マンション管理組合の理事長になったらどうすればいいの?

綾部 祐太

こんにちは。あなぶきハウジングサービス 綾部です。

一般的に、分譲マンションの区分所有者(オーナー)になると、何年かに一度の間隔で役員の順番が回ってきますが、管理組合運営のことは何も分からないのに理事長になってしまった、と不安に思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、そんな新任理事長の方向けに、理事長の役割について基本的なことを説明したいと思います。

【管理組合、理事会、理事長について】

まず、分譲マンションを購入すると、区分所有者は強制的にそのマンション管理組合の一員になります。管理組合とは、分譲マンションに関する法律である『建物の区分所有等に関する法律』(区分所有法)第3条に規定されている「区分所有者が全員で建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体」のことを指します。つまり、区分所有者全員で建物や敷地等を維持管理していくための組織ですね。
分譲マンションは管理会社が全て管理してくれるんじゃないの?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、本来は管理組合の業務であるところを管理組合が有償で管理会社に委託している、という構造です。

そして、全ての事柄を管理組合全体で決めるのは大変なので、理事会(管理規約規定に基づいて設置される合議制の業務執行機関)を組織し、基本的に管理規約・細則等や総会承認の範囲内で業務を執行していきます。
理事長とは理事会の長であり、管理組合を代表する立場でもあります。
※上記が最も一般的な組織形態であり、これと異なる形態もありますがここでは説明を割愛します。

【理事長と理事会の役割】

管理組合の代表と聞いて、大変そうだなあと思われるかもしれません。実際、理事長は他役職の役員に比べて担当業務が多くあります。しかし、安心していただきたい理由が二つあります。

一つは、管理会社に管理を任せている場合に限りますが、その業務の多くは管理会社が対応してくれる、ということです(反対に、管理会社に委託しない自主管理方式の場合、理事長や役員のお仕事はとても大変だと思います)。具体的には、居住者対応、理事会・総会の招集通知、理事会・総会資料の作成等です。むしろ、管理会社がきちんと業務を行なっているかをしっかりチェックすることの方が重要かもしれません。また、管理会社はその道のプロですから、分からないことがあれば担当者にどんどん質問しましょう。

もう一つは、理事長という役職は、各マンションの管理規約等の規定にもよりますが、実は思ったより権限がない(=単独でできることが少ない)ということです。基本的に多くの事柄は理事会決議が必要とされますので、むしろ一人で抱えこまず、理事会メンバーで一緒に協力して運営していくのが適切だと思います。

※補足説明
多くの管理組合で取り入れられている「マンション標準管理規約」(国土交通省が公表している管理規約の見本のようなもの)では、例えば、臨時総会の招集(第42条4項)、経費の支出(第58条3項)は理事長単独ではできず理事会決議が必要とされています。また、同第54条では、収支決算案、事業報告案、収支予算案及び事業計画案、規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止に関する案、長期修繕計画の作成又は変更に関する案、その他の総会提出議案 が理事会決議事項とされているので、実質的には理事長単独での決定はできないと解されています。一方で、災害等の緊急時における必要な保存行為(修理等)は理事長単独で行うことができます(第21条第6項)。

 

また、理事長の実務的な仕事として、主に次のようなものがあります。
・理事会、総会の議長 ※議題の説明は管理会社が行うことが多い。
・管理組合公印の保管
・管理組合代表者としての各種書類への署名捺印
・重要書類(管理委託契約書等)の保管
・管理会社からの連絡の窓口 等

 

【まとめ】

いかがでしたか?マンションには複数の住戸が生活していますので、時には様々な問題が発生することもあります。理事長という立場は大変かと思いますが、経験するうちに自分が住むマンションをより理解することができるというメリットもありますので、是非前向きにチャレンジされてみてはいかがでしょうか。

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綾部 祐太

あなぶきハウジングサービス 東日本支社 分譲管理事業統括
綾部 祐太(あやべ ゆうた)
東京都出身。2013年入社。
入社から現在まで一貫して分譲マンション管理業務に従事しています。
日々の業務を通じて培った知識や経験をもとに、皆様がより快適なマンションライフを送ることができるよう、有益な情報を発信してまいります。
保有資格:管理業務主任者、宅地建物取引士
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