マンション管理組合会計のポイント⑤|貸借対照表の4つのルール

北林真一 北林真一

今回は、貸借対照表(BS)についての説明です。 通常総会の第1号議案として、事業報告と収支決算報告があります。管理組合の会計年度末現在の資産や負債・正味財産は、どれだけあるのでしょうか?「貸借対照表」を見てみましょう。

■本題に入る前の豆知識

  1. BS:日本語では貸借対照表、英語ではBalance  Sheet(バランスシート)と呼ばれています。頭文字を取って、BSと呼ばれています。
  2. PL:日本語では、損益計算書、英語ではIncome  StatementやProfit and Loss Statement と呼ばれています。日本では頭文字を取って、PL(ピーエル)と呼ばれています。
  3. 会計の種類には、営利の追求を目的とした営利会計と、営利の追求を目的としない非営利会計があります。企業では株主から調達した資金を使って、利益を追求することが重要視されます。一方、公益法人においては剰余金を蓄積することは目的ではなく、活動のために受け取った資金の流れ重要視されます。
  4. 管理組合の業務の目的は、利益を追求する企業とは異なり、共用部分の維持管理を適切に実施することにあります。したがって、共用部分の維持管理という目的のために徴収された管理費・修繕積立金の使途が重要視されます管理組合の会計は、非営利会計であり、公益法人会計に近いものになっています。

 無題

目次

  • BSのルール①について
  • BSのルール②について
  • BSのルール③について
  • BSのルール④について
  • まとめ

最初に、財務3表(PL、BS、キャッシュフロー計算書)のひとつであるBS(バランスシート、貸借対照表)について簡単に説明します。以下のBSの簡易表をご覧ください。

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BSのルール①について

ルール①は、「A資産=B負債+C正味財産(純資産)」であることです。以下、ABCで説明します。Aを100とします。 A100=B30+C70 →上記の例です。 A100=B10+C90、A100=B50+C50、A100=B0+C100 つまり、左側のAと右側のB+Cは常に一致します。「資産=負債+正味財産(純資産)」のバランスが保たれていることから、「バランスシート」と呼ばれています。 ここで、おやっと思われた方がいるかも知れません。管理組合は企業のように、お金を使って利益を得る性格の団体ではありません。企業の貸借対照表では「純資産」を用い、管理組合の貸借対照表では「正味財産」として、表記されています。 管理組合会計は区分所有者から徴収した管理費や修繕積立金等を収入の基礎とし、マンションの維持と管理組合の運営のために必要な支出を行うことを前提としています。貸借対照表は、一定時点(会計年度末現在)における管理組合の資産、負債および正味財産の状況を示し、資産の部の合計と負債・正味財産の部の合計は必ず一致します。

BSのルール②について

ルール②は、「資産」はお金の使い道を表します。 基本的に営利会計では、「資産」は、右側の「負債」や「純資産」から入ってきたお金が資産に変わる場所で、会社が買ったものや残金が表示されています。資産は、会社の資産を開示する場所といえます。 【資産の部の合計=負債+純資産の部の合計】 ここでも、おやっと思われた方がいるかも知れません。企業会計と違って、「管理組合会計における資産」は会計年度内に受け取るべき収入のうち、会計年度末において入金されていない額(未収金)、次期会計年度に支払いをすべき支出のうち、当期に支払い済みの額(前払金)は、資産として計上します。このとき、収入・支出の認識(受け取るべきや、支払うべきという判断)は発生主義によります。 管理組合会計の貸借対照表は、一定時点(会計年度末現在)における財産の状況を示した会計書類であり、資産の範囲には、現金、預金、損害保険(積立部分)、前払金、預け金、仮払金、未収入金があります。

BSのルール③について

ルール③は、「負債」は必ず返すお金のことです。簡単に言えば借金のことです。 会社であれば、事業を行うためのまとまったお金を銀行などから借りる「借入金」などを指します。負債をうまく使って会社を成長させている企業もあります。会社が成長するために必要なお金といえます。   また、おやっと思われた方がいるかも知れません。 管理組合会計上の負債は、会計期間内に支払うべき支出のうち、会計年度末において支払っていない額(未払金)や、次期会計年度に受け取るべき収入のうち、当期に受け取り済みの額(前受金)を負債として計上します。負債の範囲には、未払金、借入金、前受金、預り金、借受金があります。

BSのルール④について

ルール④は、「純資産」は、返さなくてもいいお金を表します。企業会計上、純資産の特徴は、基本的に返さなくていいお金です。 純資産は、①資本金、②過去の利益の貯蓄、③その他の項目で構成されます。資本金は、最初に会社を始めるときに必要なお金です。会社に利益が出た場合は、投資してくれた「投資家」に利益の一部を分配したりします。 さらに、おやっと思われた方がいるかも知れません。 管理組合会計上は、純資産ではなく、「正味財産」として表します。貸借対照表の正味財産の額は、収支報告上の次期繰越収支差額と原則として一致します。 【収支報告書の次期繰越収支差額=貸借対照表の正味財産の額】 【正味財産=資産の部の合計-負債の合計】

まとめ

今回は、「営利会計」を理解しつつ、「非営利会計」の特徴を取り上げ、管理組合会計における貸借対照表の4つのルールをまとめました。これを機に、貸借対照表に興味を持っていただければ幸いです。 

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北林真一

北林真一

あなぶきセザールサポート 北林 真一(きたばやし しんいち)
大学卒業後、一貫して不動産業界に従事してきました。
皆さまの大事なお住まい(マンション)のことは私にお任せください。
【得意分野】・合意形成の進め方 ・大規模修繕工事
【モットー】謙虚であれ、誠実であれ
【特技】日本酒と音楽(邦楽除く)は少しだけ詳しいです。
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