宅建合格講座! 権利関係|「抵当権③~法定地上権」を解くときのポイント

仲井悟史 仲井悟史

皆さんこんにちは、仲井です。

今回も、「抵当権」を学習します。テーマは、「法定地上権」です。では、早速、中身に入っていきましょう。

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目次

  • 法定地上権
  • 抵当地の上の建物の競売(一括競売)
  • まとめ

法定地上権

1 法定地上権とは

法定地上権とは、「土地およびその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地や建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときに、その建物について、設定されたものとみなされる地上権」をいいます。
「法定地上権」は、どのような場合に成立するのでしょうか。
たとえば、①Bの土地上にBの建物が建っており、土地に債権者Aの抵当権が付いている場合において、抵当権の実行により土地が競売され、Cが土地を競落したとき、Cの土地上にBの建物が何の権利もなく建っている状態になってしまいます。このままでは、Bは建物を収去して土地を明け渡さなければならず、社会経済上大きな損失が生じる(もったいない)といえます。
また、②Bの土地上にBの建物が建っており、建物にAの抵当権が付いている場合において、抵当権の実行により建物が競売され、Cが建物を競落したときや、③Bの土地上にBの建物が建っており、土地と建物にAの抵当権が付いている場合において、抵当権の実行により土地と建物が競売され、Cが土地を、Dが建物を競落したときも、同じような状況が生じます。
以上の①から③のように、Bの土地上にBの建物が建っている場合において、抵当権の実行により、土地と建物の所有者を異にするに至ったときは、建物のために、法律によって地上権が与えられ、建物を収去する必要がなくなります(上記事例①③のCや②のBは、「建物を壊して出ていけ」などと主張することはできません)。これが「法定地上権」です。
そして、「法定地上権」に関しては、以下の通り、2つのポイントがあります。

2 法定地上権のポイント①(最初に建物が存在する=更地ではない)

まず1つ目のポイントは、法定地上権が成立するには、「抵当権を設定した当初から、土地上に建物が建っていることが必要」ということです。逆に、抵当権を設定した当初に、土地上に建物が建っていない場合(更地の場合)において、後で建物を建てたときは、法定地上権は成立しません。
なぜなら、抵当権者の立場に立ってみると、最初に更地の場合、土地の上に建物等がありませんので、抵当権者は、「いざとなったら高く売れるぞ」とその土地を高く評価し、それに見合うだけの融資をおこなうでしょう。にもかかわらず、後でいきなり法定地上権が成立してしまうと、土地の上に法律で認められた権利が付着することにより、土地の価値が下落し、競売の際に土地が高く売れないことになってしまいます。これでは、抵当権者の当初の期待と違う結果になってしまいます。
そこで、最初に更地の場合は、後で建物を建てても、法定地上権は成立しないのです。
なお、最初に更地だった場合において、一番抵当権が設定され、その後に土地上に建物が築造され、二番抵当権が設定されたときでも、一番抵当権者の当初の期待を保護するため、二番抵当権者を基準にはせず、やはり法定地上権は成立しません。

以上のように、最初に建物が存在するのか、更地なのかを確認することが重要です

3 法定地上権のポイント②(最初に土地と建物が同一人所有)

2つ目のポイントは、法定地上権が成立するには、「抵当権を設定した当初、土地と土地上の建物の所有者が同一人であることが必要」ということです。
なぜなら、最初から土地と建物の所有者が別人だった場合は、建物のために借地権があるはずであり、わざわざ法定地上権を認める必要がないからです。
逆に、最初に土地と建物の所有者が同一人だった場合、そもそも借地権を設定していないのであり、抵当権実行によりそれぞれの所有者が別人になったときは、建物の利用権を認める必要があるため、法定地上権が成立するのです。

4 法定地上権のポイント②の補足

なお、最初に土地と建物の所有者が別人だった場合、後でそれぞれの所有者が同一人になっても、法定地上権は成立しません
逆に、最初に土地と建物の所有者が同一人だった場合、後でそれぞれの所有者が別人になっても、抵当権実行により法定地上権は成立します
また、最初に土地と建物の所有者が同一人だった場合、その後に建物が滅失して、違う建物を建てても、法定地上権は成立します。
以上のように、あくまでも、最初に土地と建物の所有者が同一かどうかで、法定地上権の成否を判断します(後でどうなったかは無関係です)。なお、建物の登記も法定地上権の成立には無関係です。

抵当地の上の建物の競売(一括競売)

前述のように、抵当権設定時に建物がない場合(更地の場合)において、後で土地上に建物を築造したとき、土地の抵当権を実行しても法定地上権は成立しません。
とすると、この場合、「建物を壊して出ていけ」ということになりそうです。しかし、それでは社会経済上の損失が生じてしまいます。
そこで、本来、土地と建物は別個の不動産であり、土地に抵当権が設定された場合、建物を競売にかけることはできないはずですが、建物を守るために、「抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる」とされています(このように、最初更地の場合において、後で建物を築造したとき、土地と建物の両方を競売にかけることを、「一括競売」といいます)。
ただし、このように一括して競売した場合でも、もともと抵当権者は土地についてしか抵当権の設定を受けていないため、抵当権者が競売代金から取れるのは土地の分についてのみです。建物については、弁済を受けることはできません。これはよく出題されます。

 

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まとめ

以上をまとめますと、最初に「更地かどうか」「建物がある場合、土地と同一所有者か」をチェックして、最初に土地上に建物があって、土地と建物が同一所有者の場合、法定地上権が成立します。
これに対し、最初に更地だった場合、その後に建物を築造しても法定地上権は成立しません。もっとも、この場合においても、抵当権者は、一括競売をすることはできます(ただし、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができます)。
…今日はこれぐらいにしておきましょう。「法定地上権」は、最初は分かりにくい分野ですが、まずは理由の理解に努め、最終的には結論をしっかりと覚えましょう。

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仲井悟史

仲井悟史

あなぶきハウジングサービス 東京東支店:仲井 悟史(なかい さとし)
東京イーストエリアで約10年にわたりマンション管理担当者を経験しています。前職は資格試験予備校で長年にわたり宅建等の講師として教壇に立っていました。その経験を活かし、現在、社内講師も務めています。息子たちと野球をしたり観たりすることが最大の楽しみ。
保有資格:管理業務主任者・マンション管理士・マンション維持修繕技術者・宅地建物取引士
特技:中国語
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