もし分譲マンションの専有部分で違法営業されたら管理組合はどうすればいい?

綾部 祐太 綾部 祐太

はじめに

先日、大阪市内のマンションの一室で違法風俗店を経営していた疑いで容疑者らが逮捕された、というニュースが報道されました。本件の建物は賃貸用マンションであったようですが、もし分譲マンションの専有部分でこのようなことが発生したら、管理組合はどのように対処すればよいのでしょうか

 

どの規則に違反しているか

そもそも、違法営業は具体的にどの規則に違反していると考えられるのでしょうか。

法令

特定の業種については事前に行政機関から営業の許可等を得る必要があり、これに違反した場合は罰則が科せられます。例えば、風俗店であれば、風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)及び各地域の条例で開業できる場所や建物・設備の条件等が定められており、もし無許可営業をすると刑罰の対象になります。

管理規約・細則

マンション管理規約や使用細則等には、専有部分(住戸内)の用途や使用上の禁止事項等が定められていることが一般的です。例えば、住戸専用の専有部分であれば管理規約に「専ら住宅として使用するものとする」、事務所専用であれば「事務所として使用するものとする」等と規定されており、それ以外の用途に使用した場合は規約違反・細則違反となります。

 

対処方法

もし違法営業の疑いがある場合、もしくはそれが実際に行われている場合、どのような対処方法が考えられるでしょうか。

実態の確認・調査

該当住戸の区分所有者や入居者本人に対し実態の聞き取りを行うことは、事実確認のために有効と思われます。近隣住戸の入居者からの聞き取りでも有力な情報を得られるかもしれません。当事者以外の方々のプライバシーに十分配慮する必要はありますが場合によっては、共用部分に防犯カメラを設置し、その住戸への人の出入りを確認することにより判断材料とすることも考えられます。

役所や警察に相談する

飲食店であれば保健所、風俗営業であれば公安委員会(管轄の警察署)等、業種により営業許可を管轄する窓口があり、そちらへ連絡することで相談にのってもらえるかもしれません。その際、先述したような実態の確認・調査の情報があるとなおよいでしょう。

法的措置を行う

違法営業の実態があるのに相手側が認めない、やめようとしない等の対応を取る場合、更なる手段として法的措置を行うことが考えられます。法的措置を行う場合は、相談料や委任料等がかかりますが専門家である弁護士に依頼するのがよいでしょう。その際、同様の案件を担当した経験のある弁護士に依頼するのが望ましいです。

訴訟の理由としては、区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)第57条~第60条に規定されている義務違反者に対する措置の条文を理由とするもの、または、管理規約違反・細則違反を理由とするもの等が考えられます。

 

事前の対策

違法営業が既に行われている場合には先述したような対処方法が考えられますが、解決するまでの間、他の入居者は安心して生活を送ることができませんし、法的措置を実施するにしてもお金や時間がかかります。違法営業が最初から行われないよう、事前にできる対策はあるのでしょうか。

管理規約・細則へ規定しておく

国土交通省が公表している「マンション標準管理規約」では、第12条に専有部分の用途、第19条に専有部分の貸与に関する条文が規定されていますので、この条項に、みなさんのマンションの実情に合わせて規定を設けるのがよいでしょう。なお、「マンション標準管理規約」では、民泊の可否に関する条文(専有部分の用途)、暴力団員の排除に関する条文(専有部分の貸与)の例が記載されていますので、参考にしてください。

(ア)住宅宿泊事業を可能とする場合

(専有部分の用途)

第12条  区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。

2  区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用することができる。

 

(イ)住宅宿泊事業を禁止する場合

(専有部分の用途)

第12条  区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。

2  区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用してはならない。

 

(暴力団員の排除)

第19条の2  区分所有者は、その専有部分を第三者に貸与する場合には、前条に定めるもののほか、次に掲げる内容を含む条項をその貸与に係る契約に定めなければならない。

一 契約の相手方が暴力団員(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第六号に規定する暴力団員をいう。以下同じ。)ではないこと及び契約後において暴力団員にならないことを確約すること。
二 契約の相手方が暴力団員であることが判明した場合には、何らの催告を要せずして、区分所有者は当該契約を解約することができること。
三 区分所有者が前号の解約権を行使しないときは、管理組合は、区分所有者に代理して解約権を行使することができること。

出典:国土交通省 マンション標準管理規約(単棟型)

日頃からのコミュニケーション

日頃から他住戸の入居者や区分所有者とコミュニケーションを取っておけば、お互いに違反をしづらくなります。また、情報交換もできますので、既に違法営業が行われている場合でもより早く気付ける可能性が高くなりますのでお仕事等で忙しい方もいらっしゃると思いますが、なるべく理事会や総会には出席するようにしましょう。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。マンションは複数の方が利用する建物ですので、そのうち1つでも法律や規約違反をする住戸があると全体が影響を受けてしまいます。全員がルールやマナーを守って建物を利用していくことが一番の対策ではないでしょうか。

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綾部 祐太

綾部 祐太

あなぶきハウジングサービス 東日本支社 分譲管理事業統括
綾部 祐太(あやべ ゆうた)
東京都出身。2013年入社。
入社から現在まで一貫して分譲マンション管理業務に従事しています。
日々の業務を通じて培った知識や経験をもとに、皆様がより快適なマンションライフを送ることができるよう、有益な情報を発信してまいります。
保有資格:管理業務主任者、宅地建物取引士
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