこととは①    】はこちらをクリック♪

第7回目のブログ【 工事着工前に行うこととは②届出・申請編 】はこちらをクリック

第8回目のブログ【 工事着工前に行うこととは③仮設計画・特注作成品計画 】はこちらをクリック♪

第9回目のブログ【 大規模修繕工事実施編 着工後 片付け・広報 】はこちらをクリック♪

第10回目のブログ【 大規模修繕工事実施編 直接仮設 下地・タイル補修工事 シーリング工事① 】はこちらをクリック♪

第11回目のブログ【 大規模修繕工事実施編 下地・タイル補修工事 シーリング工事② 洗浄工事 塗装工事 防水工事 】はこちらをクリック♪

第12回目のブログ【 大規模修繕工事実施編 改善追加工事 施工範囲の確認 竣工について 】はこちらをクリック♪

 

第11回目となる今回は、

大規模修繕工事実施編 下地・タイル補修工事 シーリング工事② 洗浄工事 塗装工事 防水工事です。

前回までのお話で、このブログをお読みになっている読者さまは、

大規模修繕工事が着工して、直接仮設が完了し大規模修繕工事が開始される段階まで来ている状況ではないかと思います。

下地・タイル補修工事~防水工事に発生する注意点をご説明させて頂きます。

下地・タイル補修工事

大規模修繕工事では、塗装工事や防水工事に注目が集まってしまう事が多々ありますが、表面上のお化粧直しをする前に健全な下地を作ることが重要です。工事については剥落の恐れがあるマンション外壁等のコンクリート・モルタル層や外壁タイルの不具合箇所を補修する工事で、前回説明させて頂いた通り補修数量に応じて工事費用を実数清算する工事項目です。

下地・タイル補修工事で不具合状況に応じて補修方法を選定し補修を行います。また下地・タイル補修工事では騒音・振動・粉塵が発生します。騒音・振動・粉塵の発生状況については、補修数量が少なければ短期間で終息しますし、補修数量が増大すれば長期に亘って発生します。

騒音・振動・粉塵については第10回で説明した直接仮設時と同じ内容になりますのでそちらをご参照頂ければと思います。

不具合箇所を全て補修することが可能であれば補修を実施することが望ましいですが、マンションによって予算があるかと思います。

美観的にも然程問題の無い欠損補修を補修対象から除外したり、タイルが万が一剥落した場合でも人的にも物的にも被害が発生しないような低層階の箇所等を補修対象から除外したりすることが可能な場合があります。

マンション管理組合として限りある修繕積立金です。予算に応じての補修対象の選定については、施工業者と設計コンサルタントとよく打合せを行って頂く事が望ましいです。

 

シーリング工事

シーリング工事は防水性と気密性と美観性が求められる工事です。

シーリング材は施工部位に応じてシーリング材質を選定しますが有機溶剤を使用している為、臭気が発生します。臭いに敏感な方はお部屋内の換気を行うことで臭気低減対策をとって頂く必要があります。

シーリング材は既存の古いシーリング材を撤去し、新しいシーリング材を充填します。充填後硬化するまでに時間を有します。

施工業者はシーリング打ちたての注意張り紙をしますが、触らない様ご注意下さい。注意張り紙を張っていますが、硬化しているのか気になる方が故意に触ってしまう場合があります。注意張り紙が剝されるまでは、絶対に触らないで下さい。

前回にも記載しましたが、施工が必要なシーリング部位と施工が不要なシーリング部位があります。マンション管理組合として限りある修繕積立金です。予算に応じてのシーリング工事対象の選定については、施工業者と設計コンサルタントとよく打合せを行って頂く事が望ましいです。

洗浄工事

下地・タイル補修工事とシーリング工事が完了すると高圧洗浄工事を行います。一般的に塗装面や防水面は常温高圧洗浄や温水高圧洗浄を行います。外壁がタイル面の洗浄方法では、常温高圧洗浄、中性洗剤使用洗浄、 薬品洗浄、温水高圧洗浄の四つが一般的な仕様です。

但し、中性洗剤使用洗浄と薬品洗浄を選定される際にはご注意下さい。マンション周囲に植栽帯がある場合には洗剤や薬品が流れ込む場合があります。その際に草木が枯れてしまう恐れがあるからです。また駐車場等が近接している場合も洗剤や薬品の飛散によって車等を変色させてしまう恐れがあるのです。マンションの作りや立地条件によって洗浄の仕様を選定され、洗浄仕様によって工賃も変わりますが、周辺環境を考慮した選定を行って頂く必要があります。

