こんにちは、仲井です。今回は、建物区分所有法の中で、「集会」の分野のポイントを、招集等、議決権・決議の効力、その他(占有者等)に分けて説明致します。では、早速中身に入っていきましょう。
目次
- 集会の招集等
- 議決権・決議の効力
- その他(占有者等)
集会の招集等
1 集会の招集
まずは、集会の招集についてポイントを説明致します。
集会は、管理者が招集します。管理者は、「少なくとも毎年1回」集会を招集しなければなりません。
なお、区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有する者は、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができます。また、管理者がいないとき(毎年1回集会を招集する義務はありません)は、区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有する者は、集会を招集することができます。上記「5分の1」という数字は覚えてください。
ただし、この5分の1の定数は、規約で減ずることができます(増やすことはできません)。 集会を開きやすくする方向ならオッケーということです。
2 その他の管理者に関する規定
集会の招集以外の管理者に関する規定(事務の報告、議長、議事録)についても、あわせて説明致します。ただし、宅建試験では、若干細かい分野です。
管理者は、集会において、毎年1回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければなりません。「集会において」「毎年1回一定の時期に」という部分にも注意しましょう。
集会においては、規約に別段の定めがある場合および別段の決議をした場合を除いて、管理者(または集会を招集した区分所有者の1人)が議長となります。「規約に別段の定め」「別段の決議」という部分に注意しましょう。
そして、議長は、集会の議事について、書面または電磁的記録により、議事の経過の要領およびその結果を記した議事録を作成しなければなりません。議事録が書面で作成されているときは、議長および集会に出席した区分所有者のうち2人がこれに署名押印しなければなりません(電磁的記録の場合、署名押印に代わる方法があります)。
議事録は、管理者が保管しなければなりません(ただし、管理者がいないときは、建物を使用している区分所有者またはその代理人で規約または集会の決議で定める者が保管しなければなりません)。必ずしも「議長」が保管するわけではありません。
なお、議事録の保管場所は、建物内の見やすい場所に掲示しなければなりません。
3 招集通知・決議事項の制限
招集通知・決議事項の制限についても、あわせて押さえておきましょう。
集会の招集の通知は、会日より少なくとも1週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければなりません(ただし、この期間は、規約で伸縮することができます)。「1週間」「規約で伸縮」という部分に注意しましょう。
なお、建物内に住所を有する区分所有者等の一定の者に対する招集通知は、規約に特別の定めがあるときは、建物内の見やすい場所に掲示してすることができます。「規約に特別の定め」という部分に注意しましょう。
招集通知をする場合において、会議の目的たる事項が共用部分の重大変更、規約の設定・変更・廃止、大規模滅失の復旧、建替え等であるときは、その議案の要領をも通知しなければなりません。
そして、集会においては、招集通知の規定によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議をすることができます(あらかじめ通知した事項でなくても、議論自体はできます)。
ただし、建物区分所有法に集会の決議につき特別の定数が定められている事項(たとえば、管理組合法人の設立等や区分所有権の競売の請求等の特別決議事項)を除いて、規約で別段の定めをすることを妨げません。すなわち、集会の議事は、建物区分所有法または規約に別段の定めがない限り、区分所有者および議決権の各過半数で決するのが原則ですが、このような普通決議事項については、規約で別段の定めがあれば、あらかじめ通知した事項以外の事項についても決議をすることができるのです(「規約で別段の定め」という部分にも注意しましょう)。
議決権・決議の効力
議決権・決議の効力についてもポイントを説明致します。
1 議決権
各区分所有者の議決権は、規約に別段の定めがない限り、共用部分の持分の割合によります。
議決権の行使方法については、書面で、または代理人によって行使することもできます。なお、区分所有者は、規約または集会の決議により、この書面による議決権の行使に代えて、電磁的方法によって議決権を行使することができます。「規約または集会の決議」という部分に注意しましょう。
2 決議の効力
集会の決議の効力については、区分所有者の一般承継人(相続人等)はもちろん、特定承継人(売買の買主等)に対しても、その効力を生じます。集会で反対だった人はもちろん、部屋を相続した人や後から買った人にも、効力が生じるのです。
また、占有者(たとえば賃借人)は、建物またはその敷地もしくは付属施設の使用方法につき、区分所有者が規約または集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負います。
その他(占有者等)
最後に、議決権行使者の指定、招集手続の省略等、占有者について、触れておきましょう。
1 議決権行使者の指定(専有部分が数人の共有に属するとき)
専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、議決権を行使すべき者一人を定めなければなりません(専有部分の持分割合による議決権行使ではありません)。
この場合、招集通知は、この議決権を行使すべき者(その者がないときは、共有者の1人)にすれば足ります。
2 招集手続の省略等
集会は、区分所有者「全員の同意」があるときは、招集の手続を経ないで開くことができます(この場合、「集会においては、あらかじめ通知した事項についてのみ、決議をすることができる」という規定は適用されません)。
なお、建物区分所有法または規約により集会において決議をすべき場合において、区分所有者「全員の承諾」があるときは、書面または電磁的方法による決議をすることができます(書面または電磁的方法による決議)。
招集手続の省略や、前述の書面または電磁的方法による議決権の行使は、集会自体は開催するのに対して、この書面または電磁的方法による決議は、集会自体が開催されないものです。
3 占有者(賃借人等)の意見陳述権等
区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができます。言い換えれば、たとえ利害関係があっても、議決権は行使できないのです(もっとも、建物区分所有法上、議決権を行使する代理人の資格に制限がありませんので、代理人として議決権を行使することは可能です)。
この場合には、出席して意見を述べる機会を与えるため、集会を招集する者は、集会の招集通知の規定により招集の通知を発した後遅滞なく、集会の日時、場所および会議の目的たる事項を建物内の見やすい場所に掲示しなければなりません。
そして、前述のように、集会の決議の効力については、占有者は、建物またはその敷地もしくは付属施設の使用方法につき、区分所有者が規約または集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負います。議決権がないのに、占有者にも、効力が及ぶのです。
…今日はこれぐらいにしておきましょう。建物区分所有法は、ヒッカケも多く出題されますので、ポイントを「正確に」押さえることが大事といえます。まずは、頻出分野である「5分の1」の数字、「決議の効力」、「占有者の意見陳述権」を優先してマスターしておきましょう。
仲井悟史
東京イーストエリアで約10年にわたりマンション管理担当者を経験しています。前職は資格試験予備校で長年にわたり宅建等の講師として教壇に立っていました。その経験を活かし、現在、社内講師も務めています。息子たちと野球をしたり観たりすることが最大の楽しみ。
保有資格:管理業務主任者・マンション管理士・マンション維持修繕技術者・宅地建物取引士
特技:中国語
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