管理会社変更時に起こりうる問題点① ~防火管理者編~

三河謙介

はじめまして。
あなぶきハウジングサービス 中国・近畿・東海支社
分譲開発グループ 近畿エリア開発課の三河です。
私は、分譲マンションの管理会社変更(replace:リプレース)の際に、初回の面談から管理開始までの引継ぎ業務を行う営業をしております。
さて、今回は実例をもとに「管理会社変更時に起こりうる問題点」をご紹介していきます。

 

◆防火管理者の選任登録を管理員が登録していた場合

分譲マンションの管理会社変更にともない、管理員が継続して勤務する場合が約7割、継続せず変更する場合が約3割となっております。
今回のケースは、管理員が継続せず変更することとなり、前任の管理員が防火管理者の選任登録をしており、変更時に防火管理者が不在になる事例をご紹介いたします。

【エリア】兵庫県
【戸 数】65戸
【築年数】45年
【延床面積】4,032㎡

防火管理者とは何か?
防火管理者はそもそも必要なのか?
気になりますか?
気になりませんか?
私は、気になりました…。

 

 

「防火管理者制度」について

防火管理という名前はほとんどの方が耳にされたことがあると思いますが、その意味まで理解されている方は少ないのではないでしょうか。まずは、正しく意味を理解する必要があると思いますので、ここでご紹介していきたいと思います。
「防火管理者制度」とは、防火管理の実施を消防法第8条及び火災予防条例第55条の3で義務付けた制度です。
消防法では、「多数の者を収容する防火対象物の管理について権限を有する者は、一定の資格を有する者から防火管理者を定め、防火管理を実行するために必要な事項を「防火管理に係る消防計画」として作成させ、この計画に基づいて防火管理上必要な業務を行わせなければならない」としています。

「防火管理者」って誰?

「防火管理者制度」については、理解していただけたと思いますが、防火管理者に該当する人って誰なのでしょうか。
防火管理者とは、多数の者が利用する建物などの(火災等による被害)を防止するため、防火管理に係る消防計画を作成し、防火管理上必要な業務(防火管理業務)を計画的に行う責任者を言います。
消防法では、一定規模の防火対象物の管理権限者は、有資格者の中から防火管理者を選任して、防火管理業務を行わせなければならないとされています。

つまり、当マンションにおいては、一定規模以上の防火対象物(建築物や工作物など、火災予防の対象となるもの)に該当するため、管理権限者(防火対象物の所有者や借受人など管理行為を当然に行うべき者)の中から選任する必要があります。

「防火管理者」はどのようにしてなるの?

防火管理者には2種類(甲種・乙種)あり、共同住宅(分譲マンション)の場合は、収容人数が50人以上で延床面積が500㎡未満の場合は、乙種防火対象物で乙種防火管理者の選任が必要となり、収容人数が50人以上で延床面積が500㎡以上の場合は、甲種防火対象物となり、甲種防火管理者の選任が必要となります。
当マンションは、収容人数50人以上で500㎡以上の共同住宅となりますので甲種防火管理者の選任をしなければなりません。
甲種防火管理者になるには、おおむね10時間(2日間)の講習を受講することで防火管理者となることができます。

ここで問題です。

管理権限者は、防火管理者を選任する場合、管理組合の役員又は組合員から選任するものとされ、管理業務を委託している管理会社等から選任することができるでしょうか。

正解が気になる方は、以下「まとめ」に記載しております。

防火管理者を選任しなかった場合はどうなるか?

「防火管理者」の重要性は理解できたと思いますが、二日間の講習を受けにいかないと取得できないなんて時間を要するし面倒だと思った方はいませんか。
しかし、選任又は届出をしないと以下のように罰則規定が設けられています。

防火管理者を選任していない場合は、消防長が選任命令(消防法第8条第3項)を出し、当該命令に違反して防火管理者を定めない場合には、6月以下の懲役又は、50万円以下の罰金に処せられます。(消防法第42条)
又、防火管理者を定めても届出を怠った場合は、30万円以下の罰金又は拘留に処せられます。(消防法第44条)

まとめ

管理会社変更時にはさまざまな問題点が起こりますが、今回は「防火管理者」についてご紹介させていただきました。意味をしっかりと理解することで重要だと感じていただけたのではないでしょうか。管理権限者については罰則規定もありますので他人事では済まされませんのでみなさんで協力しあう必要があります。
快適な住環境を目指すためには、3つ「自助」「共助」「公助」が必要です。「自助」住民ひとりひとりが当事者意識をもってマンション運営に参加し、「共助」近隣の方々や地域の方々と協力し、必要に応じてイベントを開催し、コミュニティの形成を行うこと、「公助」法律や制度など行政機関などが提供するサービスを知ることが大事だと思います。
マンション運営をサポート・補助できるのが管理会社だと思っておりますので何かお困りごとがございましたらご相談ください。

文中の問題の正解は…
管理権限者は、防火管理者を選任する場合、管理組合の役員又は組合員から選任するだけでなく、管理業務を委託している管理会社等からも選任することができます。

このように、管理会社からも選任することは可能でありますが、現に入居されている方の中から選任する方が望ましいことから組合員の中から選任していただいております。

 

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三河謙介

あなぶきハウジングサービス 分譲開発グループ
三河 謙介(みかわ けんすけ)
大阪府出身。
2018年入社。
前職では、賃貸仲介の営業を経験し、現在は、分譲マンションの管理会社変更をお手伝いする営業を行っております。
主に、近畿・東海エリアで当社のサービス、"しあわせ『感』理”の啓蒙活動を行っております。
当エリアで認知度を上げ、一人でも多くの方に当社のサービスをご体感いただきたいと思っております。
保有資格:管理業務主任者 宅地建物取引士
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