分譲マンションで可能なリフォームと制限されているリフォーム。やってもいい?ダメ?5つの事例

木須 拓己

こんにちは。木須です。
今回は分譲マンションで、「やって良いリフォーム」(リフォーム可能なもの)と「やったらダメなリフォーム」(制限されているもの)をお伝えします。

分譲マンションでリフォーム工事を経験した皆様の中には、
自分が実施したかった工事をリフォーム業者さんに依頼した際、「それはできないリフォームですよ」と」「管理組合さんの許可はありますか?」
とか言われた方がいらっしゃるのではないでしょうか…。

分譲マンションには、【共用部】と【専有部】の区分けがあるため、
リフォーム工事の中でも「できること」と「できないこと」の制限があります。
そこで今回は、「このリフォーム工事はやってもいいの?」といったご質問が多い5つの事例についてご紹介したいと思います。

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①窓の断熱性・防音性を高めたい

お部屋の結露対策やエアコン等のエネルギーをガラスから逃がさないための
「単板ガラス⇒複層ガラスへの交換」
「単板ガラス⇒Low-Eガラス(高断熱ガラス)への交換」
「二重サッシ(インナーサッシ)の取付」

といった高性能の窓やガラスへの交換・取付のご要望が多く見られますが、
これらのリフォーム工事はできるのでしょうか?

答えは基本的には×です。
窓サッシや窓ガラスは専用使用権のある共用部分ですので、専有部ではありません。

ただし、国土交通省の「マンション標準管理規約」によると、2004年の改正で「窓ガラスの防犯性、防音性、または断熱など住宅の性能向上を目的とするものに関して、管理組合が計画的な修繕を速やかに実施できない場合は区分所有者の責任と負担で実施できる」という細則があります。

これは標準管理規約の文言ですので、実際にお住まいのマンションの管理規約内の使用細則に、上記の内容が含まれているときは検討が可能です。

また、「二重サッシ(インナーサッシ)の取付」に関しては、
お部屋の中にもう1つ窓サッシを取り付けるリフォーム工事ですので、
取り付けることが可能です。

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インナーサッシ:インプラス / LIXIL

②床をフローリングに変更したい

「いまはカーペットだけど、フローリングに変えたい!」
といった要望は、非常によく聞くリフォーム相談の1つです。
カーペットや畳からフローリングにするリフォーム工事は可能なのでしょうか。

こちらは基本的に○です。
お部屋内の床は専有部になりますので、リフォームは可能です。

ただし、下階への騒音問題がありますので、
遮音等級のとれたフローリングが求められます。(LL-45やLL-40といった表記)

「1階は基本的に遮音等級のないフローリングでも可能」、といった場合や
マンションによっては「基本的にフローリングへの交換はNG」、といった特有の使用細則がある物件もありますので、事前に管理組合もしくは管理会社へお問い合わせください。

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③玄関ドアの色を変えたい

マンションのドアの色や装飾を自分好みに変更したい」
という要望も多い声の1つです。
ズラッと並んだ玄関ドア。こちらはどうでしょうか。

答えは△です。
基本的には、ドアを垂直方向に割ったとしたら、外側は共用部、内側は専有部という考え方をします。
ですので、共用廊下側半分は変更不可、お部屋内側半分は変更可能ということです。

お部屋内側は一般的なスチールドアで塗装であれば塗り替えることが可能です。ただし、皮のような表面素材の場合は、塗装できません。
その場合は、『カッティングシート』を貼って表装をリフォームできます。

また、「鍵」も専有部分ですので、併せて防犯性の高い鍵への変更も考えられたらいかがでしょうか。
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④お水やお湯の配管を交換したい

「築年数が経過して配管からの漏水が心配になってきた…」
これもよくある心配事だと思います。
目で見えない部分の配管から下階へ漏水したら、と想像しただけでも恐ろしいですよね。実際に、築年数の経ったマンションでは配管の老朽化による漏水は起こりうる事態です。

配管の交換工事。

こちらは△です。
お部屋の外側、玄関ドアの横にPS(パイプスペース)という空間があると思いますが、そこにある水道メーターから室内側の配管は専有部、建物側の配管は共用部です。
玄関ドアの考え方と同じですが、メーターから室内側の配管は変更が可能です。

可能なんですが、実際にはお部屋内に通っている配管のほとんどは『床の下』に存在します。
ユニットバスの下、床や廊下の下といった、目視できない場所に配管されています。

ですので、お風呂を壊したり、廊下や床を一部壊したりしないと配管の変更はできません。リフォーム工事を行うとかなりの大工事になってしまいます。

築年数が経っているということは、ライフスタイルも変化してきている時期かと思います。
お部屋内の配管工事は、「間取りを変更したい」などといった大規模なリフォーム工事の際に合わせて行うのが一番おススメです。

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築30年以上経ったお水の配管(鉄管)の様子

⑤エアコンを部屋に取り付けられるようにしたい

「外廊下側の洋室にエアコンが取り付けられないから、取り付けられるようにできないの?」
夏の暑さ、冬の寒さにエアコンなしでは耐えられない…。

外廊下側への一般的なエアコンの取り付け工事。
この要望も非常に多い1つですが、果たして可能でしょうか。

答えは残念ながら×。
エアコンは「室内機」と「室外機」という2つの機械で構成されています。
室外機は必ずベランダ等の室外に設置しないといけませんので、
室内機と室外機を結ぶエアコンの配管を躯体壁(コンクリートの構造壁)に
穴を開けなければいけません。

しかし、躯体壁はマンションを支える大事な構造部分です。
そこに穴を開けるといった行為自体が禁止されています。

※室外機のない窓型エアコン(ウインドウファン)は別です。

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まとめ

分譲マンションは、他の居住者の方々と共同で住まう「集合住宅」です。
厳密なルールのうえで、やっていいリフォーム、禁止されているリフォームが定められています。
この記事を読んでいただいて気づいた方も多いかと思いますが、基本的に共用部に手を加えることはNGとなっています。
では、お部屋内であれば何をしてもOKなのかと言うと、そこもマンションによってルールが異なりますので、リフォームをご計画の際は、マンション管理組合もしくは管理会社へ事前にご相談くださいね。

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木須 拓己

あなぶきハウジングサービス :木須 拓巳(きす たくみ)
分譲マンション管理会社で専有部(お部屋内)の様々なサービス開発・企画の立案、リフォーム&リノベーション・室内クリーニング、インテリア商品販売等、お客様の快適な生活をサポートする部署の担当。分譲マンションの管理会社を15年務めた実体験及び情報をわかりやすく伝えるために日々仕事に励んでいます。仕事での心情:ニーズを形にする
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