あなぶきハウジングサービスの北原です。
前回から「マンション法」について記載しています。前回は、区分所有という考え方・専有部分・共用部分というごくごく入口(導入部)についての解説でした。今回は共用部分の持分割合・処分・変更等について触れていきます。
尚、前回の記事については、こちらをクリックしてください。
マンション役員・入居者必見|3分で分かるマンション法① 区分所有・専有部分、共用部分について
目次
- ♥ 共用部分の持分の割合と持分の処分
- ♥ 共用部分の変更
- ♥ 管理所有
- ♥ 先取特権
- ♥ まとめ
♥ 共用部分の持分の割合と持分の処分
マンション法では、「共用部分の各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。」としています。但し、この定めは規約で変更することが可能です。たとえば、端数調整・切り捨てなどの例があります。通常のマンションでは、管理規約条文書きの後のページに別表として部屋タイプ(面積)ごとに持分割合が記載されています。一度管理規約を確認してください。
次に処分についてご説明します。処分というケースで一般的なのは、売買です。マンション法の解釈では、専有部分が処分された場合は、それに伴い、共用部分上の持分と一体として処分されるとされています。また共用部分の持分は、専有部分と分離して処分することができません。つまり専有部分と共用部分の共有持分とを別々に売却することはできません。
♥ 共用部分の変更
変更には、次の2種類があります。軽微変更と重大変更です。
軽微変更の一例 手すり部の塗装工事、計画修繕(屋上等防水工事、給水管更新工事等)
重大変更の一例 階段を壊してエレベータを設置する工事、屋上全面に太陽光パネルを設置する工事、集会室を賃貸店舗に転用する。
軽微変更は、集会(総会)の普通決議(過半数決議)で行え、重大変更は、特別決議(3/4決議)となります。またどちらの変更でも、専有部分の使用に特別の影響を及ぼすときは、その所有者の承諾も必要となります。
♥ 管理所有
管理所有という言葉はあまり一般的ではありません。従ってここでは、簡単に解説させて頂きます。
共用部分を特定の区分所有者の単独所有とすることを「管理所有」といいます。対外的な手続きを全員の名義で行うことは効率的と言えませんので、規約の定めでできるようにしています。但し、一般的な商取引は、「管理所有」の方法をとるのではなくその時点での理事長名義で行っています。管理所有が一般的でない理由は、ここにあるのかと思います。
♥ 先取特権
今回の最後は、先取特権について解説させて頂きます。
先取特権とは、様々な債権に優先して弁済をしてもらえる権利の事です。
区分所有者が管理費を滞納している場合、その滞納管理費を回収するに当たり、マンションもしくは、マンション内の動産を競売にかけ、競売代金から優先的に管理費の弁済を受けることができます。それは、管理費には、先取特権があるためです。
♥ まとめ
今回記載した4つの内容のうち最もポピュラーなものは、共用部分の変更かと思います。ご自身のマンションの共用部分の変更のお話が出た時には、今日の記載を思い出していただき、総会でどのような手続き(議決方法)が必要なのか判断してみてください。いつもお話しする通り、マンション管理のプロである「管理会社の管理担当者」のアドバイスも参考にしてください。
次回は敷地利用権等について解説させて頂きます。
北原浩二
あなぶきグループ入社一筋。戸建住宅販売・不動産売買仲介・ホテルフロント・ 賃貸仲介・分譲マンション管理・コールセンターの仕事を経験した後、現在はグループ全社のCS推進、ISO認証維持を担当する部署(CS推進室)に所属しています。特にISO認証維持については、品質・環境・情報セキュリティ各分野で社員教育・指導も担当しています。
昨年より、グループが経営する専門学校の不動産ビジネス課で教壇にもたっています。
保有資格:マンション管理士
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