海外に転勤する方へ…分譲マンションを賃貸する際に注意する5つのコト

三輪有香 三輪有香

あなぶきハウジングサービスの三輪です。
ここ数年、賃貸マンションのオーナー様でも、“海外へご転勤されるオーナー様”や“退職後に海外へ移住されるようなオーナー様”が増えてきたように感じています。
(うらやましいですね…)
『分譲マンションや一戸建てを賃貸に出す』その中でもちょっと特殊なケースとして、海外在住のオーナー様が日本国内の物件を賃貸するにはいくつか注意する点があります。
今回は海外へ転勤・移住する方に気を付けてほしいポイントをまとめてみました。

目次

  • そもそも『海外オーナー』とは?
  • 納税管理人を決めましょう
  • 借主が誰になるかは要チェック!
  • 連絡先をしっかり伝えてトラブル防止
  • 年の中途で出国…確定申告は?
  • まとめ

 

 

そもそも『海外オーナー』とは?

外国人でなくても、日本国内に住所が無く、かつ現在まで引き続いて1年以上日本国内に居所がない人所得税法上の非居住者=海外オーナー様という扱いなります。例えば日本の会社に勤務しているサラリーマンが、1年以上の予定で海外の支店などに転勤すると『非居住者』となります。

非居住者に該当した場合、日本国内で発生した一定の所得(国内源泉所得)については引き続き日本の所得税が課税されます。国内にある不動産(土地、貸家、賃貸用マンション等)の賃貸料収入などは、まさにコレに当たります。
このことを知らず、何の手続もしていなかった場合、困ったことになる可能性も・・・
そのためにも次にご説明する『納税管理人』が必要になります。

納税管理人を決めましょう

海外に転勤するので『非居住者』になってしまう!そうなった時には、国外にいる自分に代わって、確定申告や税金の納付等、納税義務を果たすために『納税管理人』を定める必要があります。
出国する前に、納税管理人を決めてオーナー様の納税地を所轄する税務署長に「所得税の納税管理人の届出書」を提出しておきましょう。

この届出書を提出してから以後は、税務署が発送する書類は納税管理人宛に送付されるようになります。
ただし、確定申告書についてはオーナー様の納税地を所轄する税務署長に対して提出しなければなりません。

なお、納税管理人は法人でも個人でも構いません。
私が今までご担当させていただいたオーナー様は、ご両親やご兄弟にお願いされる方が多かったですね。
もちろん税理士さんになってもらっても大丈夫です。

ここで決めた納税管理人が後々重要になってきます。

借主が誰になるかは要チェック!

「マンションの借主が見つかった。いよいよ賃貸借契約が始まる!」となった時も、気を付けておきたいことがあります。
それが『個人契約』『法人契約』か、ということ。
借主が個人の場合と法人の場合では違う所がありますので、少し触れておきます。

個人契約の場合

借主が個人名義にて契約する場合は、源泉徴収は不要です。つまり、個人借主は賃料の満額をオーナー様へ支払うようになります。
その後、オーナー様にて届出された納税管理人の方が所轄の税務署へ確定申告をするようになります。
この点、個人契約の場合は、納税管理人が申告をすること以外は国内オーナー様の場合と特に違いはありません。

※ただし、個人契約の場合でも居住用以外の用途(例えば事務所や店舗といった事業用として使う等)で契約をする際は、源泉徴収が必要になります。
その場合は次の法人契約の場合と同様になります。

法人契約の場合

借主が法人名義で契約をする場合は、源泉徴収が発生します。
これはどういう事かというと、借主である法人が、毎月の賃料のうち、79.58%相当額を海外オーナー様へ支払い、その翌月10日までに残りの20.42%相当額を税務署に納税するようになります。
つまり、たとえば毎月10万円の賃料で賃貸借契約を締結した場合、毎月借主からオーナー様へ支払われるのは79,580円になる、という事です。

実際、海外オーナー様の中には毎月の振り込まれている額を見てびっくりされる方もいらっしゃいます。「なぜこんなに差し引かれるんだ!」とご納得されない方もいらっしゃいました・・・
しかしご安心ください!ここで先ほど登場した『納税管理人』が活躍します!

