分譲マンション自主管理の3つのメリット・デメリット

松井 久弥

今回は、現在自主管理をしている分譲マンションにお住まいの方に読んでいただきたい”自主管理のマンションのメリットとデメリット”についてご紹介します。

 

分譲マンション自主管理と管理会社委託の違い

日本全国に約600万戸あるマンションで、自主管理をしているマンションは1.9%、その他の92.4%のマンションは管理会社に委託をしています。
円2グラフ
(国土交通省 平成25年度マンション総合管理より)

自主管理のマンションの場合、自分たちでマンションを管理運営していくので、管理組合員の負担が大きくなってしまいがちです。
しかし、管理会社に委託することで、管理組合員の負担が下図のように大幅に軽減されます。

変化

「自主管理のマンションの割合も少なくなってきているし、負担も大きいのであれば自主管理って良くないの?」
と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
自主管理のマンションには良いところもたくさんあります!

自主管理マンションの3つのメリット

1、管理費用が抑えられる

自主管理のマンションは、マンション管理会社に頼むことなく自分たちでマンションの管理運営を行うので、“管理委託費用”が発生しません。
よって、多くの自主管理のマンションがマンション管理会社に委託しているマンションと比べて、毎月の管理費の支出を抑えられているという傾向にあります。

2、マンションの管理運営に対する居住者の意識が高い

マンション管理会社に管理委託せずに、自分たちでマンションの管理運営を行ってるので、居住者の方々の意識が高い傾向にあります。
総会への出席率も高く、8割~ほぼ全員参加しているという管理組合が多いです。
やはり、自分たちで運営しているからこそ、皆さんのマンションに対する意識が高いのだと思います。

3、居住者間でのコミュニティが形成しやすい

マンションの管理運営に対する意識が高いので、自然と居住者間で話し合う機会が多くなってきます。
マンションで隣に住んでいる人の名前も知らない、ということもある中、自主管理のマンションではお互いのことをよく知っている関係性が多い傾向にあります。
地震などの自然災害、いざという時に居住者間で協力し合える体制が整っているのは、日頃からコミュニケーションをとる環境にある自主管理ならではの良さだと思います。

自主管理マンションの3つのデメリット

1、居住者の高齢化による継続性の難しさ

自分たちで管理運営を行っていく自主管理。マンションの資産価値を保ち続けるためには、区分所有者の中に、みんなの意見を聞き出して管理運営に反映させるようなリーダーシップのある方の存在が必須になります。

上手く運営できていたとしても、時が経過するにつれ、区分所有者も高齢化が進んでくると、
「○○さんが理事長でなくなったら、他にマンションのことを分かる人がいない。」
「○○さんと○○さんしか、詳細を知らない。」
「役員を担う体力がない。」
など、役員の成り手不足という問題が昨今発生しています。

2、マンションに関する最新情報や知識を入手しにくい

自主管理のマンションが全体の3割もあった時代と比べ、昭和57年以降、マンションを取り巻く環境は変化してきました。
マンションを適正に管理運営していくための法律が整えられてきたのです。マンションを管理運営するための専門的な情報や知識を得るために、常にアンテナをはっておかなければなりませんが、なかなか難しいですよね。

3、マンション(建物)や設備の管理が不十分になりがち

「マンション管理組合の方必見!法令で定められた7つの点検」でご紹介しているとおり、建物や設備は適切な点検をしていかなければなりません。

「前は実施していたけど、最近まったくこの点検は実施していない。」
「この点検ってしなくちゃいけなかったの?」

といったものはありませんか?

きちんと点検していないと、マンション(建物)だけではなく、居住者の方々にも良くないことが起こってしまいます。

たとえば、鉄筋の腐食によって、コンクリートにヒビがはっている箇所をそのままにしていると、爆裂という現象が起こります。
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ボロッと剥がれおちたコンクリートの塊が、居住者の方々、もしくはマンション近くを通行していた人の頭の上に落ちてしまったら、命に関わる大問題になってしまいます。

まとめ

自主管理マンションのメリットとデメリット、お分かりいただけたでしょうか。
自主管理のマンションにお住まいの方で、メリットよりもデメリットを多く感じることが多くなってきた場合は、一度管理の在り方を見直す機会なのかもしれませんね。

 

 

 

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松井 久弥

あなぶきハウジングサービス:松井 久弥(まつい ひさや)
2000年あなぶきハウジングサービス入社。
全国10都道府県において、管理担当・リプレイス営業・新規拠点立上げ・部門責任者に従事。特にマンション管理会社のM&Aにおいては、案件化からデューデリ・譲渡契約・お客様対応全般・統合後プロセス(PMI)までを実践。
マンション管理士、M&Aシニアエキスパート。
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