2024年6月 定額減税で4万円もらえるの?①

遠藤佳代

 

2023年10月、政府は2024年6月定額減税を実施し、一人当たり4万円の減を行うと表明しました。

 

これに対し世間の反応は
「2024年6月って遅くない?」
「さっさと給付してくれればいいのに」
という声が多くあがりました。

 

一方、会社の管理部門に携わる者としては
「6月か…仕方ないな…」と思う気持ちが30%
「給与計算の担当さん大変になるだろうな…」と決して他人事と思えない気持ちが70%
といった感じでしょうか。

 

とはいえ、一人当たり4万円が戻ってくるのは純粋に嬉しいものです。

 

ではここでクイズです。

会社員の場合、定額減税の4万円はどうやってもらえるでしょうか?

① 4万円が口座に振り込まれる
② 6月の給与が4万円増える
③ 人によって違う

 

…正解は③です。

 

人によって違うとは一体どういうことでしょうか?一筋縄ではいかなそうなこの制度、今回は2024年6月に実施される定額減税について解説していきます。

 

 

定額減税の要旨

 

デフレ完全脱却への定額減税
デフレ完全脱却のためには「物価に負けない賃上げ」が不可欠です。このため日本経済をデフレに後戻りさせない措置の一環として定額減税を実施します。国民所得の伸びが物価上昇を上回る状況をつくり、デフレマインドの払しょくと好循環の実現につなげていきます。

出典:自由民主党 (jimin.jp)

 

デフレからの完全脱却をしたいけれども、賃上げが物価上昇に追い付いていないのが日本の現状です。そこで定額減税を実施し国民の負担を減らすことにより、デフレに戻るのをなんとしても阻止したいようですね。

 

政府は「減税規模である約3.3兆円の半分程度が消費に回ると見込まれる」としています。減税によって手取り収入が増えることにより、消費を増やす人、貯蓄に回す人、半々の試算のようです。皆さんはいかがでしょうか?限定的な定額減税で、デフレマインドをどこまで払しょくできるでしょうか。

 

私自身は物価上昇により、今までと同じ生活をしていても支出が増えたこと、さらに今後、子育て支援金制度の開始や、年金納付期間延長の可能性など、負担が増えることが見込まれることから、とてもじゃないけどパーっと使う気にはなれません。きっと私と同じ考えの方は少なくないでしょう。

 

 

定額減税の金額

 

定額減税の金額は、一人当たり4万円(所得税3万円、住民税1万円)です。独身世帯なら4万円、夫婦と子供2人の4人家族世帯の場合は16万円です。実施に当たっては別途、低所得世帯に対する給付も行われます。

 

 

対象外の人

 

所得税は令和6年度分の合計所得金額が 1,805 万円を超える場合
住民税は令和5年度分の合計所得金額が 1,805 万円を超える場合

 

疑問① 合計所得1,805万円とは?中途半端な金額の理由は?
ずばり、これは「年収2,000万円を超えた人」です。(給与収入のみの場合)

 

 

疑問② 所得税は令和6年度分、住民税は令和5年度分、なぜ?
これは所得税と住民税の仕組みの問題です。

 

所得税…所得税は概算の税率で計算された金額が毎月の給与から徴収されます。一年間の年収が確定した段階で、年末調整により調整されます。

 

住民税…会社員の場合、住民税は前年度の収入に基づいて、毎年6月から翌5月までの1年間をかけて、毎月の給与から徴収される仕組みです。ですので、通常であれば住民税は令和5年度の収入に基づいて、令和6年6月~令和7年5月の間で徴収されます。

 

 

疑問③ 年収が2,000円を超えそうな人への対応は?
令和6年度の年収が明らかに2,000万円を超えそうな人に対する、定額減税の対応はどうなるのでしょうか?

 

国税庁の見解として、明らかに年収2,000万を超えるであろう人も、6月1日時点での在職者は月次減税の対象になると発表しています。簡単に言うと、『年収関係なく一律で減税された金額で給与を支払います。ただし、対象外の人は減額した分を後から調整(または追加徴収)します』ということになっています。

 

…だんだん話しがややこしくなってきました。今回、私は年収2,000万円以下の対象者であることを素直に喜ぶことにして、ここは深追いせずに話を進めていきます。

 

 

減税方法(住民税編)

 

減税の方法については、所得税住民税について、それぞれ分けて考える必要があります。
まずは、わかりやすい住民税から見ていきます。

 

住民税について

定額減税のうち、住民税分は一人当たり1万円です。

 

①6月の給与からは住民税は徴収されません
②本来の住民税額から定額減税分を控除した金額を、7月~翌5月までの11ヶ月間で徴収されます

 

本来の住民税が年間25万円の場合を例にして、定額減税によりどう変化するのかケース別にみてみましょう。

 

 

ケース1 独身者(住民税は1万円の減税)

設定① 本来の住民税25万円
今年の住民税:25万-定額減税1万=24万円
月々の金額 :24万円÷11ヶ月(7月~翌5月)=約2.2万円

 

定額減税が実施されることにより

2024年6月  住民税徴収なし
2024年7月~ 毎月約2.2万円の徴収

となります。
定額減税がなければ25万÷12ヶ月(6月~翌5月)=約2.1万円だったはずなので

 

定額減税がなかった場合よりも

2024年6月     約2.1万円手取UP↑
2024年7月~翌5月  毎月約1千円手取DOWN↓

となります。

 

お気づきになりましたか?6月は住民税の徴収がないので手取り収入が上がりますが、7月以降は1ヶ月当たりで徴収される住民税額が本来よりも高くなります

 

 

ケース② 夫婦2人+子供2人(住民税は4万円の減税)

設定① 家族全員が定額減税の対象者
設定② 本来の住民税25万円
今年の住民税:25万-定額減税4万=21万円
月々の金額 :21万円÷11ヶ月(7月~翌5月)=約1.9万円

 

定額減税が実施されることにより

2024年6月  住民税徴収なし
2024年7月~ 毎月約1.9万円の徴収

となります。
定額減税がなければ25万÷12ヶ月(6月~翌5月)=約2.1万円だったはずなので

 

定額減税がなかった場合よりも

2024年6月     約2.1万円手取UP↑
2024年7月~翌5月  毎月約2千円手取UP↑

となります。

 

いかがですか?
住民税だけをみると、6月は手取り収入が増えた~って感じがしますが、7月以降は人によって感じ方がそれぞれ違くなりそうですね。特にケース①の独身者の方は7月から月々の住民税徴収額が増えるので要注意です。

 

一方、ケース②の4人家族の場合は翌年5月まで手取り収入の増加が続きます。しかし、7月からの手取UP額はごくわずかなので、知らず知らずのうちに使ってしまうかもしれませんね。(国の狙い通り!?)

 

具体的な金額は毎年6月に自治体から届く住民税決定通知書に記載されますので、今年は特にしっかりチェックしましょう。

 

次回は、定額減税によって所得税分がどのように減税されるのか見ていきます。

 

 

 

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遠藤佳代

あなぶきハウジングサービス 
財務・経理本部 経理課
遠藤 佳代(えんどう かよ)

東京都出身 2008年入社後、2011年にあなぶきグループの一員になりました。
マンション会計課にて管理組合の会計業務に携わったのち、現在は経理課で会社の経理業務に従事しています。

皆様の身近で関心のある、お金にまつわる情報を発信していきます。

趣味:旅行(国内外問わず)・サッカー観戦(Jリーグ)
資格:日商簿記二級・管理業務主任者・マンション管理士・マンション維持修繕技術者・
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
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