マンションにおける防犯カメラの画像保存期間と運用方法について

和田典久 和田典久

こんにちは。あなぶきコールセンターの和田です。
当センターでは月間で約7,000件の様々なお問合せ・ご相談・ご依頼を受け付けています。
その内容は、マンションライフに関わることから、少し離れた内容まで多岐にわたりますが、その中から、皆さんが関心がありそうなこと、知っていそうで意外とご存じ無いこと等々を取りまとめて発信していきたいと思います。どうかお付き合いください。

今回のテーマは、『マンションにおける防犯カメラの画像保存期間と運用方法について』です。さて、皆さんがお住まいのマンションには防犯カメラは設置されていますか?以前はカメラや録画装置も高額だったため、高級分譲マンションでもエントランスなど主要な出入り口付近に数台だけ設置するケースが多かったと思いますが、今は普及が進んで価格も下がっているので賃貸マンションでも設置されるケースが増えています。しかし、実際に防犯カメラの画像を見たことがある方は少ないかも知れません。事件や事故が起きた時に慌てずに済むように、今のうちにマンションライフにおける防犯カメラの活用の仕方をおさらいしておきましょう。

 

Ⅰ.そもそも、防犯カメラってどんなもの?

防犯カメラは、その形状から主に【ボックス型カメラ】【ドーム型カメラ】に分類できます。

【ボックス型カメラ】は文字通り外観が箱型をしています。屋外にも屋内にも設置できます。皆さんが防犯カメラと聞いてパッとイメージするのはこのタイプだと思います。カメラの撮影方向が見た目に明らかなので、監視していることをあえてアピールするような効果(犯罪などを抑止する効果)が期待できます。

画像出典:ALSOKホームページ 「防犯カメラ・監視カメラ」より

【ドーム型カメラ】は半円のドームを逆さにしたような形状です。一見すると防犯カメラっぽく見えないので犯罪抑止効果や威嚇効果は弱まりますが、カメラの撮影方向が見た目に解かりずらいので、監視されているという不快感を与えにくい特徴があります。マンションの場合はエントランスホールなどに設置されているケースが多いと思います。

画像出典:ALSOKホームページ 「防犯カメラ・監視カメラ」より

マンションに設置される防犯カメラは、予め設置計画に基づいて撮影方向を固定したタイプが主だと思いますが、パン(横振り)チルト(縦振り)ズーム(望遠拡大)など撮影方向を操作できる【PTZカメラ】というのもあります。

また夜間撮影時に効果を発揮する「赤外線投光機能」や、日中の「逆光補正機能」、人やモノの動きを検知した時にその前後の時間だけ画像を保存することで録画画像を見直す際の時間短縮になる「動体検知機能」など、機種によって様々な機能が付加されます。

また、【ダミーカメラ】というのがあることも知っておかれた方が良いかも知れません。文字通りダミー(模造品・偽物)のカメラです。当然撮影機能も録画機能もありません。これは事件や事故が発生した際の証拠画像を記録する効果を省いて安価にする代わりに、犯罪抑止効果・威嚇効果に特化したカメラです。
ダミーというとおもちゃのようなイメージかも知れませんが、ランプがチカチカ点滅したりして、パッと見には本物かダミーかは区別が出来ないほど精巧です。犯罪捜査のプロである警察官でも判断に迷うくらい・・・と言うとその精巧さが伝わるでしょうか。

 

Ⅱ.防犯カメラは、どんな時に活用するの?

事件・事故が起きた時の証拠として

マンションで暮らす方が、防犯カメラに一番期待する活用法がこれだと思います。私が経験した事例で言うと①駐輪場での自転車・バイクの盗難事件、②駐車場での接触事故や悪戯被害、③マンションのエントランスのガラスを酔っ払いが破損した事件、④マンション敷地内で女性が襲われそうになった事件・・・などなど、防犯カメラがあったおかげで証拠画像が残り、トラブルの解決に大いに役立った事案をいくつも思い出します。

不審者の出入りの確認として

最近のマンションは分譲・賃貸を問わずオートロック付が主流かと思いますが、それでも「部屋にいたら突然玄関ドアをガチャガチャされた。覗き穴から外の様子を確認したが誰も居なかった。怖いので管理会社でも調べて欲しい」などの不審者事案の相談を受けることはよくあります。こんな相談にも防犯カメラは役に立ちます。
後で説明する通り、通常のマンションであれば各階に防犯カメラを設置しているのは一般的ではないと思いますが、エレベーターのかご内や1階のエントランスホール、1階の外階段の出入口にカメラを設置しているマンションは多いです。これで犯人がドアをガチャガチャする瞬間は映っていないにせよ、どの時間帯に誰が外部から館内に入って何階で降りたかは確認できる場合が多いのです。

