あなぶきセザールサポートの生山です。
今回は前回に引き続き、賃貸で部屋を借りるときの「重要事項説明」で知っておきたいポイントについてご紹介します。
目次
- 建物の表示
- 貸主の表示
- 登記簿に記載された事項
- 法令に基づく制限の概要
建物の表示
ここには契約する建物のことが記載されています。マンション名、部屋番号、住居表示、地番、床面積、間取り、構造、新築時期、交通の便など。
住居表示と地番
住居表示というのは住所のことで、「住居表示に関する法律」という法律にもとづき、各自治体が定めているものです。地番というのは「不動産登記法」という法律にもとづいて定められた土地の番号のことです。賃貸で住むときも住居表示=住所のことなので覚えておく必要がありますが、地番まで覚えておく必要はないと思います。
交通の便
交通の便については、「○○駅徒歩○分」といった記載があります。
不動産の広告では徒歩1分を80mで換算することになっています。徒歩5分と書いてあれば400mということです。ちなみに自転車は1分何メートルといった決まりはありませんが、一般的には1分200~250mといわれています。(時速12~15キロ、意外と早いんですね!)400メートルでしたら自転車で2分弱ということです。
貸主の表示
貸主=所有者ではありません。貸主と所有者が違う物件もあります。貸主と所有者が違うケースはこんな感じです。
・所有者Aさんが不動産会社Bを代理人として賃貸を任せている。
・所有者Aさんから不動産会社Bが一括して借り上げて又貸ししている。
登記簿に記載された事項
「甲区欄」に「所有権に係る権利に関する事項」、「乙区欄」に「所有権以外の権利に関する事項」が記載されています。
「甲区欄」の「所有権に係る権利に関する事項」が「無」となっていれば問題ありませんが、「有」となっているときは差押登記や仮登記をされている可能性がありますので要注意です。
「乙区欄」の「所有権以外の権利に関する事項」には抵当権や地役権等が記載されます。
ローンがあれば、銀行等が抵当権者として設定されています。
法令に基づく制限の概要
当該宅地建物が造成宅地防災区域内か否か
簡単な言い方をすれば、「物件が造成宅地防災区域という区域内にあるか、区域外にあるか」です。地震等の災害が発生した際に崖崩れや土砂災害が発生する恐れがあるところは、宅地造成等規制法という法律に基づいて造成宅地防災区域に指定されることがあります。区域内であれば災害の際に被害が出る恐れがありますので、十分に説明を受けましょう。
当該宅地建物が土砂災害警戒区域内か否か
これも造成宅地防災区域と同じで、土砂災害防止対策推進法(正式名はもっと長い!)という法律に基づいて、長雨、大雨等により土砂災害が発生する恐れのある地域が「土砂災害警戒区域」「土砂災害特別警戒区域」に指定されることがあります。特別警戒区域の方がより危険性が高い、という認識でいいと思います。これも、もし区域内であれば十分に説明を聞いておきましょう。
当該宅地建物が津波災害警戒区域内か否か
これも土砂災害警戒区域と同じで、津波防災地域づくりに関する法律という法律に基づいて、津波による災害が発生する恐れのある地域が「津波災害警戒区域」「津波災害特別警戒区域」に指定されることがあります。土砂災害と同じで特別警戒区域の方がより危険性が高い、という認識でいいと思います。もし区域内であれば十分に説明を聞いておきましょう。
造成宅地防災区域・土砂災害警戒区域・津波災害警戒区域のいずれかに該当した場合は、契約をするかどうかの大きな判断基準になると思います。これらの説明をすることは宅建業者に義務付けられていますが、万一説明が無かった場合は必ず確認してくださいね。
次回も引き続き重要事項説明の中で気を付けておきたいポイントについてご紹介します。
生山 亨
分譲マンションの管理担当(フロント)を経て賃貸仲介・賃貸管理・売買仲介・総務業務を経験。長年やってきた賃貸業務、中でも特に空室の改善、対策は得意分野です。現在は、あなぶきスペースシェアにおいて宿泊事業・マンスリー事業を行っています。
保有資格:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・管理業務主任者
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