こんにちは。あなぶき建設工業の野嶋です。
マンション・ビル等の新築の現場管理を経て、現在は主に大規模修繕、改修工事の巡回管理をしております。
新築現場と修繕・改修現場では業務のスタイルが違うことから、いまだに初めて経験することがたくさんあり勉強の日々です。
そんな業務の中での発見や気づきなどを発信し、
少しでもブログ読者の皆様に有益な情報がお届けできれば幸いです。
本記事では、建築工事に興味があるけど、工事現場まで足を運んで見学をするのは大変だな~と思われている人のために、私が体験していることを書いていこうと思います。
今回はウレタン防水工事についてです。
最初に
マンションの屋上、バルコニー、廊下の排水溝に施工されている「ウレタン防水」は、大規模修繕工事でよく実施される工事の一つです。一回目の大規模修繕工事では塗装仕上げだった箇所をウレタン防水にグレードアップすることもあります。
ウレタン防水の良いところ
ウレタン防水のメリットは、施工面に凹凸があっても施工可能なことです。屋上には設備機器の架台や手摺の基礎などの凹凸部分があります。そういった部分でも施工が可能です。
シート系の防水も不可能ではありませんが、ウレタン防水の方が施工性がよく、凹凸部にも隙間なく密着させて施工が可能です。その理由は、ウレタンと呼ばれる樹脂を液状にして塗って、防水層を形成するからです。
このウレタンは皆さんの生活の中の身近なものにも利用されています。食器を洗うスポンジ、タイヤ、接着材などに含まれる成分です。
また、軽量であるということもメリットです。建物への負荷が軽減されます。メンテナンスが比較的容易というのもメリットのひとつです。塗ることで防水層を形成しているので、重ね塗りができます。
この点、シート系の防水だと剥がして、新しいシートを張りなおすことになります。
ウレタン防水の主な工法
密着工法
字の通り、下地面に直接ウレタン防水を塗って防水層を形成する工法です。
表面の汚れを高圧水で洗浄した後、下地補修後にウレタン防水を施工します。
最初にプライマー(接着材)を塗ります。その上からウレタン材を塗りかけます。必要とする膜厚が各メーカーの工法毎に異なるため、塗る回数はその都度違います。平均的に屋上パラペットなどは2回塗り。バルコニー、廊下の排水溝は1回塗りです。
更に膜厚を確保する場合は補強布を入れる場合があります。ウレタンを1回塗った上に補強布を張り付けて、更に上から2回ウレタンを塗ります。そうすることによって膜厚が確保でき、ウレタン防水の耐久性も向上します。昨今は材料が改良されて、補強布を入れなくても耐久性が向上し、10年の防水保証をつけることができる工法もあります。
最後に保護塗装をします。シリコン系の塗装材でウレタン表面の保護をします。保護塗装は他にウレタン系など色々ありますが、弊社ではグレードの高いシリコン系で行っています。
通気緩衝工法
この工法は施工面の下に既存防水がある場合や、断熱材の上に施工する場合に採用します。ウレタン防水の層の下に通気層を設けて、湿気を逃がすことを目的とした工法です。湿気が防水層の下に溜まってしまうと膨れの原因となってしまいます。
先ずプライマー塗布後に通気緩衝シートを敷きつめます。その上からウレタン材を塗っていきます。最後に保護塗装をします。
弊社ではルーフバルコニーに施工されることが多いです。その場合は長尺シートを貼り、歩行してもウレタン防水が傷まない仕上げとします。
最後に
ウレタン防水の管理で肝心なことは膜厚を管理することです。メーカーによって規定厚さは様々です。弊社では膜厚検査を施工後に実施しています。工法、部位毎に膜厚が確保できいるか確認し、防水保証をたしかなものとしています。
※防水改修工事には、シート防水、アスファルト防水など他にも改修工法があります。
過去のブログ記事でご案内していますので、是非合わせてご一読ください。
野嶋隆多
2015年、マンション新築をメインとする建設会社の現場監督を経て入社。
現在は主にマンション大規模修繕工事を四国4県を股にかけて管理をしています。
業務では安全第一でこれからも取り組んでいきたいと思います。
保有資格 一級建築施工、土木施工、管工事施工管理技士
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