あなぶきハウジングサービスの北原です。
前回までの3回にわたりマンション法について記載しましたがその4回目をお送りします。前回までの3回分では、区分所有・専有・共用、持分割合、変更・管理所有と先取特権、敷地・管理者までについてふれました。そちらの記事については下記をクリックしてご覧ください。
マンション役員・入居者必見|3分で分かるマンション法① 区分所有・専有部分、共用部分について
マンション役員・入居者必見|3分で分かるマンション法② 共用部分の持分割合・処分・変更、管理所有、先取特権について
マンション役員・入居者必見|3分で分かるマンション法③ 敷地と敷地利用権・管理者
今回は、規約、集会についての解説をしていきます。
目次
- ♠ 規約事項
- ♠ 規約の制定、変更及び廃止
- ♠ 集会の招集
- ♠ 議事と議決事項
- ♠ まとめ
♠ 規約事項
建物・敷地の管理または使用に関する事項は、マンション法に定めるもののほか、規約で「別に定める」ことができる内容があります。裏を返せば規約での「別の定め」については、任意であり定めない選択もあります。
また、必ず規約に設定しないと定めることができない「絶対的規約事項」と、集会の決議等規約の定め以外の方法でも定められる「相対的規約事項」の2種類があります。
ここで最も注意が必要なことは、規約を定めた場合、マンションの基本的なルールとしてその定めに区分所有者が拘束されるということです。
♠ 規約の制定、変更及び廃止
規約の制定、変更及び廃止については、すべて区分所有者および議決権の各3/4以上の多数による集会の決議(特別決議)によって行うようになります。後述する「特別決議事項」のひとつです。この定数は、規約によっても増減できません。より多くの同意が得られないと決議の至らないということです。また、一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼす時は、その承認が必要となります。
♠ 集会の招集
集会とはマンション法での表現で、通常皆様のマンションの管理規約でいう総会のことです。集会は、区分所有者の団体の最高意思決定機関と言われます。建物や敷地の管理に関する事項は、原則として、この集会の決議により決定されるからです。
マンション法における集会の招集には、①管理者の招集(毎年1回)②区分所有者・議決権の1/5以上による請求で管理者が請求に応じた場合の招集③区分所有者・議決権の1/5以上による請求で管理者が応じない場合の自らの招集④区分所有者・議決権の1/5以上による請求で管理者が選任されていない場合の招集という4種類があります。(監事のもつ招集権は別途としてあります。)それぞれ招集の通知については、会日より少なくとも1週間前に議題を示して各区分所有者に発信しなければならないこととなっています。但しこの1週間という期間は、規約の定めで長くすることも短くすることもできます。
ここで余談にはなりますが、「1週間」とは、発信の翌日から会日の前日までに「中7日必要」ということです。また、招集通知は1週間前に発信すればよく、1週間以内に到達する必要はありません。これを「発信主義」というようです。
♠ 議事と議決事項
集会の議事(議決要件)は、原則 区分所有者及び議決権の各過半数で決するようになります。これを「普通決議」といい、規約で別段の定めができるので、例えば、決議要件を軽減・加重することも可能です。
次に「特別決議」がありますが、区分所有者及び議決権の各3/4以上の賛成が必要となります。この特別決議を必要とする代表例は、①規約の設定・変更・廃止②共用部分の重大変更③管理組合法人の設立・解散等々です。
もう一つ「建て替え決議」というのがあります。区分所有者及び議決権の各4/5以上の賛成で決します。
この2種は普通決議とは違い規約での別段の定めをすることができません。
規約及び集会の決議は、すべての区分所有者に対しその効力が及びますが、区分所有者の特定承継人(譲渡を受けた人)包括承継人(相続人)にも効力が及びます。
♠ まとめ
ここまで4回にわたりマンション法の解説をさせていただきました。
マンション法を理解する10個のワードが以下です。
区分所有・専有部分、共用部分、共用部分の持分割合・処分・変更、管理所有、先取特権、敷地と敷地利用権・管理者、規約、集会になります。
解説の中でも何度か出てくる規約での「別段の定め」によりマンションのルールとしては法律(民法やマンション法)に優先します。
今一度皆様のマンションの管理規約を確認して頂き、マンション法との違いをチェックしてみてはいかがでしょうか。
皆様のより良いマンションライフを祈念して4回のマンション法の解説を終了します。ありがとうございました。
北原浩二
あなぶきグループ入社一筋。戸建住宅販売・不動産売買仲介・ホテルフロント・ 賃貸仲介・分譲マンション管理・コールセンターの仕事を経験した後、現在はグループ全社のCS推進、ISO認証維持を担当する部署(CS推進室)に所属しています。特にISO認証維持については、品質・環境・情報セキュリティ各分野で社員教育・指導も担当しています。
昨年より、グループが経営する専門学校の不動産ビジネス課で教壇にもたっています。
保有資格:マンション管理士
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