分譲マンションの管理費は、“管理を委託している項目の見直し”だけでなく“仕様を見直す”ことで削減できることがあります。
今回は分譲マンションの管理委託項目で仕様を見直す際のポイントについてご紹介します。
管理委託費用とは
まず、分譲マンションの管理委託費用は、下記の4つの項目に分けられます。
1.事務管理業務費
2.管理員業務費
3.清掃業務費
4.建物・設備管理業務費
事務管理事務とは?詳しい内容はこちら
→マンションの管理委託項目|事務管理業務とは
管理員業務・清掃業務とは?詳しい内容はこちら
→マンションの管理委託項目|管理員業務・清掃業務とは
建物・設備管理業務とは?詳しい内容はこちら
→マンションの管理委託項目|建物・設備管理業務とは
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この「建物・設備管理業務」の中でも金額を見直せる可能性が高いのが“エレベーターの保守点検”です。
マンションの設備の中でも、特にエレベーターはお住まいの方々の使用頻度が高い設備ですよね。
また、故障や事故があった場合には命にも関わる設備なので、定期的に運行状況を確認し、消耗した部品を取り換える必要があります。
エレベーター保守点検業務の具体的な内容はマンション管理会社と締結している管理委託契約書の仕様書に記されているので、管理委託契約書で現在の仕様を確認してみてくださいね。
エレベーター保守点検の仕様では、『点検(契約)方式』と『点検業者』に注目してください。
エレベーター点検(契約)方式
~フルメンテナンス方式とPOG方式~
まず、エレベーターの保守点検には“フルメンテナンス方式”と“POG方式”という2つの契約方式があります。
フルメンテナンス方式
エレベーターの点検・調整および部品の交換などが契約料金の中に含まれている方式。
POG方式
フルメンテナンス方式とは異なり、消耗品以外の部品の交換や修理がある場合、その都度発注が必要になる方式。
※POGは、Parts(パーツ)/Oil(オイル)/Grease(グリース)、それぞれの頭文字
フルメンテナンス方式の料金の方が点検・調整および部品の交換などが契約料金の中に含まれているのでPOG方式よりも高くなりますが、エレベーターの使用年数が経過することによって交換が必要な部品が多くなってきます。
そうなると、都度別途で部品代が必要になるので、POG方式の方が割高になる場合があります。
エレベーター点検業者
~エレベーターのメーカーと独立系の会社~
次に点検業者です。
点検業者についてはエレベーターのメーカー(東芝、日立、三菱など)やその系列会社が行う場合と、独立系の会社が行う場合によって金額がかなり変わってきます。
ひと昔前は独立系の会社はメーカーに比べて部品の調達に時間がかかると思われていましたが、近年では公正取引委員会よりメーカーからの部品出し渋りが独禁法に抵触すると判断され、独立系の会社にもメーカーから円滑な部品供給が行われるようになりました。
独立系の会社でも使用する部品も当然メーカーの純正部品ですし、部品の在庫も独自で管理するようになっています。
わたしたちの会社で取引のある独立系の会社でも98%近いメーカー部品の在庫管理率を持っているので、独立系は安いけど部品調達が遅いといったこともほとんどなくなっています。
まとめ
実際に78戸のマンションでエレベーターの保守点検業者をメーカーから独立系の会社に変更したケースでは、年間624,000円(月額52,000円)の削減に成功していました。
※エレベーター2基分の金額です。
エレベーターを製造しているメーカーが保守点検も行ってくれた方が安心、という安心感でメーカーを点検業者に選定している管理組合や、独立系の方がメーカーと比較して費用が安く抑えられるので価格重視で独立系を選定している管理組合もあります。
安心感に対する考え方など管理組合の皆さんで考えて意見を集約し、見直ししてみてくださいね。
松井 久弥
2000年あなぶきハウジングサービス入社。
全国10都道府県において、管理担当・リプレイス営業・新規拠点立上げ・部門責任者に従事。特にマンション管理会社のM&Aにおいては、案件化からデューデリ・譲渡契約・お客様対応全般・統合後プロセス(PMI)までを実践。
マンション管理士、M&Aシニアエキスパート。
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