ゴミ置場の不法投棄対策として

マンションのゴミ置場は意外と不法投棄が多いんです。「外部から車に乗ってマンションのゴミ置場に無断で捨てていく人を見た」などの情報提供が当センターにも時々入ります。逆に「軽トラックに乗った不審な男性が、マンションのゴミ置場から資源ごみを盗んでいくのを見た」などの通報を受けることもあります。またマンション住民の方によっては、ゴミの分別ルールやゴミ出しの日時を守って頂けない方も残念ながら居られます。
こういう時にも防犯カメラが役に立ちます。実際にカメラで撮影して記録が残る場合はもちろんですが、先に述べたダミーカメラを設置しておくだけでも抑止効果・威嚇効果が働きます。

警察の捜査協力として

ここまではマンションの住民の方からの問合せ事例や、マンション住民の方が被害者(または加害者)になる事例でしたが、実を言うと最近は「防犯カメラの画像を確認させて欲しい」という依頼をするのは圧倒的に警察からの要請であることが多いのが実情です。これはマンション内で事件や事故が起きた場合に限りません。
「お宅のマンションの目の前の道路でひき逃げ事件が発生した」「マンションの周辺で強盗事件が発生し犯人が逃走しているので捜査に協力して欲しい」等々。このような警察からの画像確認要請は、当センターの場合必ず毎日1件は入るくらいに頻繁です。
以前は、警察の防犯カメラの活用法といえば、実際に事件が起きた場所の防犯カメラ画像を確認して犯人の顔や姿を確認するというものでした。今はマンションに限らずコンビニエンスストアやその他の商業施設の防犯カメラ、道路上に設置した車のナンバーの読み取り装置、高速道路出入り口の監視カメラなど、1ヵ所のカメラを「点」で確認するのではなく、複数のカメラを「面」で確認することで犯行経路・逃走経路を追ったり、一つのカメラでは画質が悪くて判別できなかった犯人の姿を複数の画像情報を解析・補正して、捜査に役立てているそうです。

 

Ⅲ.防犯カメラの画像は、どれくらいの期間保存されるの?

さて、マンションライフを送る皆さんが何か事件・事故に遭って「そうだ!防犯カメラを見れば何か映っているかも」となった時に、一番最初に覚えておかないといけないことは「防犯カメラの録画保存日数には限りがある」ということです分譲マンションで一般的なのは管理員室などに録画装置(ハードディスクドライブ)を設置して画像記録を保存するタイプだと思います。(管理員室が無い賃貸マンションでは、画像データをインターネット回線で外部サーバーやクラウドサーバーに保存する「WEBカメラ」という方式を採用することも多いです)。どちらにしても画像は無制限に記録できません。

防犯カメラ画像の保存期間は、①録画装置の容量、②録画画像の画質、③フレームレート、④防犯カメラの設置台数などによって左右されます。
①録画装置(ハードディスク)の記憶容量が大きければ長期間の録画可能ですが、当然ながら装置本体の価格も容量に比例して上昇します。
②録画画質は、カメラの性能向上により今やハイビジョン放送と同等の画質で撮影できるカメラも増えてきました。しかし画質(画素数)が良くなるほどデータ量も増えるので、保存できる日数も短くなります。
③フレームレートと言うのは、1秒間にカメラが撮影するコマ数のこと。数値が高いほど滑らかな画像になります。カメラの動画映像というのは1秒間に何枚というスピードで連続撮影した静止画の集合体なんですね。防犯カメラの画像を見るとデータ圧縮のためカクカクしたコマ送りの画像のことが多いのですが、あまりフレームレートを低くすると素早い動きに対応できず犯人の顔が判別できないことになりかねません。
④防犯カメラの設置台数が増えると、当然画像データも増えるので保存期間が短くなります。しかし、カメラの設置台数を減らして保存期間に余裕を持たせても、カメラに映らない死角が多くなって肝心の画像が撮れてないなら本末転倒ですよね。

これらの要素を踏まえて、マンション・住宅用の防犯カメラの画像保存日数は、概ね10日間から2週間程度の保存期間に設定していることが多いのではないかというのが実感です。保存期間を過ぎれば画像データが上書きされて古いデータは消去されるので、防犯カメラを見たい場合や、画像データの保存を希望する場合は、事件・事故に気が付いたら早めに管理会社へ連絡することが必要です。と同時に逆に言えば今日・明日に画像データが消える訳ではないので、もし土日など管理会社の休業日に事件や事故に遭った場合でも、週明けの対応で充分に間に合います。どうかご安心ください。

 

Ⅳ.防犯カメラの画像データは誰でも見ることが出来るの?

