電力の自由化とは?あなたのマンションでもお得な電力会社を選んでみませんか?

和田典久

こんにちは。あなぶきコールセンターの和田です。
当センターでは月間で約9,000件の様々なお問合せ・ご相談・ご依頼を受け付けています。
その内容は、マンションライフに関わることから、少し離れた内容まで多岐にわたりますが、その中から、皆さんが関心がありそうなこと、知っていそうで意外とご存じ無いこと等々を取りまとめて発信していきたいと思います。どうかお付き合いください。

今回のテーマは、『電力の自由化とは?あなたのマンションでもお得な電力会社を選んでみませんか?』です。
今回のブログが公開される3月は言わずと知れた「引越しシーズン」。引越しに伴って電気やガスの契約手続をされる方も多いと思いますが、読者の皆さんは『電力の自由化』というキーワードをご存じでしょうか?
詳しいことは段落を改めてご紹介しますが、これまでいわゆる地域電力会社(東京電力や関西電力など地域ごとに全10社)により独占されていた電力小売が2016年4月以降に全面的に自由化され、様々な業種の企業が地域の枠を超えて電力の販売に参入できるようになったことをいいます。

このブログの配信元である「あなぶきグループ」にも日本電力株式会社という小売電気事業を営むグループ会社があります。そして当コールセンターはあなぶきグループのコンタクトセンターなので、グループ会社である日本電力のご利用者様の顧客対応も受け付けています。
今回のブログでは、当コールセンターで実際に受け付けた「電力サービス」に関する問い合わせ事例なども交えて『電力の自由化』についてご紹介していきます。ご参考になさってみてください。

 

I . そもそも『電力の自由化』って何だったっけ?

早くから自由化が進んだアメリカなどと異なり、日本では長い間地域ごとに電力会社が固定され、電力の発電・送配電・小売りの各事業が独占されていました。例えば四国に住む利用者は四国電力としか契約できず東京電力等とは契約できません。逆に四国から離れて本州に引っ越すとその地域の電力会社と契約し直す必要があり、慣れ親しんだ四国電力と継続して契約し続けるということもできませんでした。

これでは電力会社間に競争が発生しないので、電力の安定供給という面ではメリットもありましたが、利用者にとっては選択の自由が無く、料金も高留まりするデメリットがありました。
そこで2000年3月から、最初は大規模工場やオフィスビルなどが電力会社を自由に選ぶことができるようになり、徐々に規制が緩和されて2016年4月以降は一般家庭でも電力会社や料金メニューを自由に選択できるようになりました。これが俗にいう『電力の自由化』 より正確には「電力の『小売り』全面自由化」です。

電力の供給サービスは(1)発電、(2)送配電、(3)小売りの3つの部門に分類できます。既に発電部門は原則参入が自由化されていました。逆に送配電部門は電気の安定供給を守る要になる部分なので、電力の小売り全面自由化後も引き続き各地域の電力会社が担当することになっています。
そして、2016年4月に自由化されたのは電力の小売りの部門ということになります。

出典:auでんき 「電力自由化で変わる、3つのS」より

ここで具体例を見てみましょう。先程例に上げた四国電力の場合で確認してみます。
四国電力は四国地方の地域電力会社ですから四国に住む方が利用できるのは当然です(*瀬戸内海の一部の島しょ部には本州側の中国電力の送電エリアになっている地域が存在しますが例外です)。そして2019年3月時点では、東京エリアと関西エリアでも電力の小売りをしています。
従って、四国に住んでいた利用者が東京に引っ越しても、希望すれば東京電力ではなく四国電力と契約することができます。転勤者ではなく元々東京に住んでいる人も、東京電力との契約を止めて四国電力に変更することができます。四国電力が小売りをしていないエリア(中国、九州、北海道など)では契約できないのは従来通りです。これだけでも選択の自由が増えたのが解かりますよね。
もちろん既存の地域電力会社だけでなく、自由化によって全国には大小合わせると約100社の新電力会社が存在するので、ご自分のプランに合わせて比較検討できるようになりました。

 

Ⅱ.電力会社の変更ってどうすれば良いの?

