これで丸分かり火災保険【特約編(個人火災保険④)】

柿沼孝明

こんにちは。
あなぶきインシュアランスの柿沼です。

引き続き個人火災保険特約編の第4弾として、前回までにご紹介しきれなかった特約についてご紹介していきます。

個人火災保険①特約編
個人火災保険②特約編
個人火災保険③特約編

特約について

特約とは、主契約(基本補償)に追加してセットするオプションのようなイメージです。
各保険会社によって名称も異なりますので、詳細は各社のパンフレット等をご確認ください。

①地震火災費用特約

「地震等を原因とする火災で損害が一定割合以上となった場合、火災保険金額の一定割合を支払う」特約です。

 

<事例(建物)>
地震による火災で持家の戸建て建物(東京都・2階建・延床面積100㎡)が全焼

■保険契約内容
火災保険金額:2,000万円
地震保険金額:1,000万円(火災保険金額の50%)
地震火災費用特約:「火災保険金額×50%」のプラン

■支払保険金額
①地震保険金額:1,000万円(全焼のため地震保険金額の100%)
②地震火災費用特約:1,000万円(火災保険金額2,000万円の50%のため)
合計:2,000万円

 

以前、地震保険(参考:入門編)についてご紹介しておりますが、地震保険の保険金額の設定は「火災保険金額の30%~50%の範囲内」で、支払われる保険金は損害の程度によって「全損(保険金額の100%)」「大半損(保険金額の60%)」「小半損(保険金額の30%)」「一部損(保険金額の5%)」に区分され、それぞれの区分に応じた割合で保険金が支払われます。

仮に地震等に起因する火災で建物が全焼した場合でも、地震保険のみで建物の再建は現実的にはできません。事例を参考にすると、全損認定を受け地震保険金額の100%である1,000万円を受け取っても、元の住戸と同じ条件での建築を1,000万円で請け負ってくれる業者は存在しないでしょう。
あくまでも地震保険は、被災されたあとに少しでも以前の生活に戻せるように手助けをするための保険となっています。

そのような場合でもこの特約をセットした場合、火災保険では補償対象外である地震等に起因する火災についても、事例のように火災保険から一部保険金が支払われ、最大で実質火災保険金額と同額の保険金を受け取ることができる場合があります。

保険会社により異なりますが、火災保険に地震火災費用5%が自動的に付帯されている場合が多く、その他プランとして「火災保険金額×50%」「火災保険金額×30%」を選択できます。
この特約で対象となるのは、地震等を原因とする火災による損害で半焼以上した場合で、既に倒壊していた場合や津波による流出は対象外など、各社損害認定に一定の基準があるため注意が必要です。

鉄筋コンクリート造などのマンションは延焼のリスクが低いですが、延焼のリスクのある戸建てなどの木造住宅にお住まいの方で、地震保険には加入しているけど更に手厚い補償を希望される方や住宅を購入したばかりで多額の住宅ローンが残っている方などは、この特約を検討してみてはいかがでしょうか。

 

②特定設備水災補償特約

水災による損害程度にかかわらず、空調・冷暖房設備、充電・発電・蓄電設備、給湯設備等の特定機械設備について、水災によって生じた損害を補償」する特約です。

事例①:豪雨による洪水でエコキュート設備が故障した
事例②:土砂崩れでエアコンの室外機が故障した

火災保険の水災補償には、一般的に「床上浸水や地盤面より45cmを超える浸水、または損害が30%以上の場合」という条件が付いております。
被害が条件を満たない場合は免責事項となってしまいますが、この特約を付帯することで水災による損害程度にかかわらず特定の機械設備(※)の被害が補償されます。

※機械設備例:床暖房、ガス給湯器 、電動シャッター 、エアコン室外機 、 駐車場機械設備 、蓄電池

近年、充電・発電・蓄電設備等の普及や半導体不足により、住宅設置機械も高額になりがちです。
機械設備例のような設備は屋外に設置されることが多く水災被害を受けやすいため、手厚い補償を希望される方は、この特約を検討してみてはいかがでしょうか。

なお、保険会社によりこの特約が無い場合もありますのでご注意ください。

 

③サイバーリスク補償特約

「住宅内のネットワーク構成機器・設備(パソコン・家電製品など)がサイバー攻撃を受け、セキュリティ事故に対応するための費用を負担した場合に補償」する特約です。

事故例:スマートハウスのネットワーク構成機器・設備(パソコン・家電製品など)がサイバー攻撃を受け使用不能となり、修理するために費用を負担した。

近年、不正アクセスなどのサイバー攻撃手法は日々高度化・巧妙化しており、ニュースでも企業や病院などへのサイバー攻撃が報じられています。
法人向けのいわゆる『サイバー保険』の需要は高まっておりますが、スマートハウス・スマート家電の急速な普及により、個人にとってもサイバー攻撃は新たな脅威です。

各社補償内容や上限金額などは異なりますが、この特約ではそのようなサイバー攻撃により不正アクセス等や個人情報漏えい事故の発生に伴い費用を負担した場合などに補償されます。

サイバー攻撃の備えが不十分で、パソコンにウイルス対策も行っているが不安な方は、この特約を検討してみてはいかがでしょうか。

なお、保険会社によりこの特約が無い場合もありますのでご注意ください。

 

まとめ

今回まで計4回に分け、個人火災保険の特約をご紹介しました。

今回ご紹介した内容は保険会社独自の特約もあり、同じような補償内容でも詳細は異なります。
また、ここまでご紹介した内容以外にも各社独自の特約を設けており、差別化を図っております。
気になる方は各保険会社のパンフレット等をご覧下さい。

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

 

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柿沼孝明

あなぶきインシュアランス 柿沼 孝明(かきぬま たかあき)

2015年あなぶきハウジングサービスに新卒入社。マンション管理組合の運営サポート業務を経験後、あなぶきインシュアランスへ出向。フロント担当者の経験を生かした、東日本エリア(関東・東北・札幌)の管理組合様への火災保険の更新提案や、個人・法人への様々な損害保険提案業務を行っています。

保有資格:管理業務主任者
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