賃貸住宅を契約する際の連帯保証人の条件や責任内容を解説します!

こんにちは。あなぶきハウジングサービスの木村です。

毎年5月以降はお引越しの件数が落ち着く時期ですが、今年はコロナの影響で2月3月の引越から分散されているのか、例年よりもお部屋探しのお客様が多い印象です。

 

さて、今回は「賃貸住宅を契約する際の連帯保証人」についてお話しできればと思います。

 

賃貸住宅を個人名義で契約する際は一般的には『連帯保証人』が必要となります。

連帯保証人は誰に頼めばよいのか?どのような事を頼むのか?必要な要件は?と初めて賃貸住宅を契約する場合は疑問に思う事があると思います。また逆に、連帯保証人を頼まれたけどどのような責任を負うのか?と心配になる方もいらっしゃると思います。

下記の点を今一度ご確認頂けますと幸いです。

 

 

 

連帯保証人の責任

連帯保証人とは、主たる債務者(賃借人)と連帯して債務を負担することを約束した保証人で、連帯保証人には一般の保証人と異なり下記の権利がありません。

「催告の抗弁権」 「検索の抗弁権」 「分別の利益」

例えば、「催告の抗弁権」がないので・・・
連帯保証人が貸主様から賃料の支払いを請求された場合は「契約している本人(賃借人)から先に支払ってもらって欲しい」と主張することはできません。

また「検索の抗弁権」もないので・・・
「本人の方が財産を持っている。本人の財産から賃料を取って欲しい」と主張することもできません。

さらに「分別の利益」がないので・・・
連帯保証人が2名いても請求されれば半分とならず満額支払う義務があります。

このように連帯保証人は一般の保証人よりも責任が重いものとなります。

又、一度契約を締結すると、賃貸借契約が終了しない限り基本的には継続して責任を負う事となります。ちなみに、どの様な責任があるかについては下記となります。

・賃料未払い分の支払い

・損害金の支払い(物件の破損等)

・本人(賃借人)が行方不明になった場合の家財の処分等

 

以上の様な責任が課される為、連帯保証人を頼む場合や引き受ける場合も承諾した上で契約を締結して頂ければと思います。

 

 

連帯保証人の要件

では次にどの様な方が連帯保証人となれるのか?についてお話しいたします。

貸主様や管理会社によって異なる部分もございますが、基本的には下記があげられます。

①2親等以内の親族(親、兄弟、子、祖父母、孫など)

②安定した収入がある事

③国内に居住している事

 

②の安定した収入については就業している事が求められることが多いですが、ご年齢によっては退職されておる場合もありますので、その場合は年金受給額の申請にて審査をすることもございます。
また、どうしても①2親等以内の親族の方がおられない場合もございますので、その際はご状況を不動産会社に相談して頂ければ条件を変更できるケースもございます。
なお、連帯保証人は同一生計(一緒に居住される)の家族は不可となります。旦那さんが契約者の場合に、一緒に暮らす奥様が連帯保証人なるのは不可ということです。

 

近年では『保証会社加入』が必須になっている事が多くありますが、管理会社によっては『保証会社加入』+『連帯保証人』が条件になっている事もございますので、ご注意ください。

 

 

連帯保証人における民法改正点

2020年4月1日の民法改正により、連帯保証人の責任に関する規定も改正されました。

大きな改正点は下記となります。

①連帯保証の極度額の設定(民法第465条の2)

旧民法(2020年3月31日以前の民法)では『連帯保証人』の責任範囲は無制限となっており、保証額(滞納額や損害金等)が多額になってしまうとの問題が起こっていた様です。
その為、個人の連帯保証人の保護のために保証額の「極度額」を契約時に設定する事が義務付けられました(極度額の定めのない連帯保証契約は無効)。
極度額の設定は賃料×●●ヵ月分で算出され、これらの金額は各契約にて異なりますので、契約時に必ず確認をして下さい。

②情報提供義務の新設(民法第458条の2など)

依頼を受けて連帯保証人になった場合は、保証人は債権者(貸主)に対して支払い状況に関する情報の提供を求めることができます。

 

これらは2020年4月1日以降の契約に適用されます。改正以降は極度額の定めがなければ連帯保証の契約自体が無効になりますが、2020年3月31日までの契約については旧民法が適用されます。3月31日以前の契約が無効になることはございませんので、ご注意下さい。

 

まとめ

賃貸借契約における賃料の遅延や未払いが起こるケースは珍しくありません。その際に連帯保証人様に連絡をさせて頂く事がありますが、「契約をしたが内容は把握していない、そこまで責任があるのか」と言われることも幾度かありました。

賃貸借契約だけでなく保証人は法律的にも義務を負います。しかし連帯保証人必須条件の契約も多く存在いたしますので、内容を把握した上でご協力を頂けますと幸いに思います。

 

お忙しい中、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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木村千春

あなぶきハウジングサービス
木村 千春(きむら ちはる)

香川県出身。20年近く県外に出ておりましたが、
Uターンを機にあなぶきハウジングサービスに入社しました。
2002年より不動産(賃貸管理)業務を経験し、現在は賃貸物件の管理業務に従事しております。
建築営業にも携わっておりました。
今までの経験を生かして様々な事をお伝えできればと思います。

保有資格:宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士・2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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