電気の検針表を準備

お得な電力会社が選べるようになったのですから、サービス内容を比較して電力会社を変更してみたいと思う方も多いでしょう。
電力会社を変更するには、電気の検針表(電気ご使用量のお知らせ)を準備しましょう。検針表には①契約者の名義、②お客さま番号(契約番号)、③供給地点特定番号(22桁の数字)が記載されています。電力会社の変更申込みにあたってはこれら3つの情報が必要となります。

電力会社を選んで、新電力会社に申込み

次に電力会社を選んで、その会社の公式サイトなどから必要情報を入力しましょう。電話受付だけでなくインターネット上で申込手続きできる会社が多いようです。手元に検針票があればそれほど難しい手続きではありません。最近はお得な電力会社を比較できる「まとめサイト」もありますよ。
なお、現在使っている電力会社に対しては、新しく申込む電力会社から解約申請されるので、自分で解約手続きをする必要はありません。

スマートメーターへの交換工事

今使っている電力計がアナログ式の場合は「スマートメーター」と呼ばれる新型の電力計に交換工事が必要です。 スマートメーターは通信機能があり、遠隔で電気の使用量を計測することが出来ます。スマートメーターへの交換工事費用はお住まいの地域電力会社が負担します。現在既にスマートメーターが設置されている場合には、電力会社が変わってもメーターを取り替える必要はありません。

「私は賃貸マンションに住んでいるけど、電力会社を変更したい。オーナー様や管理会社に許可をを取らないと駄目かしら?」と気になる方も多いと思いますが、電力計はオーナー様の物ではなく電力会社に所有権があるので、オーナー様の許可が無くてもスマートメーターに交換して差し支えありませんし、退去時に「元の電力計に戻して原状復帰して下さい」と言われることもありません。但し、管理会社が電気料金を検針して、家賃などと一緒に請求しているマンションもあるので、管理会社には事前に一声掛けられた方がトラブルにならないと思います。

ここまでくれば電力会社の変更手続きは完了ですよ。

 

Ⅲ.電力会社の変更が出来ない場合があります

ここまで『電力の自由化』と、それを踏まえた電力会社の変更の手順について確認してきました。しかし例外もあります。その例外とは、お住まいのマンションが『高圧一括受電』契約をしている場合です。
高圧一括受電契約をしているマンションでは、電力の自由化がされても個別に電力会社を切り替えることができないんです。

高圧一括受電って何のこと?

高圧一括受電とは、これまでマンションの各住戸と共用部それぞれが電力会社と個別に契約していたのを、マンション全体で一括して契約することで、料金単価の高い「低圧」電力契約から割安な「高圧」電力契約で電気を購入することを言います。
マンション全体でいわば電気を「まとめ買い」するので料金単価が安くなるというイメージです。従って、同じマンション内で「私は別の電力会社を使うよ」という個別の契約は認められないことになります。

 

出典:日本電力株式会社ホームページ 「電力提供サービスの削減イメージ」より

実は、冒頭でご紹介したグループ会社の日本電力は、この高圧一括受電タイプの小売電気事業者です。
当コールセンターにも「現在は日本電力で契約していますが、携帯電話が○○なので別の電力会社に変更したい。供給地点特定番号を教えて下さい」という問合せが時々入ります。
全戸一括でご契約いただくことで電気料金を割引しているので個別の変更が出来ない旨を説明すると、ほとんどの利用者様は納得されるのですが、さらに突っ込んで「本当に高圧一括受電ってお得なんですか?」と聞かれることがあります。

各事業者で様々な料金プランが存在するので一概に比較することはできませんが、一般論で言えばマンション全体で見ると高圧一括受電タイプの方が、それ以外の新電力会社よりもお得度(電気代の削減効果)は高くなります。マンションの共用部の電気代は管理費から支払われますが、高圧一括受電は共用部分の電気代も割安になるので、結果的に管理費も安く抑えられるんですね。

その代わりに高圧一括受電は既存のマンションに導入しようとすると、総会での導入決議の他に全戸の同意が必要になるので導入のハードルは高いですし、先に述べた通り、一度導入すると他の新電力会社に個人の自由で変更できなくなるので、選択の自由は制限されます。

 

Ⅳ.よくあるお問い合わせ事例

電力会社を変更したら停電した時はどうなるの?

