こんにちは。あなぶきコールセンターの和田です。
当センターでは月間で約8,000件の様々なお問合せ・ご相談・ご依頼を受け付けています。
その内容は、マンションライフに関わることから、少し離れた内容まで多岐にわたりますが、その中から、皆さんが関心がありそうなこと、知っていそうで意外とご存じ無いこと等々を取りまとめて発信していきたいと思います。どうかお付き合いください。
今回のテーマは、『マンションの機械式駐車場利用時の注意事項とトラブル実例について』です。
このブログの読者の方は、現にマンションライフを送られている方か、分譲マンションを購入して近い将来にマンションライフを始めようとされる方が多いのではないかと思います。人それぞれマンションライフに感じる利便性は様々あると思いますが、その中でも一戸建では難しい都心部でも住居を構えることができるという「立地の利便性」があげられるでしょう。
土地を有効活用し、限られたスペースに最大限の共用スペースや駐車区画を確保する手段として、特に都心部のマンションでは機械式駐車場を採用するケースが多いです。戸建て住宅には無いマンションライフに特有の駐車場設備と言ってもよいでしょう。
しかし機械式駐車場は利用に不慣れな方も多く、駐車設備を複数の住民様で共用するので、一度止まってしまうとその駐車場を利用する方全員が入出庫ができなくなるトラブルに発展します。
今回のブログでは、機械式駐車場の利用について、当コールセンターでよく受け付けるトラブル事例を元にして、正しい利用方法などをご紹介していきます。ご参考になさってみてください。
(この記事は、2019年2月23日に掲載したものをリライトしたものです)
Ⅰ.そもそも機械式駐車場ってどんなもの?
冒頭で「機械式駐車場」という表現をしましたが、大きく分けて「タワー式(エレベーター式)」と「多段式」に分かれます。
「タワー式(エレベーター式)」
「搬器」と呼ばれる、エレベーターのような装置によって車両を昇降させて収容する方式です。機械式駐車場の中でも「立体駐車場」という呼び方をする場合は、このタワー式駐車場を指すことが多いです。
「多段式」
地下1段程度、地上2段から3段程度に駐車区画を多層化し「パレット」という装置に車両を載せます。パレットが昇降・横行移動することで車両を収容します。タワー式よりも建設コストが割安のため、分譲マンションだけでなく賃貸マンションでも設置例が多くあります。
出典:一般社団法人マンション管理業協会 「マンションの機械式立体駐車場事故対策」
Ⅱ.機械式駐車場の車両制限について
機械式駐車場が平面駐車場と異なるのは、どのメーカーのどんな機種の機械式駐車場であっても、必ず入庫できる車両のサイズに制限値が定められているという点です。
もちろん平面駐車場でも、区画からはみ出すような車幅・車長オーバーの規格外の車両は駐車をお断りするわけですが、機械式駐車場はさらに車高と重量の制限が加わります。
特にいわゆるセダン型(トヨタ クラウンのような車種)を前提にしていた古いタイプの機械式駐車場は、車高制限が1,550mm以下に定めてある機種が多いです。このサイズだと最近は一般的な背の高いタイプの軽自動車やミニバン(日産 セレナのような車種)は入庫させることができません。
車両のサイズ制限は、機械式駐車場を安全に運行させるために設定されているので、「こんど購入予定の車が、微妙にサイズ制限をオーバーするけれど、ちょっとの差だから大丈夫だよね?」と、お客様から相談を受け付けるケースは多いのですが、マンション管理会社としては、制限を超える車両と知って契約を認めることはできません。
駐車車両のカタログ値がサイズ制限内に収まっていても、オプション装備を付けたり車両を改造したりすることで、実車ではサイズ制限を超えている場合があります。また機械式駐車場は昇降・横行移動時の振動で、駐車車両がパレットや搬器の上で多少揺れ動くことがあります。
サイズ制限値ギリギリの場合は、この揺れ動きによって安全装置のセンサーが反応し駐車場が停止する恐れがあるので、契約前に実車で入庫テストをして頂く場合があります。
お住いのマンションが機械式駐車場しか空き区画が無い場合、駐車するお車がサイズ制限に合っているか必ず事前にご確認ください。
代車を駐車する場合は特にご注意
普段契約しているお車を車検や修理に出している間、ディーラーから代車を用意されるケースがあると思います。 また自分の契約区画に、一時的にご家族や来訪した知人の車両を駐車してもらうこともあるでしょう。
代車や一時駐車の場合は、特に駐車車両がサイズ制限に合っていることを必ず確認してから駐車するようにしてください。
実際に当コールセンターでも「代車が車高制限を超えていることに気が付かないまま入庫し、パレットが移動した際に駐車場の枠に代車の天井が接触して、機械式駐車場が動かなくなった」という事例を受け付けることがあります。
車両サイズ制限オーバーが原因の事故の場合、大切なお車に傷が付くだけでなく、お客様に故意は無くとも「過失がある」と認定される可能性が高く、機械式駐車場が破損した場合の補修費用をご負担頂く場合もございます。
駐車時はドアミラーを必ず格納してください
ドアミラーの格納を忘れると、安全装置のセンサーが反応して機械式駐車場を動かせなくなります。このトラブルは「タワー式」駐車場で特に多くみられる駐車トラブルです。ドアミラーを格納しなくてもタワー式駐車場のゲート扉は閉まるので、駐車した本人は気が付いていないケースが多いのですが、次の利用者が入出庫させようとするときに搬器が動いてくれません。
