株式会社ツツミワークス工事統括本部の吉橋です。
前回は、『大規模修繕工事実施編 下地・タイル補修工事 シーリング工事② 洗浄工事 塗装工事 防水工事』について一連の流れをご説明させていただきました。
まだ過去のブログをお読みでない読者様がいらっしゃいましたら、ストーリー仕立てでお届けをしておりますので、是非とも1回目の投稿よりお読みになって頂ければと思います。
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第12回目となる今回は、
『大規模修繕工事実施編 改善追加工事 施工範囲の確認 竣工について』です。
前回までのお話で、このブログをお読みになっている読者さまは、
大規模修繕工事の一般的な工事が完了し、工事が竣工する目前まで来ている状況ではないかと思います。
大規模修繕工事を竣工させる前にご確認頂き、必要に応じて計画段階から読み返して頂きたい内容をご説明させて頂きます。
改善追加工事項目
大規模修繕工事では、一般的な下地・タイル補修工事、シーリング工事、洗浄工事、塗装工事、防水工事を実施します。
一般的な工事項目では改善されない内容や皆様が生活している中で不便、不都合に感じている内容を改善する為に、設計コンサルタントや施工業者と打合せ・検討を行い一般的な工事項目にプラスαで工事を行う場合があります。それが改善追加工事項目です。
具体的な内容としては、
玄関扉を新しくしたい!!
駐輪場が溢れていて収容台数を増設したい !!
手動の扉を自動ドアにしたい!!
エレベーターのデザインを新しくしたい!!
エントランスに宅配BOXを設置したい!!
物干し金物を新しくしたい!!玄関前の表札を新しくしたい!!
段差をスロープを設置したい!!
などなど、、、
ご要望頂く内容も、築年数や所帯数・マンションの規模や形状・お住まいの方の年齢層や立地条件などによって、各マンションでご要望される内容は様々です。
一般的な大規模修繕工事項目とは別に費用が発生しますが、修繕積立金としての工事予算と比較検討を行っていただき予算内で納まるのであれば、大規模修繕工事のタイミングで改善できる内容があるかもしれません。
改善追加工事項目は、大規模修繕工事計画段階で実施する工事内容に反映できる事が望ましいですが、工事予算の都合で工事内容に反映できなかった場合でも、ご要望項目を検討しリストアップして頂き、優先順位を事前に決め、早めに設計コンサルタント又は施工業者に相談しておくことで実施が可能な項目もあるかもしれません。実数清算項目等で工事予算が浮いてきた場合等に急遽諦めていた改善工事項目を実施する場合も少なくはないのです。改善追加工事の決定が遅くなれば、工期を延長しなくてはならなくなったり、余計な設備費用が発生したりと修繕積立金の圧迫に繋がるケースもあります。また改善したい内容を小規模工事で小出しに工事を繰り返すと余分な諸経費が発生し、それこそ修繕積立金の圧迫につながります。大規模修繕工事の際に多くの改善できる項目を取り纏めて行うことによってボリュームメリットで工事費を抑える事ができるのです。
改善追加項目は工事計画段階で住民の方にアンケート等で要望項目を取り纏めて頂く等、早めに準備を進めて下さい。
施工範囲の確認
大規模修繕工事完了時に竣工検査を行います。稀に竣工検査時に管理組合の方や住民の方が大規模修繕工事時に修繕されると思っていたが、修繕されていない!!とご指摘を頂く場合があります。ご指摘内容を確認してみると、そもそもご契約の内容に含まれていなかったのです。施工業者はご契約した内訳明細に沿って施工を行う為、契約されていない内容は修繕を実施しておらず、管理組合の方や住民の方との差異が発生してしまう場合があるのです。
この様な差異を発生させない為にも、大規模修繕工事計画段階で契約する内容がどこまで施工範囲なのか確認して頂き、ご契約前に設計コンサルタント並びに施工業者と契約内容に基づく施工範囲の確認を行って頂く事が最善策です。
また理事会や修繕委員会等に携わっている居住者の方は、大規模修繕工事に関する打合せを行っている為、施工範囲をご理解されている方がほとんどです。
