こんにちは。あなぶきハウジングサービスの飯野です。
今回はマンションの大規模修繕工事に含まれる一般的な『鉄部塗装工事』についてご説明します。
鉄部塗装の代表的な工事は「鉄骨階段」「玄関扉・枠」「非常階段扉」「メーターボックス扉」「消火栓ボックス」「臭気筒」「塩ビ製雨樋」「エレベーター扉・枠」の塗装です。
また、機械式駐車場や築年数の古いマンションではベランダ手摺りも含まれます。
鉄部塗装が必要な理由
マンションの大規模修繕工事で鉄部塗装が必要な理由として、「塗装の剥がれ」や「退色」からの美観回復以外に塗料の皮膜により鉄が錆びる事を防ぐことがあげられます。
鉄部塗装工事の一般的な修繕周期は3~5年程度で、建物に足場を架けて実施する大規模修繕工事のときに実施するほか、大規模修繕工事と次の大規模修繕工事の中間でも、足場が無くてもできる塗装を単独で実施することが多い工事です。適切な時期に鉄部塗装工事を実施しないと、鉄部が腐食し、手摺り等は溶接をする必要性が出てくるなど、放置すると補修に手間や費用が過分にかかる事もあるため、適切な時期での実施が望ましいです。
鉄部塗装の適切な実施時期
適切な修繕周期は先ほど3年~5年と説明しましたが、マンションの立地環境により劣化進行の速さは大きく左右されるため、鉄部塗装工事は年数のほかに劣化状況を見て適切な実施時期を判断します。
そこで、鉄部塗装の劣化状況を確認する方法で一番簡単で分かりやすい方法をご紹介します。手のひらで鉄部の表面をサッと拭いてみてください。手のひらに塗装色のような粉が付着したら鉄部塗装が劣化しているサインです。
このような例を建築用語では「チョーキング」と称しています。
鉄部塗装の流れ
鉄部の劣化を確認し鉄部塗装工事が始まりますが、作業は一般的に以下のように進みます。
ケレン作業(錆落とし)
ケレンという工具を使用して新しく塗装する下地づくりをします。ケレンと一言でいっても既存の鉄部の状況によって、サンドペーパーを架ける程度や、電動サンダー等のケレン専用工具を使用しなければならない場合もあるなど、作業内容は大きく異なります。
この作業が鉄部塗装で最も重要な工程で耐久性に一番影響が出る作業と言われています。
錆止め処理(下塗り)~中塗り~上塗り
下地ができあがると、塗装作業に入ります。一番最初にする作業が錆止め処理(下塗り)で、その後中塗り→上塗り作業をします。下塗りから上塗りまで、3層の塗装作業を行う事により初めて適正な塗膜厚が確保され、その塗料の耐久性を十分に発揮されることとなります。
これらの作業は塗り残しがないように、全ての色を変えて塗装します。
まとめ
鉄部は以前説明した屋上防水とは異なり、“人の目につく場所”にあります。マンションを一周すると、そのマンションの維持管理程度が判断されてしまいます。一般的に人が住むマンションを決める判断材料としては、立地状況が最も優先される事項になりますが、その次がマンションの美観や設備等見た目で判断することになります。したがって築年数が経過しても、きれいなマンションとそうでないマンションでは同じ地域で同じ規模のマンションでも資産価値は大きく異なると言えるでしょう。鉄部塗装工事をしなくても生活に大きな支障は出ないことがほとんどですが、大切な資産を守るために適切な維持管理を行いましょう。
飯野琢磨
前職では大工や建築積算を経験。入社後、マンション修繕工事のコンサル業務、分譲マンションのリプレイス営業、分譲マンションのフロントを経験。
マンション管理のことについてはもちろんのこと、リフォームやリプレイスなどさまざまな視点から幅広い情報を提供します。
所有資格:一級建築士・マンション管理士・管理業務主任者・宅地建物取引士
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