当然、次の利用者から「前の利用者がドアミラーを格納していないから駐車場が動かないじゃないか!車両ナンバーを伝えるから、契約者を調べて今すぐにミラーを畳むように言ってくれ!遅刻したらどうしてくれるんだ!」と、お怒りの電話が管理会社に入ることになります。
このようなケースの場合は状況にもよりますが、深夜であっても契約者にご連絡させて頂き、ミラーを畳むために駐車場まで降りて来て頂くことになります。
駐車時はサイドブレーキを掛け確実にドアを閉めてください
これも当コールセンターで受け付けた実際の事例ですが「後部トランクのバックドアのドア閉が不十分だったために、パレットや搬器が移動した際の振動で駐車場動作中にドアが開いてしまい、車両が破損し駐車場設備も損傷した」実例があります。
駐車の際には必ずサイドブレーキを掛けて、すべてのドアを確実に閉めてください。
また上記のような事故の原因にもなるので、機械式駐車場内では運転手以外は乗り降りしたり、荷物の積み下ろしをしないようにお願いします。同乗者の乗り降りや荷物の積み下ろしをパレット上やタワー駐車場内でされる方は実際多くみられますが、実は危険な行為であり、メーカーは取扱説明書などで禁止事項にあげています。
Ⅲ.機械式駐車場は天候によって利用を制限することがあります
大雪の場合
「タワー式」駐車場と異なり、「多段式」の機械式駐車場は、屋根や壁で覆われず駐車設備が露出して設置される場合も多いです。この場合は積もった雪で安全装置のセンサーが遮られたり、凍結によってパレットが滑り空転すること等によって、機械式駐車場が動かなくなるトラブルが多く発生します。
また、積雪が凍結状態が継続している場合、仮に駐車場メンテナンス業者を派遣して一旦復旧できても、すぐに同じトラブルが再発することが予想されます。
このような大雪の場合は、管理会社とメンテナンス会社の判断で、天候が回復するまでの間、機械式駐車場の利用を中止して頂くようにご案内をする場合があります。
①積雪、凍結が予想され車をご使用される場合は、事前に車を駐車装置外に出してください。
②駐車装置内は、足もとが滑りやすくなります。
③雪はピット内に落さないでください。
④管理者の指示に従ってください。
⑤このほかの安全に関する注意事項につきましては、メーカーの取扱説明書をよく読み、駐車装置を安全にご使用ください。出典:公益社団法人立体駐車場工業会
「冬季時に二段・多段方式の機械式駐車装置を安全にご使用頂くために」
大雨・台風の場合
「多段式」の機械式駐車場は、一番下段が地下へ収容されるタイプが一般的です。この場合、台風や大雨によって地下ピットに多量の雨水が流れ込み駐車車両が冠水する恐れがあります。地下ピットには溜まった水を排出するための「排水ポンプ」が必ず設置されていますが、雨量によっては排水が追いつかない場合があります。
地下ピットには、ピット内に溜まった水位を検知して警報を出す装置も設置されており、契約している警備会社などに自動的に異常信号が発せられますが、台風などの自然災害時は警備会社には様々な警報出動が要請されるので、通常よりも到着が遅れがちです。
このため、大雨の際は、過去に駐車場地下ピットが冠水する被害に遭ったことのあるマンションを中心に、天候の状況に応じて、パレットの一番下段を地下ピットへ収容せずに地上階に上げた状態にする安全措置を行う場合があります。
大雪の場合も同様ですが、どうしても車を使う必要のある方は、事前に別の駐車場へ移動させておく必要があります。
地震の場合
最近のエレベーターは地震管制装置によって、概ね震度4以上の地震を検知すると安全のために運行が自動停止するようになっています。「タワー式」駐車場も、人の代わりに車を運ぶだけで実態はエレベーターと同様なので、地震の際には運転が止まる場合があります。駐車場に異常が見られる場合には、メンテナンス業者の点検が完了するまで駐車場は動かさないようにお願いします。
Ⅳ.まとめ
いかがだったでしょうか。機械式駐車場のメリット・デメリットなどについては当ブログの別の記事もありますので、今回は割愛しましたが、機械式駐車場は正しく使えばとても便利な設備です。(一般的に平面駐車場よりも駐車料金が安く設定されている。タワー内やピット内に収容されるので防犯性に優れている・・・等々)
今回のブログをご参考に利用時の注意事項をご確認頂けると幸いです。また機械式駐車場の操作盤やゲート扉などには、必ず車両サイズ制限の一覧表や駐車場利用時の注意事項、故障時など万一の際の駐車場メンテナンス業者の緊急連絡先などが掲示されています。日頃からご確認頂くと良いでしょう。
和田典久
香川県高松市生まれ。早稲田大学法学部卒。
学生時代は弁護士を志すも夢破れて帰郷し、2001年に入社。最初の配属は賃貸事業部。
高松で賃貸仲介を4年、広島でPM業務を5年務め、2010年12月よりあなぶきコールセンターで全国からのお客様の声に向き合う。
2021年7月からは事業推進本部 業務推進課で分譲・賃貸・CX・コールセンターとも連携した全社的な業務推進を進めていく。
このブログでは、これまでの現場経験を生かしてお役立ち情報を発信していきたいと思います。
珈琲と旅行をこよなく愛する、最近メタボ気味な48歳。
【保有資格】宅地建物取引士 管理業務主任者 賃貸不動産経営管理士
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