これで丸分かり火災保険【特約編(個人火災保険③)】

柿沼孝明

こんにちは。
あなぶきインシュアランスの柿沼です。

前回までは個人火災保険の「持ち家(所有者)」「賃貸住宅にお住まいの方(賃借人)」「外部所有者」「一棟建物所有者」向けの重要な特約についてご紹介しました。

今回は、前回までにご紹介しきれなかった特約についてご紹介していきます。

特約について

特約とは、主契約(基本補償)に追加してセットするオプションのようなイメージです。
各保険会社によって名称も異なりますので、詳細は各社のパンフレット等をご確認ください。

①臨時費用補償特約

「保険の対象に損害が生じ、損害保険金が支払われる場合に、損害保険金とは別に損害保険金の10%を乗じた額を支払う」特約です。

<事例>
暴風で屋根が一部欠損。修理費用(見積金額)500,000円。
500,000円全額認定(免責無しと想定)の場合、下記金額が支払われる。
500,000円(損害保険金)+50,000円(臨時費用:損害保険金の10%)=550,000円

マンション共用部火災保険の特約編②でご紹介した、臨時費用特約と同じ内容です。
基本的に建物や家財における基本補償の事故で損害保険金が支払われる場合に、損害保険金にプラスして臨時費用として支払われます。(特約や賠償事故は対象外です)

損害保険金認定額が大きいほど臨時費用の額も大きくなるので、いざという時にこの特約を付帯してれば、修理費用(見積金額)よりも多く保険金を受け取ることができる場合もあります。

近年火災保険は自然災害の多発などによる保険金支払い額の増加により、特約内容も見直されております。
以前は臨時費用も割合を30%設定とすることが出来ましたが、修理金額等が大きな事故だと臨時費用の支払い額も自動的に加算されるため、現在は10%設定(保険会社によっては20%で設定できる場合もあります)としている保険会社が非常に多く、臨時費用の適用事故を限定している保険会社もございます。

なお保険会社によっては、特約ではなく基本補償に自動的に付帯されている場合(特約を外せない場合)もございます。

 

②弁護士費用特約

「日本国内で発生した被害事故により傷害や財物の破損等を受けた際に、相手方へ損害賠償請求を行う場合の弁護士費用や法律相談費用等」を補償する特約です。

事例①:ネット上での誹謗中傷トラブルに対し弁護士に相談した。
事例②:上階の水の出しっぱなしが原因で漏水被害に遭い家具家電等が損傷したが、加害宅が支払いを拒否し事態が進展しないため、弁護士に相談・解決を依頼した。
事例③:赤信号で停車中に後方の車から追突され怪我をしたが、加害者が治療費の支払い等を拒否し事態が進展しないため、弁護士に相談・解決を依頼した。

火災保険は「火災保険」という名称ですが、火災以外の様々な事象も補償対象となっております。
この弁護士費用特約もその最たる例の1つです。

弁護士費用特約というと、自動車保険を契約されている方は聞きなじみがあるのではないでしょうか。
保険会社によりますが、火災保険でもこの特約を付帯できる商品があり、(補償の上限などは決まっておりますが)相手方に法律上の損害賠償請求をする場合の弁護士費用や法律相談費用が補償されます。

各社商品により異なりますが「自動車事故限定型」など補償範囲を選択する場合もあり、補償範囲を「自動車事故限定型」などにした場合は、事故例にあるような日常生活での内容は補償対象外となりますのでご注意ください。

また、意外と知られていませんが、実は被保険者の範囲も広く、火災保険や自動車保険など、何かしらの保険で弁護士費用特約を付帯していた場合、個人賠償責任特約と同様に家族全員が補償対象となります。

<被保険者の範囲>
(1)記名被保険者
(2)記名被保険者の配偶者
(3)記名被保険者またはその配偶者の同居の親族
(4)記名被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子

そのため、例えばお子様がトラブルに巻き込まれ被害者となり、相手方と折り合いがつかない時など、この特約により弁護士へ相談や依頼した場合の弁護士費用等が補償されます。

ご家族がトラブルに巻き込まれ、理不尽な相手方との交渉を自分達で対応するのは困難ですよね。
弁護士に相談と聞くと、敷居が高くなかなか相談しにくいのでは…?と思いますが、この特約を付帯することでいざという時に気軽に相談ができ、保険会社によっては弁護士を紹介してもらえる場合があります。

加害事故は個人賠償責任補償特約、被害事故は弁護士費用特約、どちらの場合でも補償を受けられるよう何かしらの保険で付帯しておきましょう。

 

③電気的・機械的事故特約

「建物付属の機械設備(空調・冷暖房設備、給湯設備、蓄電設備等)が、電気的・機械的(ショート、過電流等)事故により生じた損害」を補償する特約です。

事故例:エアコン室外機の電気部品が発火し、エアコンファンが焼損したため使用不能となった。

マンション共用部火災保険の特約編②でご紹介した、設備損害補償特約と類似内容です。
基本補償の「破損・汚損等」リスクでは、電気的・機械的事故は補償対象外となりますが、この特約を付帯することで補償対象となります。
マンション共用部火災保険では、共用部の機械設備が対象でしたが、個人火災保険では建物に付随している(固着している)機械設備が対象となります。

<大まかな対象例>
マンション共用部火災保険:エレベーター、機械式駐車場、給水ポンプ、分電盤など
個人火災保険:エアコン、給湯器、床暖房、エネファーム、太陽光発電設備など

例えばエアコンは必ず建物内の壁に設置されているため(固着して移動できないため)対象となりますが、移動できる状況にある空気清浄機などの家電は対象外(埋め込み式空気清浄機やテレビなどは対象)です。

「破損・汚損等」リスクを付帯しない場合にはこの特約を付帯することはできず、「破損・汚損等」リスクを付帯している場合でも、保険会社によっては築10年以上の建物だと特約を付帯できない場合があります。
また、バッテリーの消耗による交換や長年使用したことによる経年劣化が原因の故障メーカー等が被保険者に対し法律上や契約上の責任を負うべき損害などは補償対象外となります。
メーカーや販売店による保証により補償される損害は、本特約の補償対象外となりますのでご注意ください。

<補償される期間のイメージ図>

←   ←   ←   保険期間   →   →   →
設備①メーカー保証本特約の補償
設備②メーカー保証販売店の延長補償本特約の補償

 

築年数の浅いオール電化の住宅などは、建物に付随する機械設備も高額になりがちですので、この特約をご検討してみてはいかがでしょうか。

 

まとめ

今回ご紹介した特約の中では、①臨時費用補償特約は付帯しているケースが多い印象です。
その他の特約についても付帯していない場合は、必要に応じて更新の際などに検討してみても良いかも知れません。

また、前回までにご紹介した特約は基本的に各社同じような補償内容でしたが、今回ご紹介する内容は保険会社独自の特約もあり、同じような補償内容でも詳細は異なります。気になる方は各保険会社のパンフレット等をご覧下さい。

次回は、今回ご紹介しきれなかった特約についてご紹介いたします。
最後までご覧いただきありがとうございました。

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柿沼孝明

あなぶきインシュアランス 柿沼 孝明(かきぬま たかあき)

2015年あなぶきハウジングサービスに新卒入社。マンション管理組合の運営サポート業務を経験後、あなぶきインシュアランスへ出向。フロント担当者の経験を生かした、東日本エリア(関東・東北・札幌)の管理組合様への火災保険の更新提案や、個人・法人への様々な損害保険提案業務を行っています。

保有資格:管理業務主任者
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