分譲マンション|管理会社を変更するためにはどれくらいの準備期間が必要!?

松井 久弥

こんにちは。松井です。

今回は「マンションの管理会社を変更することは決まったけど、新しい管理会社で管理をスタートするにはどれくらいの準備期間が必要なの?」といった疑問にお答します。

結論から申しますと、マンション管理会社を変更するためには、「現行の管理会社への契約解除」、そして「新しい管理会社への引き継ぎ」という2つの観点から3ヶ月の期間が必要とされています。

なぜ3ヶ月の期間が必要なのかを、マンション管理会社を変更するための9つの手順でご説明した中の、手順⑦~⑨(現行の管理会社との契約を解除してから新しい管理会社でスタートするまで)をより詳しくご説明します。

現行の管理会社との契約解除

管理会社変更を行うには、現行の管理会社との管理委託契約を解除することが必要になるので、総会で管理会社変更が承認された後、現行の管理会社に対して契約解除を申し入れます。
ここでポイントなのが、申し入れをしてから“いつ契約が解消されるのか”ということです。

管理委託契約の解除には、3つの方法があります。

①約定解除

管理会社を変更する場合、「約定解除」で契約を解除するケースが多いです。
「約定解除」は、契約に基づいて契約を解除する方法です。

現行の管理会社との契約書が、国土交通省が公表している「マンション標準管理規約」に準じて作成されていれば、下記のように記載されています。

「前条の規定にかかわらず、甲(管理組合)及び乙(管理会社)は、その相手方に対し、少なくとも三月前に書面で解約の申入れを行うことにより、本契約を終了させることができる。」

つまり、特段の取り決めがない限り3ヶ月の猶予期間を付けて解約通告すれば、いつでも解約が可能ということです。通告の申し入れから3ヶ月以降が解約日となります。
国土交通省が公表しているこの“3ヶ月”という期間には、現行の管理会社から新しい管理会社への引継期間の目安が3ヶ月あれば望ましいという背景もあります。

※現行の管理会社との契約解除の内容が「3ヶ月以上前の通知が必要」となっている場合、国土交通省が公表している「マンション標準管理規約契約書」に準じて作成された契約書ではありません。このケースでは管理会社の体制が問われますね…

解約通知書のサンプル

↓下記のwordファイルは、ダウンロードして宛名や管理組合名、年月日等を編集することができます。
解約通知のサンプル(wordファイル)

②合意解除

「合意解除」は、管理会社と管理組合の合意によって契約の効力を失わせる方法です。
なので、合意解除を行うには双方の意思表示が必要になります。双方が合意すれば、3ヶ月を待たずに解除することも可能です。

③法定解除

「法定解除」で契約解除することは滅多にありません。
なぜなら法定解除は、管理会社に契約違反や法律違反等があった場合に行うものだからです。

マンション標準管理委託契約書においては、具体的な適用事例が記載されています(管理会社が銀行取引を停止された、マンション管理業の登録を取り消された、等)

 

新しい管理会社の管理がスタートするまで

現行の管理会社との契約解除が完了すれば、次は新しい管理会社で管理をスタートするために引き継ぎを行います。この引き継ぎは、上記でもご説明したとおり、3ヶ月の間に行われる場合が多いです。

引き継ぎの主な内容は、①管理組合の書類やカギの管理 ②管理組合の財産管理 ③管理組合運営 等です。

①管理組合の書類やカギの管理

竣工図面や販売時のパンフレット、そして理事会・総会の議案書や議事録など、管理組合運営に関わる書類の精査を行います。
そして、共用部のカギ(管理員室、集会所、ポンプ室、ゴミ置場など)を引き継ぎます。書類やカギの引き継ぎは、理事会や理事長立ち会いのもと引き継ぎを行うケースが多いです。というのも、管理をしているのは管理会社であっても、書類も共用部のカギもマンションの管理組合のものだからです。

また、管理会社変更時に現行の管理会社の管理がずさんなものであれば「この書類がない」「どこのカギだか分からないものが出てきた」なんてことが起こったりします。基本的には、管理会社双方で引継ぎ業務を行いますが、引き継ぎに漏れがないようにするためにも、引き継ぎの進捗状況を理事会などで両社から報告してもらうようにしましょう。

②管理組合の財産管理

管理会社が変更することで、管理組合の財産における分別管理(イロハ方式のいずれか)の方式が変更になる場合もありますが、国土交通省の定める方式によって新しい管理会社で分別管理を行うのであれば特に問題はありません。

また、このほかに、管理費や修繕積立金の引落し日や集金代行会社が変わる場合が多いです。
①でもご説明したとおり、基本的には、管理会社双方で引継ぎ業務を行いますが、集金代行会社が変わる場合には、区分所有者の方々は新しい管理会社に引落しの口座振替依頼書を提出する必要があります。

③管理組合運営

管理組合の懸案事項や今後の取り組み(例:機械式駐車場の平置化、管理規約の改訂など)についても引き継ぎを行います。
管理組合運営の重要な役割を担っている理事会には、新しい管理会社にも出席してもらうように依頼してみましょう。新しいマンション担当者に、現在の理事会運営の在り方を理解してもらうことはもちろん、理事長や理事役員メンバーの方々も新しいマンション担当者とコミュニケーションを事前に図ることができるので、管理開始時までに関係を構築することが可能になります。

 

まとめ

マンション管理会社を変更するために3ヶ月の期間が必要な理由、お分かりいただけたでしょうか?
「現行の管理会社に不満があるから、早く契約を解除して新しい管理会社で管理を開始したい!」というご要望もよくいただきますが、引き継ぎも完全に終わっていない状態で新しい管理会社で管理を開始してしまっては、逆に管理組合運営に支障をきたし、管理組合の方々にご迷惑を掛けることになってしまいます。
管理会社変更は、変更することがゴールではありません。新しい管理会社のサポートによって、より良いマンション生活を送るためにも、引き継ぎ期間はしっかり設けましょう。

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松井 久弥

あなぶきハウジングサービス:松井 久弥(まつい ひさや)
2000年あなぶきハウジングサービス入社。
全国10都道府県において、管理担当・リプレイス営業・新規拠点立上げ・部門責任者に従事。特にマンション管理会社のM&Aにおいては、案件化からデューデリ・譲渡契約・お客様対応全般・統合後プロセス(PMI)までを実践。
マンション管理士、M&Aシニアエキスパート。
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