塗装工事

一般的な大規模修繕工事では外壁塗装工事と鉄部塗装工事の2つがあります。

外壁塗装工事

外壁塗装工事は名称通り壁・天井を塗装する工事です。

大規模修繕工事では塗装工事期間中に窓が塗料で汚れない様に養生(ビニールで覆い)をする為、窓が開けられなくなります。窓が開けられなくなる為、バルコニーに出られなくなります。

塗装仕様は様々な種類があり仕様によって塗装工程数が異なりますが、塗装工程数が多い仕様になればなるほど、バルコニーに出られなくなる期間が増えるのです。一般的には6~10日間程度連続してバルコニーに出られない期間が発生します。玄関扉については出入りが可能な様に養生を行うのが一般的です。

バルコニーが使用できないと洗濯物を干せなくなってしまいます。一般的には、ご家庭の乾燥機やコインランドリーの乾燥機を活用して対策して頂くことが多いです。稀に、洗濯物対策として、別途マンションで共有の乾燥機を仮設でマンション空きスペースに設置されるケースもあります。乾燥機のリース料や電気代、乾燥機の使用ルール決め等諸問題が発生します。仮設の乾燥機を設置検討される場合は、施工業者や設計コンサルタントとよく打合せを行って頂く事が望ましいです。

鉄部塗装工事

鉄部塗装工事は名称通り鉄部を塗装する工事ですが、鉄部塗装工事の中でも雨樋等の塩ビ製品やバルコニーにある隔て板も鉄部塗装工事の項目として塗装を行う事が一般的です。

鉄部塗装工事の材料は一般的に有機溶剤系の塗料を使用する為に臭気が発生します。臭気対策についてはシーリング工事と同様の為、割愛致します。

鉄部塗装工事は、発錆を抑えて美観を回復させる事を目的として、既存の塗装面に塗装を塗り重ねていく工事内容が一般的です。1回目の大規模修繕工事であまり発生しませんが、第2回目や第3回目の大規模修繕工事では、塗装が塗り重ねられていく為に塗膜の厚みが増す事によって扉等の開閉不良が発生する場合があります。改善策として開閉不良の原因となっている部分の塗膜を剥がしてから塗装を行う場合があります。既存の状況と鉄部塗装工事を行う事で起こりうる弊害を施工業者や設計コンサルタントとよく打合せを行って頂く事が望ましいです。

 

防水工事

防水工事では大きくバルコニーや共用廊下等の床防水工事と屋上等の屋根防水工事の二つがあります。防水工事の仕様も塗装工事同様にマンションの構造や部位によって様々な仕様があります。

床防水工事

床防水工事では一般的にバルコニーでは全面ウレタン防水とウレタン防水・長尺塩ビシート複合防水の2つがあります。共用廊下等ではウレタン防水・長尺塩ビシート複合防水で施工することが一般的です。

全面ウレタン防水は防水材が硬化するまで立ち入る事が出来ない為、共用廊下等の日常生活の動線では適さず、先述の仕様が一般的なのです。防水の仕様選定は、機能性は元より意匠性にも関わってくる為、仕様選定時に施工業者や設計コンサルタントとよく打合せを行って頂く事が望ましいです。

屋根防水工事

屋根防水工事はマンション全体を保護する目的で長期保証がつく仕様で施工されている事が一般的です。また普段の生活の中で見る事の無い部位ですが、マンション全体を保護する為に重要な防水工事です。また屋上防水工事は工事金額としても大きなウエイトを占めている事が一般的です。稀に工事予算の都合により屋上防水を諦め、後で屋上防水単体施工をするマンションがあります。ただし屋上防水単体で施工する場合でも共通仮設や直接仮設が必要になり大規模修繕工事と重複して仮設費用が発生する為、修繕積立金の圧迫に繋がります。屋上防水の劣化状況にもよりますが、長期修繕計画と修繕積立金をよく検討して頂き、適切なタイミングで工事を実施して頂くことが望ましいです。

まとめ

今回は大きく下地・タイル補修工事から始まり防水工事までの説明をさせて頂きました。

大規模修繕工事で取りまとめて多くの工事を実施することはボリュームメリットで工事費を安く抑える事が出来ますが、全てのマンションがそうであると限りません。

下地・タイル補修工事から始まり防水工事までの一連の流れの中で、全ての工事が行えることがベストですが、マンションの構造や規模、劣化状況や工事予算によって、実施できる内容は様々です。

また大規模修繕工事で行えなかった工事を小出しに単独で工事を行うと修繕積立金の圧迫に繋がります。

大規模修繕工事を始めとする様々な工事を適切なタイミングで取り纏めて頂ける様に長期修繕計画と修繕積立金を十分にご検討下さい。

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