ですが、理事会や修繕委員会に携わっていない居住者の方で施工範囲をご理解されていない方がいらっしゃるケースもあります。そういった居住者の方との差異を解消する為にも、大規模修繕工事計画及び設計仕様が決まった段階で工事概要説明会と大規模修繕工事着手前の施工業者に住民説明会を開催してもらい2度に亘って施工範囲を説明して頂くと幅広く周知することが可能となります。
大規模修繕工事竣工図書
竣工検査を終え無事大規模修繕工事引き渡しを受けます。
引き渡しを受ける際に竣工図書が納品されます。
竣工図書の内容は、一般的に工事仕様書を作成する際に
竣工図書に綴じる内容を決めておきます。
その中で重要項目の代表的な3点をあげさせて頂きます。
工事変更契約内訳明細
最終的にどの様な大規模修繕工事を行ったかを竣工時に変更契約を結ぶことが一般的です。大規模修繕工事をおこなっていく中で追加工事が発生したり、中止工事が発生したり、増減清算項目の数量変動が起きたりと、当初契約した全体工事金額が変更されるからです。
工事金額が変更された内容を再契約することも重要ですが、大規模修繕工事の際に何の工事項目が増えて何の工事項目が減ったのかを記録として残し、今後の長期修繕計画見直しの際に大事な資料となるからです。
工事保証書
大規模修繕工事の工事項目に保証がつく工事内容があります。工種や工法によって保証内容や保証年数は様々です。この保証書の内容も一般的に工事仕様書を作成する際に保証内容を決めておきます。仕様書で決められた内容に基づいて保証書が施工業者から発行されます。大規模修繕工事竣工後に施工箇所に何か不具合が発生した際に必要な大事な書類となりますので、大切に保管して下さい。
定期点検誓約書
大規模修繕工事を竣工すると先述の工事保証書が発行されますが、保証期間が過ぎるまで施工業者は何もしないわけではありません。一般的に工事仕様書を作成する際に定期点検の年次を決めておきます。年次は各工事保証期間が切れる年次に設定することが一般的です。仕様書で定められた年次に施工業者が保証内容を踏まえた上でマンションの点検を行い、管理組合へ点検結果内容を報告し、不具合が発生している場合には補修を行います。この点検を誓約する書類です。この定期点検誓約書に基づきマンションに寄り添って点検及び保証を行うのです。
竣工図書には他にも様々な内容の書類が綴じられます。書類の内容については工事仕様書を作成する際に定めます。その際に竣工図書に綴じて欲しい内容が網羅されているかをご確認下さい。
まとめ
今回は大きく3点説明させて頂きましたが、一回目のブログから読んで頂くと、大規模修繕工事は準備段階から竣工までに様々な内容を管理組合や修繕員会の皆様や居住者の皆様と管理会社や設計コンサルタントや施工業者が寄り添い力を合わせていくプロジェクトです。また大規模修繕工事は1回で終わりでなく、2回目3回目、、、と続いていきます。
大規模修繕工事の主たる目的の
『予防保全』
・劣化が進むのを未然に防ぐために、定期的に補修を行うこと
『機能性の維持・向上』
・建物が本来もつ機能をきちんと維持し、環境の変化や法律の変化に合わせて向上させること
『美観性の維持』
・建物が本来もつ美観をきちんと維持させること
『資産価値の維持・向上』
・時代や法律の変化に対応しながら建物の資産価値を維持し、時代のニーズに合わせてグレードを高めること
この四点を基に、また大切な修繕積立金を有効活用する為にもしっかりとした準備・検討・実施が必要な事だとお分かり頂けたかと思います。
最後に
最後に2021年8月より弊社営業本部大槻と工事統括本部吉橋で1年間にわたりストーリー仕立てで大規模修繕工事に関する一連の流れをご説明させて頂きました。このブログがマンション管理組合運営の大規模修繕工事をはじめとする長期修繕計画検討と修繕積立金の活用に少しでもお力になれば幸いです。
吉橋秀太郎
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