この見出しを読んで「防犯のために画像を録画しているのだから、事件や事故が起きた時に、住民が画像確認できるのは当然でしょ?」と当たり前のように感じた方は居られませんか?
実は、マンションの防犯カメラの画像確認は、マンションの管理組合や管理会社で専用の使用細則や運用ルールを定めてあり、それに従う必要がある場合が多いので注意が必要なのです。

*防犯カメラの運用ルールについては、当ブログの「防犯カメラを設置しているマンションで考えたい運用細則づくり」を是非ご参照ください。

防犯カメラは先に述べたように、犯罪抑止効果や証拠保全効果でマンションのセキュリティを高める必要不可欠な設備ですが、その反面、常時人の動きを監視するので、住民の皆さんのプライバシー保護の観点から、画像確認は「どうしても必要な場合」に「必要最小限の範囲内」で閲覧を認める必要があるのです。
先に「通常のマンションであれば各階に防犯カメラを設置しているのは一般的ではない」と紹介しましたが、これもプライバシー保護の一環です。共用のエントランスホールやオートロックで人の出入りを監視するならともかく、各部屋の住戸の出入りが丸わかりになるような位置にカメラを設置することには、たとえ防犯目的だとしても抵抗を感じる方が多いのではないでしょうか?

「どうしても必要な場合」というのは、具体的に言えば、①事件・事故が現に発生した場合、②事件の予防に必要な場合(例:不審者の出入りを確認する)、③警察からの捜査協力要請があった場合などを指します。また、理事長や理事会の許可を得た上でと定めている場合も多いです。

「必要最小限の範囲内」というのは、事件・事故の当事者、理事長・組合の役員(賃貸マンションであればオーナー様)、管理会社や管理員、警察官などの限られた関係者以外は画像の閲覧に立ち会えないという意味です。無関係な第三者に画像を見せたり、画像データを提供することはできません。また警察から捜査協力の要請を受ければ管理会社として協力しますが、「何月何日の何時から10日分の画像データ全部をデータで提供して欲しい」などの、包括的・網羅的なデータ提供要請には応じられないでしょう。捜査に必要な範囲内でのみデータ提供すれば良いのですから。

マンションのような共同住宅においては、住民様の間でいざこざやご近所トラブルが発生することがあります。「〇〇さんが私に嫌がらせばかりする!〇〇さんをカメラで監視して欲しい!」「管理組合・管理会社が対応しないなら、私が自費で共用廊下にカメラを設置するから許可を出せ!」などの問合せ・ご相談を受けることもあるのですが、犯罪行為とは言えないご近所同士のトラブルでは理事長や理事会がカメラの画像確認を認めることは無いでしょう。また仮に自費であっても、共用部分にカメラを設置することは、共用部分への私物の設置または建物の外観変更となり、管理規約・使用細則で禁じられているのが通常と思います。

 

Ⅴ.まとめ

いかがだったでしょうか?防犯カメラって身近な防犯設備なのに、意外に知らないことが多かったのではないでしょうか。
当センターに入る問合せでも「子供の自転車が盗まれた、警察へ相談する前に防犯カメラを見せて欲しい!え?運用ルール?住民なんだから関係ないでしょう?今すぐ見せなさいよ!」等と仰る方が多いのですが、画像データの保存期間は1日や2日では消去されないこと、プライバシー保護の観点から運用ルールが設けられている場合が多いことを説明すると、皆さんご理解いただけるケースが多いです。
折角の防犯設備ですから、正しく上手に活用して安心・安全なマンションライフに役立ててくださいね。

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和田典久

和田典久

あなぶきコールセンター 和田 典久(わだ のりひさ)
香川県高松市生まれ。早稲田大学法学部卒。
学生時代は弁護士を志すも夢破れて帰郷し、2001年に入社。最初の配属は賃貸事業部。
高松で賃貸仲介を4年、広島でPM業務を5年務めて、2010年12月より現職。
現場経験を生かして、北は北海道、南は沖縄まで全国に展開するお客様からの問合せに自ら対応しつつ、センターのスタッフに指示を出す日々です。
このブログでは、実際にセンターへの問合せが多い内容を中心に、お役立ち情報を発信していきたいと思います。
珈琲と旅行をこよなく愛する、最近メタボ気味な45歳。

【保有資格】宅地建物取引士 管理業務主任者 賃貸不動産経営管理士
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