宅建合格講座! 民法|「制限行為能力者」を解くときのポイント

仲井悟史 仲井悟史

こんにちは、仲井です。今回から、宅建試験の出題分野で管理業務試験と重なる分野を説明いたします。どちらの試験も社内必須ですが、宅建試験の約1ヶ月半後に管理業務主任者試験があるので、両方受験する方は、重なる分野について、同時並行で学習をするのが効率的であるといえます。

現在、宅建試験も管理業務主任者試験もすでに終わっていますが、残念な結果が出た方は、まずは、(かなり辛いですが)悔しい気持ちが残っているうちに、自己分析と反省をし、それを踏まえ、いいスタートダッシュを切りましょう。そして、時が経っても、この悔しい気持ちを忘れないようにしていきましょう。巷では「勉強は300時間必要」とか「過去問は5回解け」などといわれることもありますが、どちらの試験も範囲が広いですし、働いている方などは、勉強時間を確保するだけでも大変です。また、過去問は、1回解くだけでも相当な時間と労力を費やします。「気が付いたらあっという間に試験日」とならないように、初めて受験する方も、再チャレンジする方も、スタートは早ければ早いほどいいです。

今回は「制限行為能力者」について、「未成年者」と「成年被後見人」を中心に説明します。では、早速中身に入りましょう。

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目次

  • 制限行為能力者とは
  • 未成年者について
  • 成年被後見人について
  • その他

制限行為能力者とは

子供等の経済的判断能力が不十分な者について、契約等の行為を制限すること等を通じて、保護を図る制度が制限行為能力制度です。

制限行為能力者には、未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人の4つの類型が定められています。

たとえば、未成年者が単独でおこなった契約等は取り消すことができます

もし、このような制度がなければ、契約等の効力を争う際に「私は契約時に判断能力が不十分だった」ということをいちいち証明しなければなりません。そこで、民法は、経済的判断能力が不十分な者を制限行為能力者として類型化し、これらにあたれば、民法の定める保護が受けられるとしているのです(契約の相手方にとっても、「この人は未成年者だから、契約をしても、後で取り消されるかもしれないな」と予測がつきやすいのです)。

では、ここから未成年者と成年被後見人について概要を説明します。

未成年者について

1未成年者とは

民法では「年齢二十歳をもって、成年とする」とされています。ただし、「男は、十八歳に、女は、十六歳にならなければ、婚姻をすることができない」「未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす」とされており、20歳未満の者でも、婚姻をしたときは、民法上、成年者と同じ扱いを受けます(婚姻による成年擬制)。したがって、20歳未満で婚姻をしていない者が、「未成年者」であるといえます。

2未成年者の法律行為

さて、民法では、「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人(親権者や、親権者がいない場合の未成年後見人のことです)の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。(この規定に)反する法律行為は、取り消すことができる」とされています。また、これらの規定にかかわらず、「法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする」とされています。

以下、説明しましょう。

すなわち、まず、未成年者が同意なしに単独で法律行為をおこなった場合、原則として、その行為を取り消すことができます(「単独で」とは、「親に内緒で」くらいの意味です。複数だったらOKという意味ではありません)。「取り消すことができる」なので、もし未成年者がたまたま有利な契約をしてきた場合は、「取り消します」と言わないでそのままにしておいてもかまいません。そのため、制限行為能力者の相手方には催告権が認められており、相手方は、1ヶ月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができます。

なお、「取消し」自体は、未成年者が法定代理人の同意なしに単独ですることができます

次に、以上に対し、法定代理人の同意を得た法律行為は、完全に有効であり、取り消すことができません。こんな場合まで取消しになったのでは、法律行為の相手方が困りますからね。

そして、他にも取り消すことができない行為があり、単に権利を得または義務を免れる法律行為も、未成年者が単独でおこなっても、完全に有効であり、取り消すことができません。そもそも取消しは、未成年者を保護するためのものですが、単に物をもらったり、借金を引いてもらう行為は、未成年者が損をしないので、取消しを認める必要はありません。

また、処分を許された財産(お金を渡してお使いを頼むような場合や、いわゆるお小遣いの場合)の処分も、完全に有効であり、取り消すことができません。

3未成年者の営業の許可

さらに民法では、「一種または数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する」とされ、親等から営業を許された場合、その営業の場面では、成年者と同じ扱いを受けます。実際、営業の場面では、いちいち親等の同意を得ていられないですよね。

以上のように、法定代理人の同意がない場合、未成年者の法律行為は、原則として、取り消すことができますが、単に権利を得、義務を免れる行為や、処分を許された財産の処分や、営業の許可を受けた場合におけるその営業上に関する行為は、取り消すことができません。

成年被後見人について

1成年被後見人とは

民法では「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる」「後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する」とされています。すなわち、年齢に関係なく、事理弁識能力を欠く常況にあり、後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人として、保護者として成年後見人が付されるということです。

2成年被後見人の法律行為

民法では、「成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない」とされています。

すなわち、「事理を弁識する能力を欠く常況」のもとでの法律行為ですので、未成年者よりも取消しの範囲が広くなり、「日用品の購入その他日常生活に関する行為」以外は、取り消すことができます。

たとえ同意を得た行為でも、単に権利を得る行為でも、行為の意味が分かっていないため、取り消すことができることにご注意ください。

なお、一時的に事理弁識能力を回復したとしても、後見開始の審判が取り消されていないときは、原則通り「成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる」とお考えください。

また、「取消し」自体も、原則として、成年被後見人が単独でおこなうことができます。

3成年被後見人の居住用不動産の処分についての許可

成年被後見人の居住用不動産の処分についての許可についても触れておきましょう。

成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物またはその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除または抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければなりません

成年被後見人の居住の安定を図るための規定で、たまに本試験で出題されます。

その他

最後に、制限行為能力者に関する他の規定(詐術、取消権の期間の制限、第三者との関係)についても触れておきましょう。

1制限行為能力者の詐術

制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができなくなります。

なお、どういった場合が詐術に当たるかにつき、民法では明文はないものの、判例では、制限行為能力者であることを「黙秘していた場合でも、他の言動とあいまって、相手方を誤信させ、または誤信を強めたとき」は詐術に当たるが、「単に…黙秘しただけでは詐術に当たらない」とされています。

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2取消権の期間の制限

取消権は、追認をすることができる時(たとえば、未成年者が20歳になった時)から5年間行使しないときは、消滅します。行為の時から20年を経過したときも、同様です。

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3第三者との関係

たとえば、未成年者Aが Bに不動産を「売ります」という意思表示をし、さらに買主Bが第三者Cに転売した場合を考えてみましょう。この場合、Aは、制限行為能力による取消しをCに対抗できるのでしょうか。つまり、「取り消したんだから、その不動産を返してよ」と主張できるのでしょうか。

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この場合、制限行為能力者の保護という趣旨を徹底するため、取消しを善意(=事情を知らないこと)の第三者にも対抗できるとされています。

…今日はこれぐらいにしておきましょう。制限行為能力者は、出題の少ない分野ですが、出題されたときは、以上のポイントを使って何とか正解肢を導き出すようにしましょう。

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仲井悟史

仲井悟史

あなぶきハウジングサービス 東京東支店:仲井 悟史(なかい さとし)
東京イーストエリアで約10年にわたりマンション管理担当者を経験しています。前職は資格試験予備校で長年にわたり宅建等の講師として教壇に立っていました。その経験を活かし、現在、社内講師も務めています。息子たちと野球をしたり観たりすることが最大の楽しみ。
保有資格:管理業務主任者・マンション管理士・マンション維持修繕技術者・宅地建物取引士
特技:中国語
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