賃貸マンションにこそ長期修繕計画書が必要な3つの理由

松井 久弥

こんにちは。あなぶきハウジングサービスの松井です。

今回は賃貸マンションで『長期修繕計画書』が必要な3つの理由についてご紹介します。分譲マンションでは長期修繕計画の作成や定期的な更新が常識となっています。ところが賃貸マンションや賃貸アパートの場合には、これが疎かになっているケースが多く見受けられます。
大切な資産を守るためにも「作成したことがない」というオーナー様は是非参考にしてみてくださいね。

長期修繕計画書とは・・・

まずはじめに、「そもそも長期修繕計画ってなに?」というところからお話します。
分譲マンションでは長期修繕計画書を作成することが管理規約で定められており、非常に重要な資料となっています。平成20年6月には国土交通省から「長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン及び同コメントについて」が発表されました。そこには、「マンションの快適な居住環境を確保し、資産価値の維持・向上を図るためには、建物の経年劣化に対応した適時適切な修繕工事を行うことが重要です。そのためには、適切な長期修繕計画を作成し、それに基づいた修繕積立金の額の設定を行うことが不可欠です。」とあり、共用部分を適切に維持修繕していくことの重要性が記載されています。

賃貸マンションでは修繕積立金を積み立てる制度がありませんので、個別にオーナーが修繕資金を準備しておく必要があります。特に共用部分の修繕については専有部(部屋内)に比べて疎かになりがちなので長期修繕計画書を作成して、「いつ・どのような修繕が・どれくらいの費用で必要か」をしっかりと把握しておくことが重要です。

<分譲マンションの長期修繕計画に関する参考記事>

マンションの長期修繕計画(案)、見直ししていますか?

長期修繕計画(案)のシミュレーションとは?

 

長期修繕計画書が必要な理由① 修繕資金不足に備えるため

年数が経過するにつれてマンションの共用部分では様々な修繕が必要となります。

<計画的な修繕が必要な例>

  1. 大規模修繕工事…コンクリートのひび割れ補修工事等、外壁塗装工事、防水工事、シーリング工事、鉄部塗装工事、そして最近オリンピックの影響で高騰している仮設工事などがあります。
  2. 玄関ドアの更新工事
  3. 集合ポストの更新工事
  4. 物干し金物の更新工事
  5. アルミサッシの戸車の更新工事、またはサッシの更新工事
  6. 通気ガラリの戸車の更新工事、またはサッシの更新工事
  7. 駐輪ラックの戸車の更新工事、またはサッシの更新工事
  8. エントランスのリニューアル工事
  9. インターフォンの更新工事
  10. エレベーターの更新工事
  11. 機械式駐車場の更新工事
  12. 給水管の更新工事
  13. 排水管の更新工事
  14. 共用部の照明・盤類等の更新工事
  15. 消防設備の更新工事
  16. 給水ポンプの更新工事
  17. 受水槽の更新工事
  18. 避難ハッチの更新工事
  19. 避雷針の更新工事

これらのような建物・設備の修繕に備えるために賃貸マンションオーナーは個別に修繕資金を準備する必要がありますが、急に設備が壊れたり修繕が必要になった場合に「お金が無いから修繕ができない…」では困ります。家賃を支払って入居いただいている入居者に対して、賃料に見合う生活環境が整っていないと、思わぬトラブルに発展するケースも考えられます。
長期修繕計画書を作成することで「いつ・どのような修繕が・どれくらいの費用で必要か」をしっかりと把握し、修繕資金を予め準備しておくことが必要です。

 

長期修繕計画書が必要な理由② 入居率を上げるため

最近はインターネットでお部屋探しをする入居者が増えていますが、それでも多くの方はマンションの現地に行き、建物を内見して借りるかどうかを決めています。

私たちも不動産会社も内件でお客様を案内する際には、最初に敷地やエントランス・廊下といった共用部分を通ります。そのときにパッと目に入る共用部分の印象は大きいです。どうしても先に共用部分に対する評価があり、その良し悪しで入居の有無が決まるといったケースを何度も経験してきました。築年数が経過している賃貸マンションでも、清掃や維持管理状態が良好で修繕が適正に行われていれば案内した際のお客様の反応は良く、逆に比較的築浅のマンションでも清掃や修繕の状況が悪いと、悪い印象を与えてしまい入居が決まらないことがあります。オーナー様の物件に対する思い入れは、お客様にも伝わるものです。

賃貸マンションのオーナーは部屋内だけでなく、共用部分の計画修繕も入居率向上(あるいは維持)のための投資として考えていただくことが必要です。

 

長期修繕計画書が必要な理由③ 過去の修繕履歴を把握するため

“長期修繕計画書を作る”ということは、これまでの修繕履歴を整理することにつながります。部位ごとに前回の修繕はいつ・いくらで実施したか、次回はどうするのか、と言った点をしっかりと精査して作成していきます。

もし将来、賃貸マンションを売却することになれば、過去の修繕履歴や修繕状況は極めて重要な資料となります。

 

まとめ

賃貸マンションにおいて共用部分の修繕は後回しにされがちですが、長期修繕計画を作成してオーナーが前向きに取り組んでいけば入居率や資産価値の向上につながりますので、未作成の場合は是非ご検討くださいね。

興味を持っていただいたオーナー様、是非一度ご相談ください。当社では分譲マンション管理のクオリティを持った建物管理の専門部署が問題解決をご提案いたします。

 

 

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松井 久弥

あなぶきハウジングサービス:松井 久弥(まつい ひさや)
2000年あなぶきハウジングサービス入社。
全国10都道府県において、管理担当・リプレイス営業・新規拠点立上げ・部門責任者に従事。特にマンション管理会社のM&Aにおいては、案件化からデューデリ・譲渡契約・お客様対応全般・統合後プロセス(PMI)までを実践。
マンション管理士、M&Aシニアエキスパート。
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