こんにちは。あなぶき建設工業の野嶋です。
マンション・ビル等の新築の現場管理を経て、現在は主に大規模修繕、改修工事の巡回管理をしております。
新築現場と修繕・改修現場では業務のスタイルが違うことから、いまだに初めて経験することがたくさんあり勉強の日々です。
そんな業務の中での発見や気づきなどを発信し、
少しでもブログ読者の皆様に有益な情報がお届けできれば幸いです。
本記事では、建築工事に興味があるけど、工事現場まで足を運んで見学をするのは大変だな~と思われている人のために、私が体験していることを書いていこうと思います。
今回は外壁タイル修繕工事の施工状況を報告していきます。
最初に
外壁タイル貼りの建物は高級感があり、資産価値も高く評価されますが、ずっとその状態を維持できるわけではありません。経年劣化により、タイルの浮き、割れ、または汚れにより見た目が悪くなってきます。
大規模修繕工事ではこういった不具合箇所を修繕の対象としています。
外壁タイルの調査
外壁タイル面は一見しただけでは、どこに不具合が発生しているか分からないのがほとんどです。特にタイルの浮きは見ただけでは分かりません。打診棒という専用の道具を使います。
タイル表面を打診棒でガラガラと滑らせながら調査します。タイルが浮いている箇所はガラガラの音がカラカラと高い音がします。そのようにして不具合の箇所を確認してマスキングテープで印を付けていきます。
浮き修繕の仕様によっては1箇所のタイル浮きで100枚以上も撤去して貼替をする場合があります。
その時は浮き枚数によってマスキングテープの色を使い分けます。
小さいタイル浮き部の修繕
タイル浮きに対しての修繕方法として一般的に施工しているのが、「アンカーピンニング部分エポキシ樹脂注入工法」です。
タイル目地の交差部分に穴を空けて、その中にエポキシ樹脂とアンカーピンを注入して固定する方法です。
先ずは浮き箇所に対して何処に注入をするかを決めます。
タイル1枚4箇所の角のどこの目地交差部に注入するか、効率良く注入できる箇所を定めます。
そして、コンクリート用振動ドリルなどを用いて壁面に対し直角に孔を空けます。
アンカーピンニング用の孔深さは、構造体コンクリートに40㎜程度、孔径はアンカーピンの直径より約1~2㎜程度大きい直径とします。
孔の中はホコリが溜まっているので圧搾空気等で切粉等を清掃します。
続いて孔にエポキシ樹脂をグリスポンプを用いて、孔の最深部から適切な圧力を保ち徐々に注入します。
充填量は指定がある場合を除き、25㎜(約30g)/1箇所とします。
その後アンカーピン(SUS304)を気泡の巻き込みに注意して孔内最深部まで確実に挿入します。
アンカーピンの頭は仕上げ面から2㎜程度引っ込むようにし、孔内からはみ出したエポキシ樹脂は除去します。
エポキシ樹脂が硬化後、注入部の目地に目地セメントを充填して完了となります。
修繕途中で汚れた周りのタイルは清掃を最後に行います。
この工法は浮きを部分的に固定するため、打診棒で調査した時のカラカラという音は改善しません。
大きいタイル浮き部や割れ箇所の修繕
タイルの浮きが1箇所当たり100枚以上程度になると、浮いているタイルを斫り取った後、新たに補修用タイルを貼り付けることになります。また割れているタイルについても同様に貼り替えます。
貼り付けには弾性接着材を使用します。
だいたいの建物は新築時は接着モルタルで貼り付けられています。これだと建物が地震などで動いた時に外壁タイルが建物の動きに追従できず、浮きや剥落の原因となります。
弾性接着材であれば多少の建物の振動を接着材で吸収することができます。
弾性接着材の壁への塗り付けにはクシ目ゴテを使用します。
接着材を塗り付けた時にクシ目が残り、タイルをしっかりと貼り付けることができます。接着材メーカーにもよりますが、使用量は1㎡当たり2.5㎏程度になるよう塗布します。
接着材を塗布後、タイルをもみ込むようにして貼り付けます。貼り付け完了後は24時間以上は衝撃を与えないようにします。
最後は目地セメントを詰めて完了です。
最後に
以上がタイル修繕方法の代表的な工法となります。
外壁タイルの修繕は大規模修繕工事の中ではメインとなる工事内容です。物件によっては工事費の多くを占める場合もあります。
弊社では建物劣化状況に合わせた修繕方法を提案させていただいております。
これからも安心して暮らしていける建物の維持管理のお手伝いができればと考えます。
野嶋隆多
2015年、マンション新築をメインとする建設会社の現場監督を経て入社。
現在は主にマンション大規模修繕工事を四国4県を股にかけて管理をしています。
業務では安全第一でこれからも取り組んでいきたいと思います。
保有資格 一級建築施工、土木施工、管工事施工管理技士
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