マンションで使用される給水管について

飯野琢磨

あなぶきセザールサポート東京南支店の飯野です。

過去3回に渡りマンションの給水設備についてご説明してきました。

本日は水を通る「給水管」について説明します。

「給水管」と聞いてどんな印象を持ちますか?

「給水管」はもちろんマンションの設備で、一定の年数が経過するとメンテナンスや更新等が必要となり、大きな支出が必要となる設備です。

もし適正なメンテナンスを怠ると水漏れが発生することもあり、自宅だけでなく周りの住戸や共用部の設備にも損害を与えてしまう可能性もあり、多額の損害賠償を請求される事故も発生しています。

まずは給水管の種類について知るところからはじめましょう。

※この記事は2017年1月8日に公開した記事を修正して、再度公開しています。

※過去の給水に関するブログもご参照ください。

①分譲マンション給水管を延命する4つの方法

https://anabuki-m.jp/information/5957/

②今がチャンス!助成金を活用して給水方式を変更する

https://anabuki-m.jp/information/16525/

③マンションの給水方式について~貯水槽方式~

https://anabuki-m.jp/information/17998/

目次

  • 水配管用亜鉛めっき鋼管
  • 水道用硬質塩ビライニング鋼管
  • ステンレス鋼管
  • まとめ

 

 

・水配管用亜鉛めっき鋼管

昭和30年~40年代までマンション給水管の主流として使われてきた水道管です。水道水の塩素消毒や水温などにより、亜鉛が溶けだし白水となり亜鉛がはがれ、鉄部が露出し錆こぶを管内部に形成するため、赤水が発生し、築15年~20年程度が更新の時期となります。また、更生工事を行っていたとしても、工事実施後、10年~15年程度が更新時期となります。

 

・水道用硬質塩ビライニング鋼管

昭和40年代から水配管用亜鉛めっき鋼管から代わって使用されたのが、水道用硬質塩ビライニング鋼管です。亜鉛の溶けだしや配管腐食の心配がないとのことで、使用されてきましたが、配管の継手部は亜鉛めっき継手を使用していたため、継手部での腐食は発生しています。その後継手部にはさまざまな改良が加えられて、昭和60年代から管端防食継手が開発され、ようやく錆発生の問題が解消されました。この防食継手が使用されているマンションは30年~40年程度、使用されていないマンションは20年~30年程度が更新時期の目安となります。

 

・ステンレス鋼管

今まで紹介したマンション給水管の中で最も高額で、もっとも耐用年数が長い給水管です。一番弱いとされる継手部の寿命も40年以上とされており、水温25℃前後の常温であれば100年もつとも言われています。

材質は最も高額なものですが、配管工事の施工性が良く、先にご紹介した「水道用硬質塩ビライニング鋼管」よりも作業が早く進むため、工事費用は「水道用硬質塩ビライニング鋼管」を使用した場合と大きく変わりません。

気になる方は、是非2種類の見積を取得してみてください。

 

・まとめ

本日はマンション給水管の種類と寿命についてお伝えしました。ステンレス鋼管が新築マンションに使用され始めたのは最近のため、多くのマンションが「水道用硬質塩ビライニング鋼管」となり、築20年~30年ごろには、給水管更新工事を検討しなければなりません。

マンションで給水管を新設する場合、既存の場所に新規の配管が納まればいいのですが、そうでない場合は共用廊下に配管を露出する方法を取らざるを得ない場合もあり、その際は美観性を大きく損ないます。

また、重要なことの一つに給水管は共用部と専有部で区分されており共用部は管理組合で検討して更新していても、住戸内の給水管は所有者がお金を出して更新しなければなりません。給水管は一般的に床下に埋まっているため給水管更新のためには床を撤去のうえ更新する必要があります。家族構成の変更によって間取りの変更工事を行う際や、中古マンションをリフォームして購入する際は、給水管の状況もかならず確認するようにしましょう。

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飯野琢磨

あなぶきハウジングサービス 飯野 琢磨(いいの たくま)
前職では大工や建築積算を経験。入社後、マンション修繕工事のコンサル業務、分譲マンションのリプレイス営業、分譲マンションのフロントを経験。
マンション管理のことについてはもちろんのこと、リフォームやリプレイスなどさまざまな視点から幅広い情報を提供します。
所有資格:一級建築士・マンション管理士・管理業務主任者・宅地建物取引士
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