当コールセンターにも「急に電気が点かなくなって真っ暗だ!安い電力会社だから管理が出来てないんだろう?」と停電のご連絡を受けることがあります。結論から先に言うと高圧一括受電であれ、それ以外の新電力会社であれ、電気の送配電業務は各地域の電力会社(東京電力や関西電力など)が担っていますので、電力会社を変更したから停電しやすくなるとか、保安が行き届いていないということはありません。そして問合せ先は停電の原因によって異なることになります。

自宅マンションだけでなく地域一帯で停電している場合(地域停電)は、送配電業務をしている地域電力会社で復旧して頂かない限り、新電力会社側では停電を解消できません。

高圧一括受電タイプのマンションで、自宅マンションだけが停電している場合は、マンション内に設置されている変電設備が故障した可能性があるので、高圧一括受電事業者かマンション管理会社へご連絡頂くことになります。

高圧一括受電タイプか否かに関わらず、自宅(自室)だけが停電している場合は、電気の使い過ぎで停電した場合と、漏電してブレーカーが落ちている場合があります。契約されている新電力会社にご相談頂くことになります。この時に元の地域電力会社に連絡しても「お客さまとは契約がございません」等と返されることでしょう。

電気のアンペア数を変更したいのですが?

電気の使い過ぎで頻繁に停電する場合は、契約アンペアを見直すことで解消できる場合が多いです。契約された新電力会社にご相談ください。なおマンション全体で受容できる電気の総量は建築時に決まっているのでマンション管理会社にも確認が必要になる場合があります。

室内の分電盤が故障したみたい。新電力会社で交換してくれるよね?

電気の使い過ぎではなく、漏電していたり、室内配線の断線やコンセントの故障、室内の分電盤(ブレーカー)の故障で停電することがあります。この場合は漏電箇所・故障箇所を修理交換する必要がありますが、その相談先は契約された新電力会社ではなく、マンション管理会社になります。もちろん新電力会社でも電気設備業者を手配・紹介してくれる場合はありますが、修理交換費用の負担はその部屋の所有者の方になります。室内配線やコンセント、分電盤は新電力会社の所有物ではなく専有部設備だからです。マンションによっては専有部設備の修理サポートをする会員サービス(あなぶきグループの場合は『ハッピーサポート』に加入されている場合があるので、修理相談はマンション管理会社を通すことをお勧めします。

 

Ⅴ.まとめ

いかがだったでしょうか?資源エネルギー庁の調査によると、全販売電力量に占める新電力のシェアは、2016年4月の全面自由化直後は約5%だったのに対し、2018年1月時点では約12%と順調に増加しているのだそうです。これまでご紹介した通り、電力会社を変更しても電力供給の安定や保安は担保されています。また「高圧一括受電タイプ」は一戸建てには無いマンションならではの電力サービスです。
様々な新電力サービスをしっかり比較検討して、お得な電力会社を選んで頂きたいですね。

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和田典久

あなぶきハウジングサービス 和田 典久(わだ のりひさ)

香川県高松市生まれ。早稲田大学法学部卒。
学生時代は弁護士を志すも夢破れて帰郷し、2001年に入社。最初の配属は賃貸事業部。
高松で賃貸仲介を4年、広島でPM業務を5年務め、2010年12月よりあなぶきコールセンターで全国からのお客様の声に向き合う。
2021年7月からは事業推進本部 業務推進課で分譲・賃貸・CX・コールセンターとも連携した全社的な業務推進を進めていく。
このブログでは、これまでの現場経験を生かしてお役立ち情報を発信していきたいと思います。
珈琲と旅行をこよなく愛する、最近メタボ気味な48歳。

【保有資格】宅地建物取引士 管理業務主任者 賃貸不動産経営管理士
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