こんにちは。あなぶき建設工業の野嶋です。
マンション・ビル等の新築の現場管理を経て、現在は主に大規模修繕、改修工事の巡回管理をしております。
新築現場と修繕・改修現場では業務のスタイルが違うことから、いまだに初めて経験することがたくさんあり勉強の日々です。
そんな業務の中での発見や気づきなどを発信し、
少しでもブログ読者の皆様に有益な情報がお届けできれば幸いです。
本記事では、建築工事に興味があるけど、工事現場まで足を運んで見学をするのは大変だな~と思われている人のために、私が体験していることを書いていこうと思います。
今回は屋上アスファルト防水改修工事の施工状況を報告していきます。
最初に
改修対象は築30年のマンションで屋上にアスファルト防水を施工されている物件です。
今回の工事では既存アスファルト防水の上に、もう一層アスファルト防水を貼り付ける
工法となります。
既存金物と立上り部のシート撤去
屋上端部のパラペットあご下にある防水押え金物と立上り部の古いアスファルト防水層は撤去します。
立上り部分は密着で新しいアスファルト防水を貼り付けるためです。撤去したコンクリート下地に付着している防水層残存物等のケレン及び清掃をします。
コンクリート等のひび割れ、欠損部はシール材やモルタルで補修します。
下地処理
平場部分は既存アスファルト防水層上を良く清掃し、乾燥していることを確認し、下地調整材を塗布します。
この調整材は下地表面を平滑にするとともに、劣化した旧防水層の活性化を促し再生させる機能があります。
立上り部分は改質アスファルト系プライマーを塗布します。乾燥時間は、天候、気温により違いがありますが、触診や目視によて溶剤が完全に乾燥していること確認します。
アスファルト防水シートの貼り付け
平場にはアスファルト防水シートを2層貼り付けます。1層目は下地に部分的に接着をするシートを使用します。これにより絶縁していることになり、防水層下からの湿気を脱気筒から逃がすことができるようになります。
この1層目のシートは常温で施工が可能で、水下側から水上側へ貼り付けます。シート同士のジョイント部分は規定の重ね巾を確保していることを確認します。重量のあるローラーで平均に押し広げて転圧、密着させます。
次に平場の2層目貼り付け前に、立上り部分のシートを貼り付けます。立上り部分も同様に2層貼り付けます。立上り用のシートは2層とも密着するタイプのシートを貼り付けます。水下側から水上側へ平場部分に規定巾重ねて貼り付けます。平場の1層目の表面には特殊フィルムが付いており、表面をバーナーで溶かすことによって、上のシートと一体化します。
次にドレンや設備配管貫通部の狭小部の貼り付けをします。
こういった細かい場所は実施しにくからといって、適当な処置をしてしまうと漏水の原因になります。漏水物件の原因はこういったドレン廻りにあることがあります。補強シートを重ね貼りして水密性を確保します。
平場2層目のシートは1層目表面の特殊フィルムをトーチバーナーで均一にあぶり、溶解したアスファルトが重ね部からはみ出しているのを確認しながら平均に押し広げて密着させます。この時もシート同士が規定巾以上の重なりを確保します。
最後に防水シート端部を抑え金物で押え、シールを打って防水シート貼り付けは完了です。
仕上塗料塗り
アスファルト防水表面保護化粧材として保護塗装を施します。
一般的にグレー色やシルバー色で仕上げをすることが多いです。
最後に
屋上防水にも様々な工法があり、建物の特性、立地、環境などによって仕様が決まっています。
その中でもアスファルト防水は高級な部類となる防水です。建物で一番雨風を受ける屋根をしっかり保護することが建物を長持ちさせることに直結するので、管理するにはしっかりと計画を立てなければなりません。
これからも安心して暮らしていける建物の維持管理のお手伝いができればと考えます。
野嶋隆多
2015年、マンション新築をメインとする建設会社の現場監督を経て入社。
現在は主にマンション大規模修繕工事を四国4県を股にかけて管理をしています。
業務では安全第一でこれからも取り組んでいきたいと思います。
保有資格 一級建築施工、土木施工、管工事施工管理技士
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