分譲マンションの管理費と修繕積立金|収支改善2つののポイント

松井 久弥

最近、マンション管理会社変更のご相談をいただく管理組合様の中にも、『管理費や修繕積立金の値上げ問題』を抱えているケースが増えてきました。

管理費は支出が増えているのに、収入が減ってきている…
修繕積立金は大規模修繕工事が控えているのに、金額が不足している…

「なぜ、このような状況になってしまっているのか」

今回は分譲マンションの管理費と修繕積立金で収支改善にあたり注意して見ていただきたい2つのポイントについてご紹介します。

 

 

管理費の収入が減っている原因は駐車場使用料にあった!?

分譲マンションの駐車場使用料は、『管理費会計』の収入に計上されていますか?

それとも、『修繕積立金会計』の収入に計上されていますか?

管理費会計の収入に計上されている場合は、駐車場使用料の収入を頼りにしすぎていると管理費の大幅な値上げが必要になってしまうかもしれません。

たとえば、管理費の支出が年間400万円あるとして、この支出をするためには400万円の収入が必要になりますよね。
通常であれば、400万円÷部屋数で収入を確保しようとしますが、売り主である販売会社(不動産会社)がマンション分譲時にお部屋を販売しやすくするために、各部屋の管理費は低く設定して、不足分を駐車場収入でまかなおうとしているケースがあります。

400万円の収入が必要→:管理費収入400万(400万÷部屋数)
400万円の収入が必要→:駐車場使用料収入200万円+管理費収入200万円(200万円÷部屋数)

しかし、多くのマンションでは分譲時に比べて駐車場の空きが増えているのが実情です。特に機械式駐車場の空き問題は多くのマンションが抱えている問題ですよね。

駐車場の空きが増えてしまうと、管理費収入だけでは必要な支出金額が集まらないので、管理費の値上げをしなければならない事態になってしまいます。

また、機械式駐車場の空き問題は、管理費が不足するだけではなく、別の問題も出てきてしまいます。
機械のメンテナンス(保守点検)や部品の交換等の費用は、機械式駐車場が空いているかどうかに関係なくかかってしまいますし、メンテナンスだけではなく、20年程度でパレットそのものの入れ替えが必要になってくるので、そうなると1台あたり100万円以上の費用がかかってしまうことになります。
駐車場収入を管理費会計で使ってしまっていると、メンテナンスやパレット入れ替えの際に、資金が不足してしまっているという問題が出てきてしまいます。

駐車場使用料収入に頼るのではなく、管理費会計については、管理費の値上げ以外にも、

「共用部の照明をLED化」
「マンション管理会社を変更したりすることで支出を減らす」
駐輪場・駐車場使用料の見直し」
「自動販売機を設置することで収入を増やす」

等の対策もできるので、値上げ問題に直面している管理組合様は是非検討してみてください。

機械式駐車場空き問題については、「機械式駐車場空き問題対策」で対策方法をご紹介していますので、参考にしてみてくださいね。

修繕積立金が不足している原因は新築時の設定にあった!?

修繕積立金は、“何年後に、どのような工事を行うのか”という計算に基づいて設定金額を算出することが出来るのですが、修繕積立金も管理費と同じように、分譲時には低く設定されていることが多いです。

最初から低く設定されているので、将来的に工事が必要な時期に、必要な金額が貯まっていないという事態に直面してしまいます。このような場合は、一時的にまとまった修繕積立金を集めたり、段階的に修繕積立金を値上げすることになります。

段階的に修繕積立金を値上げするにしても、管理組合でその都度総会を開催し、総会決議によって値上げ金額や値上げの開始時期を決定しないといけないので、管理組合員全体での合意形成が図れていないと結局値上げが出来ず、分譲時の金額設定のままになっていまいます。

「それでは、計画されている工事が実施できないじゃないか…。」と思われるかもしれませんが、“長期修繕計画で計画されている工事時期に必ず実施しなければいけないわけではない”んです。
予定されている工事の時期になったら工事を実施する、ではなく、予定されている工事の時期になったら専門家に建物や設備の状況をチェックしてもらってください。専門家にチェックしてもらうことで、本当に計画通り必要な工事なのか、工事範囲や工事内容を詰めることができ、工事の時期を遅らせたり、工事のやり方を変更したりすることで、合理的な工事が実施できたりします。

まとめ

消費税の値上げも管理組合会計の支出増には少なからず影響を与えています。
管理費と修繕積立金は適切に見直しを行うことで、大幅な値上げを抑えることができるので、「臭い物には蓋をする…」ではなく、マンションの将来のことを考えてしっかり見直しをしてみてくださいね!

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松井 久弥

あなぶきハウジングサービス:松井 久弥(まつい ひさや)
2000年あなぶきハウジングサービス入社。
全国10都道府県において、管理担当・リプレイス営業・新規拠点立上げ・部門責任者に従事。特にマンション管理会社のM&Aにおいては、案件化からデューデリ・譲渡契約・お客様対応全般・統合後プロセス(PMI)までを実践。
マンション管理士、M&Aシニアエキスパート。
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