大規模修繕工事|工事内訳③下地補修工事(塗装下地編)

丹波良太

あなぶき加賀城建設 マンション修繕工事担当 丹波です。

シリーズで実際の工事内容、各工事内訳項目(どんな工事をするのか)の内容について、数回に分けてご紹介したいと思います。

今回は③下地補修工事(塗装下地編)について書きたいと思います。
大規模修繕工事で大事なのは、下地補修工事になります。
色の塗替えが大規模修繕工事ではありません。
下地補修とは、人間でいう治療です。
人間も治療せずに放置しておくと重病になるように、建物も同じで早めの治療・病気にあった処置が重要です。

目次

  • 下地調査
  • 下地補修工事の主な工法(塗装下地編)
  • 体験施設のご案内
  • まとめ

下地調査

まず、大規模修繕工事が始まると、足場組立完了後、まっさきに下地調査が始まります。
人間でいうお医者さんの診断・検査にあたります。
ひび割れ・塗膜剥離・爆裂・タイルの浮き・タイルの割れなど、症状によって対処方法が変わる為、対処方法ごとにマスキングテープやスプレーなどで色分けしてマーキングをしていきます。
クラックの巾は、クラックスケールという定規などを用いてを確認していきます。
浮きや塗膜剥離は打診棒やテストハンマー等により音で確認していきます。
マーキングの種別一覧表などを掲示されると思いますので、どこをどう直すのか見られると良いでしょう。
この時点で工事業者や設計監理者が、補修方法やマーキングの対処法が適切か確認する事をマーキング検査といいます。

・マーキング状況

・クラックスケール

・打診棒

下地補修工事の主な工法(塗装下地編)

・ひび割れの補修

フィラー処理工法

(下写真参照   撮影場所:あなぶきPMアカデミー)
0.2~0.5mmの巾でフィラー処理工法が採用される事が多いです。(設計監理者や施工業者によって、処理工法のクラック巾は異なります。)
0.2~0.5mmといってもわかりずらいと思います。おおよそ髪の毛ぐらいの巾のクラックと思えばよいでしょう。
ひびを埋めることで、ひびからの雨水や大気の侵入を抑制し、コンクリートの中性化を緩和させる目的で施工します。

Uカットシーリング材充填工法

(下写真参照  撮影場所:あなぶきPMアカデミー)
1.0mm以上の巾でUカットシーリング材充填工法が採用される事が多いです。
ひび割れ巾が大きい為、コンクリートの動きに対応するため、シーリング材(ゴムのようなもの)で埋め、ひびからの雨水や大気の侵入を抑制し、コンクリートの中性化を緩和させる目的で施工します。

自動低圧エポキシ樹脂注入工法

(下写真参照  撮影場所:あなぶきPMアカデミー)
0.5mm~1.0mm未満の巾でエポキシ樹脂自動低圧注入工法が採用される事が多いです。
ひびにエポキシ樹脂(接着剤みたいなものの液)を注入し、隙間を無くす事でひびからの雨水や大気の侵入を抑制し、コンクリートの中性化を緩和させる目的で施工します。

・モルタルの浮き部補修

アンカーピンニングエポキシ樹脂注入工法
モルタルの浮きを、浮いている隙間にエポキシ樹脂(接着剤みたいなものの液)を注入し、アンカーピン(径が4mmのギザギザなピンの事)で建物に固定する工法です。
工法としては、穴あけ→清掃→エポキシ樹脂注入→アンカーピン挿入(一般部 16本/㎡ 鼻先や隅角部等 25本/㎡)→表面平滑処理(樹脂モルタル等にて)
剥離してコンクリートが落下してくることを防ぐ事が一番の目的です。

・鉄筋腐食部補修

ポリマーセメント充填工法

(下写真参照  撮影場所:あなぶきPMアカデミー)
コンクリート中の鉄筋は、コンクリートのアルカリ性で守られています。
しかし、水や大気に接することでコンクリートが徐々にアルカリ性から中性へと変わっていきます。
これが中性化です。
中性化すると鉄筋を守るアルカリ性が無くなり、鉄筋が腐食し(錆びて膨れ上がります。)周辺のコンクリートを押してひび割れたり、爆裂したりします。(鉄筋が劣化しコンクリートを押し出す現象)
ポリマーセメント充填工法をすることにより、腐食した鉄筋を再度保護し剥落しそうな部分を事前に撤去することが目的です。

体験施設のご案内

実は、今まで写真でご紹介してきた工法などが体験したり、見ることが出来る施設が有ります。

「マンション生活学習館 あなぶきPMアカデミー」
場所:〒760-0063 香川県高松市多賀町2丁目-8-2
電話:087-861-7300
http://www.anabuki-housing.co.jp/pm/

目で見て触って体感されると、より修繕について理解しやすいでしょう。

まとめ

代表的な下地補修工事(塗装下地編)について今回ご紹介しました。
他にも多くの修繕方法や考え方が有ります。
ただ、目的は一緒です。
建物をより長く、健全な状態で住めるように治療するのが下地補修です。
症状に有った治療法を検討し、修繕すると良いでしょう。

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①共通仮設工事
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④下地補修工事(タイル編)
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⑦防水工事(塩ビシート防水編)
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丹波良太

あなぶき建設工業 丹波 良太(たんば りょうた)
以前は、新築工事にたずさわり建物を建てる・作る側の人間でした。現在は、マンション大規模修繕工事の現場管理をしています。担当エリアは北部九州です。出来たマンションを直す仕事です。建物を建てた経験を今は直す事に活かせています。
好きな事は、神社めぐり。心をおちつかせたり、パワーをもらったり。
いつもお参りできるように5円玉を常備しています。

保有資格:1級建築士・1級建築施工管理技士
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