あなぶきセザールサポートの生山です。
前回は重要事項説明の中でも特にマンションならではの項目「一棟の建物又はその敷地に関する権利及びこれらの管理・使用に関する事項」について説明しました。
今回は重要事項説明の中で、「取引条件に関する事項」のポイントについてご紹介します。
目次
- 代金及び交換差金以外に授受される金銭
- 契約の解除に関する事項
代金及び交換差金以外に授受される金銭
代金というのは物件の売買代金のことで、交換差金というのは金銭以外の財産を交換する場合で、譲渡する財産と取得する財産が同額でないときに、その差額を補うために授受される金銭のことをいいます。
代金及び交換差金以外に授受される金銭とは、売買に伴い必要となる諸費用のことです。(手付金、固定資産税・都市計画税の精算金、管理費・修繕積立金の精算金など)
契約の解除に関する事項
ここではどんな場合に、どのようにして契約を解除できるのか確認しておきましょう。
手付解除
買主は契約の際に支払った手付金を放棄することで契約を解除することができます。売主は買主に手付金の倍額を支払うことで契約を解除することができます。
ただし手付解除ができるのは、いずれも“相手方が契約の履行に着手するまで”ですので、所有権移転登記をした後には手付解除はできません。
引渡し前の滅失又は毀損等の場合の解除
これは引渡し前に売主、買主の責任ではない事由(自然災害など)で、マンションが倒壊したり毀損したりしてしまったときのことです。契約から引渡しまでに、数週間の期間が空くことは珍しくありません。その間に自然災害等が発生してしまってマンションが倒壊したりした時は契約を解除できる、というものです。このケースでは、双方違約金は発生しませんし、手付金も売主から買主に無利息で返還しなければなりません。
契約違反による解除
売主(もしくは買主)が契約に定める債務を履行しないとき、相手方は契約の履行を催告し、それでも応じないときに契約の解除をすることができます。違約金は契約によって異なりますが、一般的には売買代金の10~20%とされることが多いです。(宅地建物取引業者が売主の場合は違約金の上限は売買代金の20%と定められています。)
融資利用の特約による解除
住宅ローンの融資が受けられなかった場合の解除、いわゆる「住宅ローン特約」というものです。ローンが通らなかった場合、違約金を支払うことなく契約を解除することができ、売主に支払った手付金も返してもらうことができます。住宅ローンを利用して購入する時は、万一、ローンの審査に通らなかったときのために、必ずこの内容を確認しておきましょう。
その他
他に「買替え特約がある場合」や「借地権付きの場合」など、特殊なケースで「契約の解除に関する事項」に記載される項目があります。今回は主に契約の解除に関する事項について、そのポイントを説明しましたが、解約に関することは大きなトラブルにならないためにも重要なポイントですので、しっかりと内容を確認しておきましょうね。
生山 亨
分譲マンションの管理担当(フロント)を経て賃貸仲介・賃貸管理・売買仲介・総務業務を経験。長年やってきた賃貸業務、中でも特に空室の改善、対策は得意分野です。現在は、あなぶきスペースシェアにおいて宿泊事業・マンスリー事業を行っています。
保有資格:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・管理業務主任者
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