はじめまして。あなぶきハウジングサービス高松支店の木村です。
私は部屋ナビ(賃貸)グループのPM課(プロパティマネジメント課:賃貸管理)に所属しております。賃貸物件や賃貸経営に関する事をお伝えできればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
今回は、「賃貸マンションを退去する際に、原状回復費を請求される項目とは?」と題しまして、賃貸マンションを退去する時に修繕費を請求されるか否か、請求されない対策方法をご紹介いたします。
ガイドラインとは?
「ガイドライン」と耳にされた事がある方の多いと思いますが、ここでお話しする「ガイドライン」とは、国土交通省住宅局にて公表されております『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』の事となります。
賃貸住宅の退去時における原状回復はトラブルが急増し大きな問題となっていたこともあり、原状回復にかかる契約関係や費用負担等のルールのあり方を明確にする目的でまとめられております。
私は20年弱賃貸管理を経験しており、年間50~80件程退去立会を実施しておりますので、ご入居者様とトラブルになった退去立会も幾度かありました。又、インターネットで誤った情報も多々流れており、その誤った情報を退去立会に持参されお話し合いが難航した事もございます。近年はこの「ガイドライン」が浸透したおかげもあり、トラブルは減ったのではないかと感じております。
これは請求されるの?
では、この「ガイドライン」を基に退去時によくみられる項目をご紹介いたします。
①タバコのヤニ汚れ
これは入居者様のご負担となります。タバコのヤニ汚れは壁だけではなく天井にも付着し、又、汚れが酷い場合にはエアコンや照明器具等も変色する事があります。その為、壁・天井のクロスの張替え、設備品のヤニ洗浄等を請求される場合が多いです。
タバコの吸う場所を限定すると請求範囲は少なくなります。但し、室内の扉を閉めていても別の部屋に汚れが付着する事もありますので、ご注意下さい。
又、ベランダや共用廊下で喫煙する方もみられますが、近隣の方に迷惑となりますので、お控え頂けますと幸いです。
②押しピンの穴
ご入居者様から質問も多い項目ですが、こちらは請求にならない場合が多いです。但し、密集して穴が発生している場合や、押しピンより太い釘やビスの場合は請求となる場合が多いですのでご注意下さい。
押しピンを気にされて両面テープでカレンダー等を付けられる事もあると思いますが、両面テープを剥がす際にクロスが破れてしまうことが大半ですので、押しピンの方が安全と思われます。
③家電家具の設置跡
次の項目は請求されない項目となっております。
・照明器具の設置跡 ・冷蔵庫焼け(黒い汚れ)
・家電家具を設置していた事による床の凹み ・エアコンのビスの跡
但し、エアコンから水漏れした箇所を放置した汚れやカビ、あらかじめ設置されていた照明器具の取付金物を使用しなかった場合の跡は請求されることがございますのでご注意下さい。
④結露
「結露」とは室内と室外の気温差や湿度によって水滴が生じることで、北側の部屋の窓や壁、クローゼット内に発生する事が多いです。この結露を放置しますと、壁紙にカビやシミが発生したり、酷い時には下地のボードまで湿気で割れてしまうことがございます。
ガイドラインでは、手入れ管理を怠った場合は入居様負担になるとされておりますので、水滴が生じたら拭き取る、又、「結露」を発生させない為に換気や除湿器を利用するなどご注意頂ければと思います。(石油ストーブや加湿器の利用は結露を起こしやすくなります。)
経過年数とは
次に「経過年数」についてお話しいたします。
通常の生活をされている場合でも経年劣化や通常損耗は生じるとの観点により、請求金額は「経過年数」を考慮してオーナー様と入居者様の負担割合を決める事が記されております。壁紙やクッションフロアは耐用年数6年とされており、これは6年で残存価値が1円になると様なグラフになっております。
出典:国土交通省住宅局『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』
その為、先に紹介した請求に当たる項目も経過年数により全額請求されない場合がございます。
しかし、経過年数を考慮しない部材もありますので、ご注意下さい。
≪経過年数を考慮しない部材(一部例)≫
・フローリング
・畳
・襖、障子
・建具、柱
・室内清掃
その他気を付ける事
最後に、気を付けて頂きたい点をお伝えいたします。
「ガイドライン」に基づいて請求対象になるか否かをお伝えいたしましたが、賃貸借契約条項によって請求範囲は異なる場合がございます。例えば一定金額の補修費を支払う事、退去時に必ず掛かる項目が契約書に記されている場合は契約書内容が優先される事となります。ご入居の際は契約書内容を把握した上でご理解して取り交わして頂けますと幸いです。
尚、ご入居中にオーナー様や管理会社が変更する場合もございますが、基本的には一番最初の契約書が引き継がれる事となりますので、契約書はご退去時まで保管された方が安心です。
まとめ
以上、簡単ではございますが退去時の修繕費についてご紹介いたしました。
ご紹介させて頂いた以外の項目も多々発生致しますが、生活されている中で対策して頂き退去時に「しまった!」と後悔しない様になればうれしく思います。
お忙しいなか最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
木村千春
木村 千春(きむら ちはる)
香川県出身。20年近く県外に出ておりましたが、
Uターンを機にあなぶきハウジングサービスに入社しました。
2002年より不動産(賃貸管理)業務を経験し、現在は賃貸物件の管理業務に従事しております。
建築営業にも携わっておりました。
今までの経験を生かして様々な事をお伝えできればと思います。
保有資格:宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士・2級ファイナンシャル・プランニング技能士
最新記事 by 木村千春 (すべて見る)
- 賃貸マンションの鳩(ハト)対策! - 2024年5月26日
- 管理会社の登録義務化「賃貸住宅管理業に係る登録制度」 - 2021年7月17日
- 賃貸住宅を契約する際の連帯保証人の条件や責任内容を解説します! - 2021年6月22日