分譲マンションで役員が知っておきたいマンションルール|管理規約⑥

北原浩二

あなぶきハウジングサービスの北原です。

今回まで5回にわたり標準管理規約の解説をお送りしてきました。皆様がお住まいのマンションで役員を引き受けた場合にご参考としていただく資料としてご活用いただければ幸いです。今回は、管理規約⑥として最終回(会計・雑則)について記載します。

尚、前号までの記事は、こちらからご覧いただけます。

→分譲マンションで役員が知っておきたいマンションルール|管理規約① (管理規約とは、バルコニーの管理)

→分譲マンションで役員が知っておきたいマンションルール|管理規約② (管理費、修繕積立金)

→分譲マンションで役員が知っておきたいマンションルール|管理規約③ (管理組合の役員)

→分譲マンションで役員が知っておきたいマンションルール|管理規約④ (総会)

→分譲マンションで役員が知っておきたいマンションルール|管理規約⑤ (理事会)

目次

  • ◊会計年度
  • ◊収支予算と会計報告
  • ◊管理費等の徴収
  • ◊管理費等の過不足と借入れ
  • ◊まとめ

◊会計年度

通常、管理組合会計は、1年間を会計年度とします。特段の決まりはありませんが、年度(4月1日から3月31日まで)や暦年(1月1日から12月31日)が一般的とされています。また、建物の最初の引き渡し日の当月もしくは翌月から1年間としている例もあります。管理組合役員が町内会役員を兼ねている場合、町内会の会計年度と合わせることもあります。

◊収支予算と会計報告

理事長は、毎会計年度の収支予算案を通常総会に提出し、その承認を得なければなりません。また、予算を変更しようとするときは、臨時総会に提出しその承認を得なければなりません。理事長は、毎会計年度の収支決算案を監事の会計監査を経て、通常総会に報告し、その承認を得なければなりません。つまり、管理組合では、会計の執行状況(予算・決算の両面)は、総会承認事項とし、重要な位置づけとなっています。

◊管理費等の徴収

管理組合は、管理費・修繕積立金・専用使用料等について組合員が各自開設する預金口座から自動振替の方法により一括して徴収します。
組合員が期日までに納付しない場合には、「遅延損害金」と「違約金」を請求できるようになっています。この場合の「違約金」は、弁護士費用・督促および徴収の諸費用をさします。また、「遅延損害金」については、「年利○%」と管理規約で定められていますので、一度確認をしておいてください。通常のデベロッパー初期設定は、18%となっていますが、消費者契約法では、14.6%を上限となりますので、いくらの額を請求するかは、管理会社担当者もしくは弁護士に相談して決めてください。
但し、これらは請求することができるとしてありますので、請求しない選択肢もありますが、負担の公平性からみると一定月数を超えたすべての未収金についても請求することが良いかと思います。

◊管理費等の過不足と借入れ

収支報告の結果、管理費に余剰が生じた場合には、翌年度の管理費に充当されます。逆に不足を生じた場合は、共有持分に応じて必要な金額の負担を求めることができます。この場合には、次に記載する「借入れ」はできませんのでご注意願います。
理組合は、修繕積立金を取り崩して充当する「特別の管理に係る業務」を行うためにのみ必要な範囲において「借入れ」をすることができます。ここで言う「特別の管理に係る業務」とは、大規模修繕・敷地及び共用部分の等の変更などを行うことをさします。とはいえ、借入れを行うと返済が発生します。健全な管理組合会計とするためには、将来予測が必要です。そのためには早め早めに提案してもらえる良きパートナーとなる管理会社がかかせません。あなたのマンションの管理会社は、的確な提案を期待できますか。

◊まとめ

今回まで6回にわたり規約の解説を中心にマンション役員が知っておくべきマンションルールについて記載させて頂きました。よくマンションでは、「何一つ一人では決められない。」とお嘆きになる声を耳にします。管理組合の場合「集会主義」という言葉があります。物事を顔を見ながら話し合って決めていくことだそうです。管理規約の取り決めに従って頂き、理事会・総会をご活用いただき、一人でも多くの方が快適にマンションライフを過ごしていただくことを祈念して、シリーズを終了させて頂きます。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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北原浩二

あなぶきハウジングサービス 北原 浩二(きたはら こうじ)
あなぶきグループ入社一筋。戸建住宅販売・不動産売買仲介・ホテルフロント・ 賃貸仲介・分譲マンション管理・コールセンターの仕事を経験した後、現在はグループ全社のCS推進、ISO認証維持を担当する部署(CS推進室)に所属しています。特にISO認証維持については、品質・環境・情報セキュリティ各分野で社員教育・指導も担当しています。
昨年より、グループが経営する専門学校の不動産ビジネス課で教壇にもたっています。
保有資格:マンション管理士
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