賃貸オーナーが海外に赴任!?~必要な手続きについて~

こんにちは!
あなぶきハウジングサービスの中山です。

野山が若草色に染まり、あちらこちらに早春の息吹を感じる季節となりましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。
引っ越しシーズン真っ只中。急な転勤の辞令にあたふたされている方もいらっしゃるかもしれません。中には国内ではなく国外に転勤の方もいらっしゃることでしょう。
2020年にコロナウイルスが世界に広がり、海外へ赴任していた社員が帰国したり、赴任が延期になったりと海外への赴任は一時的に減少傾向でしたがウィズコロナの時代では海外赴任を決める企業も少なくないと思います。
そこで今回は賃貸オーナーが海外赴任となった場合、いわゆる海外家主になった場合にどういった手続きが必要なのかについてご説明をさせて頂きます。

海外家主とは?

日本では所得税法上、個人の納税義務者を「居住者」「非居住者」の2つに分類しています。
国内に住所(個人の生活の本拠地)を有し、もしくは1年以上居所(生活の本拠ではないが実際に居住している場所)を有する個人を「居住者」、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しているのです。
つまり、海外に1年以上赴任する方は税法上「非居住者」にあたりますが、この「非居住者」にあたる賃貸オーナーのことを「海外家主」といいます。

 

海外家主の納税方法

日本国内での収入がある場合はその収入に対しての納税義務が発生するため、「非居住者」である海外家主も確定申告を行い、税金を納める必要があります。
国外にいる海外家主の代わりに確定申告書の提出や税金の納付などを行う人のことを「納税管理人」といいますが、この選任は日本を出国する前に「納税管理人届出書」を提出することで可能となります。
もちろん、「納税管理人」を定めずとも本人が確定申告することも可能ですが、「納税管理人」が「その年の1月1日から出国までに得た全所得」と「出国翌日から12月31日までに得た国内源泉所得」の合計額を翌年の確定申告時期に申告するのに対し、本人の場合は「1月1日から出国までの給与以外の所得」について出国前に確定申告をしたうえで、「その年の1月1日から出国までに得た全所得」と「出国翌日から12月31日までに得た国内源泉所得」の合計額を翌年の確定申告時期に帰国し、直接税務署で申告する必要があるため注意が必要です。

納税管理人には誰がなれるのか

先ほど記述したとおり、手続きが二度手間になることや帰国が必要なことを考えると「納税管理人」を定める選択をする方も多くいらっしゃいます。
では、「納税管理人」には誰がなれるのでしょうか。
税務署では「納税管理人」の選任について法人・個人を問いません。
つまり親族や友人、税理士などの個人、または籍を置いている会社などの法人でも選任することが可能です。
ただ、注意が必要なのは節税などの税務相談や確定申告書の作成を依頼する場合には、税理士資格を有する者に依頼する必要があるという点です。
確定申告書の提出や税務署との書類のやりとりなど簡単な事務作業であれば誰が納税管理人であっても問題ありませんが上記の内容については「税理士の独占業務」にあたるため資格を有するものである必要があるのです。
税理士に納税管理人を依頼することで納税に関するさまざまな手続きを任せることができるため、不安がある方は税理士に依頼することを一考されるといいでしょう。

借主が法人の場合の納税

すでに賃貸中のオーナーは賃借人が法人である場合にはさらに注意が必要です。
なぜなら賃借人が法人である場合、税務署では不動産所得の申告漏れを防ぐためにその賃料を支払う者が支払いの際に源泉徴収相当額を税務署に支払うように義務づけているからです。
具体的にどういった支払い方法になるのかというと賃借人である法人は、賃料の20.42%相当額を源泉徴収税として税務署に納税し、残りの79.58%相当額を賃貸人に支払います。
この納付を怠った場合納付義務のある賃借人側の法人に延滞税や不納付加算税が課されます。
こういった理由から、法人によっては海外家主の物件を避ける傾向があり、賃貸に出す場合はその点を加味した条件設定を行うことをおすすめしています。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。
賃貸のオーナーは海外転勤になると出国前に行う必要のある手続きも多く、複雑です。
ご自身の引っ越しの準備も国内以上に大掛かりになることが想定されますので、余裕をもって手続きを行いましょう!
(以前掲載の記事:「海外へ転勤する方へ…分譲マンションを賃貸する際に注意する5つのコト」)

 

The following two tabs change content below.

中山知聡

中山 知聡(なかやま ちさと)
香川県出身。2013年に入社し、高知県にて賃貸物件の仲介業務を3年経験。
香川県へ異動後は引き続き仲介業務を経て、現在は管理業務に携わっています。
ご入居者様の快適な賃貸ライフをサポートできるようなお役立ち情報を配信していきたいと思っておりますので宜しくお願い致します。

保有資格:宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士
  • twitter
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

ブログの読者になる

ブログの読者になると新着記事の通知を
メールで受け取ることができます。
読者登録はコチラ

最近書いた記事

関連の記事

  • facebook
  • feedly
  • rss
backtotop