納税管理人の方が、海外オーナー様に代わって翌年2月16日から3月15日までの間に、その年の確定申告をすることによって源泉徴収された金額の精算をすることができるのです!
20.42%の源泉徴収では所得税が払い過ぎになる場合は、確定申告で実際の税額との差額分を還付請求ができるので、結局、国内オーナー様と同じ税率が適用されるというわけです。
なお、この還付請求権は5年を過ぎると無くなってしまいます。海外転勤から5年以内に帰国されるような方ならば帰国後にまとめて還付申告をすることもできますが、納税管理人をしっかり決めたうえで、その方に毎年確定申告(還付申告)をしていただくのオススメです。

また、還付を受ける際の返金口座は納税管理人の口座に返金されます。ですので納税管理人は親や兄弟など信頼のおける方にご依頼いただくのが一番ですね。

以上のように、法人が借主となる場合、源泉徴収の必要があるため、その法人の社宅規定で海外オーナー様の物件はNGとなっていることが多いです。
海外に転勤するから今住んでいるお部屋を賃貸に出そうと思った際は、個人契約をメインターゲットとして募集条件を設定しておく方が良いと思います。

連絡先をしっかり伝えてトラブル防止

私が賃貸管理の担当として海外のオーナー様をご担当させていただいた際に、困ったことの一つが『なかなか連絡が取れなかったこと』です。
お電話番号はお伺いしていたのですが、時差があるためなかなか繋がらなかったり、電波の調子が悪かったり…と四苦八苦してしまいました。
そこで、海外に出国される際には電話番号(国際通話ができる番号)、メールアドレス、郵送先住所
 ①借主(入居者)
 ②管理会社(お部屋の賃貸管理を委託している場合)
に伝えておきましょう!

特にメールによるやり取りが想定されますので、メールアドレス必ずお伝えしておくようにしましょう。
また、国内に代理人を選任しておくのもお勧めです。書類の郵送やお部屋の修繕対応、解約時の手続等がスピーディーで確実にできるようになるので、誰かお願いできそうな方がいらっしゃいましたら、代理人を依頼しておきましょう。

もう一つ、ご用意しておけばよいのが『委任状』です。
私が担当していた海外オーナー様のお部屋が、ある企業から法人申し込みをいただき、社内規程もOKということで無事に契約ができました。
その際に、通常の契約書や重要事項説明書に加えて、海外へ出国したことがわかる証明の提出を求められました。
色々調べて、役所で住民票を取得すればその証明になることが分かったのですが、ここで困ったことが…
オーナー様はご家族と一緒に既に海外にいらっしゃるし、納税管理人の方は県外在住。急ぎ書類を揃えられるのは私しかいなかったのですが、役所窓口でオーナー様の代わりに住民票を取るには『委任状』が必要です。
しかも、委任状はコピーでは受理してもらえず、原本を用意し、住民票を取得するのに非常に時間と手間がかかることとなったのです。
このような事態を避けるためにも、国内にご家族が残られるのであればご家族に、もしくは代理人の方や管理会社へ『委任状』を預けておくのが良いと思います。(委任状の書式は各市役所のHPなどでもダウンロードできます)

年の中途で出国…確定申告は?

国内にある不動産(土地、貸家、賃貸用マンション等)の賃貸料収入も確定申告が必要。
これは分かったけど、じゃあ出国した年はどういう風にすればいいの?
この疑問についても、先ほど述べた『納税管理人』が関わってきます。
原則は、
 ①海外へ出国した年の1月1日から出国する日までの間の全ての所得
 ②その翌日から12月31日までの間の国内源泉所得(賃貸料等)
を合計して確定申告をするようになります。
ただし、確定申告書の提出期限が納税管理人の届出を提出したタイミングで変わってきます。

納税管理人を出国までに届出た場合

上記その年分の国内での所得について、翌年2月16日から3月15日までの間に納税管理人がまとめて確定申告を行うので大丈夫です。

納税管理人を届出ずに出国した場合

上記①の出国するまでの所得については出国の時までに確定申告(準確定申告)をしなければなりません。
また、①を申告したとしても再度①と②について、翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告をする必要があります。

ここでも納税管理人を定めておくかどうかで、ちょっとした手間が増えてしまうことがありますので、ご注意してください。

まとめ

今回は私の実務経験を交えながら海外オーナー様のご注意点を挙げてみました。私が思う重要ポイントはやっぱり『納税管理人』ですね。
また、賃貸借契約は『借主』という相手がいることになります。海外オーナー様かどうかにかかわらず、借主(入居者様)の負担や不安を出来る限り少なくしてあげることが必要ですよね。“ちょっとした気遣い”がトラブルの防止にも繋がってくると思います。

実際に持家を賃貸に出す事をご検討の方は、併せて以下の記事もぜひ読んでみてください♪
分譲マンションを貸す時、知っておきたい5つのポイント!

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三輪有香

三輪有香

あなぶきスペースシェア 運営事業部 三輪 有香(みわ ゆか)
島根大学卒業後、2009年に入社しました。賃貸物件の仲介営業に4年間従事し企画室へ。1年半の産休・育休を取得後、賃貸事業部に復帰しました。2018年2月1日にあなぶきスペースシェアの設立と共に現在の会社へ。初めて触れるシェアリングエコノミー事業ですが、七転八起で頑張ります。保有資格:宅地建物取引士、管理業務主任者、福祉住環境コーディネーター2級
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