あなぶきセザールサポートの飯野です。
前回、前々回では床の防音について説明しましたが、本日は壁について説明します。
壁を通して伝わる音の種類は、話し声やテレビ、オーディオの音、楽器の演奏です。
お隣の部屋の音が聞こえている場合は、自宅の音も隣に漏れている可能性があるので注意が必要です。
目次
- 界壁について
- 構造スリットの有無について
- 界壁と仕上げボードの関係について
- まとめ
・界壁について
一般的な鉄筋コンクリート造のマンションでは界壁(隣の住戸との境界壁)はコンクリートでできているのがほとんどですが、鉄骨造や高層マンションではALC版(軽量気泡コンクリート壁)等、コンクリート以外のもので造られているものもあります。鉄筋コンクリート造以外の材質では遮音性が落ちる可能性があるため、遮音・防音性を重視される方は注意が必要です。
界壁がコンクリート造の場合でも、コンクリートの厚みにより遮音性が変わってきます。いうまでもなく、厚い壁ほど遮音性が優れていますが、最低でも150mm以上は欲しいところです。壁の厚みは新築であれば広告やモデルルームで確認できますし、中古マンションの場合は図面で確認可能です。古いマンションの場合は特に薄い可能性が高いため、よく確認してください。
また、壁についているコンセントや照明のスイッチについて、まれにコンクリートの壁を欠きこんで設置しているマンションがあります。欠きこんだ分コンクリートの壁が薄くなるため、遮音の弱点となります。隣の住戸も同じ場所へ設置している場合はさらに壁が薄くなっているため、要注意です。
・構造スリットの有無について
ほとんどのマンションについて、界壁は耐震壁(構造力学上重要な壁)となっているので構造スリットはありませんが、まれに界壁にも構造的な理由でスリットが設けてある場合があります。構造スリットはコンクリートの壁と柱や梁の間に隙間を設けて入れるものなので、遮音性の弱点となります。こちらは図面を見てもわかりずらいため、営業担当者を通して確認するといいでしょう。
・界壁と仕上げボードの関係について
界壁の内装仕上げですが、遮音・防音の観点ではコンクリート壁に直接壁紙を貼る仕上げが望ましいです。コンクリートの施工精度が悪い場合は直接貼る事が出来ないため、理由なく直貼りしていない物件は心配かもしれません。
一般的に外部に面する内部壁の仕上げは、GL工法(団子状の接着剤(GL)でボードを貼りそこに仕上げの壁紙を貼る工法)が用いられますが、この工法を界壁に用いている場合は遮音・防音の観点でNGです。コンクリートの壁とボードの間の隙間に太鼓現象という共鳴がおこり、音が大きく聞こえる事があります。
・まとめ
住戸と住戸の音については、説明したとおり、竣工時でほぼ決まってしまいます。
遮音・防音に配慮したマンションに住むためには、今までご説明した内容を営業担当にしっかりと確認するようにしましょう。
飯野琢磨
前職では大工や建築積算を経験。入社後、マンション修繕工事のコンサル業務、分譲マンションのリプレイス営業、分譲マンションのフロントを経験。
マンション管理のことについてはもちろんのこと、リフォームやリプレイスなどさまざまな視点から幅広い情報を提供します。
所有資格:一級建築士・マンション管理士・管理業務主任者・宅地建物取引士
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