マンションの管理委託項目|建物・設備管理業務とは

松井 久弥

こんにちは。

今回は、マンション管理会社との委託契約業務の中にある「建物・設備管理業務」について、ご説明します。
基本的にマンション管理会社が1年の点検スケジュールを作成し、点検業者への発注・実施日の調整・点検報告書の作成・不具合箇所の改善点の提案を行います。

 

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目次

  • 建物・設備管理業務とは
  • 法定点検の種類
  • 保守点検の種類
  • まとめ

建物・設備管理業務とは

建物・設備管理業務とは、主に保守点検業務がメインとなり、マンションの建物・設備の異常を未然に防ぐため、定期的な点検を実施します。
設備もマンションによって様々ですが、法定点検と保守点検に分かれています。次に、法定点検と保守点検の違いをご紹介します。

法定点検の種類

法定点検とは、国が定めた点検となり、報告が義務付けられています。法定点検も、マンションの設備や規模によって異なりますので、主な法定点検の紹介をさせていただきます。

■特殊建築物等定期調査
対象となるのは5階以上で延べ面積が1,000㎡以上の建物です。
建築基準法12条1項に定められた点検で、3年に1回、特殊建築物等調査資格者・1級建築士・2級建築士が行い、特定行政庁へ報告を行います。点検項目は、建築物の敷地・構造・建築設備です。

■建築設備定期検査
対象となるのは5階以上で延べ面積が1,000㎡以上の建物です。
建築基準法12条3項に定められた点検で、1年に1回、建築設備検査資格者・1級建築士・2級建築士が行い、特定行政庁へ報告を行います。
点検項目は、換気設備・排煙設備・非常用の照明装置・給水設備・排水設備です。

■昇降機定期検査
建築基準法12条3項に定められた点検です。
1年に1回、昇降機検査資格者が行い、特定行政庁へ報告を行います。
所有者は、定期検査の報告を証明する定期検査報告済証を、かご内の見えやすい位置に掲示しなければなりません。

エレベーターの保守点検は、フルメンテナンスとPOG契約の2種類があり、大きな違いは、部品交換・修理が無償か有償かの違いになります。

■消防設備等点検
対象となるのは延べ面積が1,000㎡以上で消防長又は消防署長が火災予防上必要であると指定した建物です。
消防法17条の3の3に定められた点検で、機器点検を6ヵ月に1回、総合点検を1年に1回実施し、消防設備士・消防設備点検資格者が行い、3年に1回消防長又は消防署長へ報告を行います。
点検項目は、消火設備・警報設備・避難設備・消防用水・消火活動上必要な施設です。

■専用水道定期水質検査
対象となるのは水槽の有効容量が100㎥を超える施設・口径25mm以上の導管の全長が1,500m超・居住人口100人超・1日最大給水量が20㎥超で、水道法3条6項・水道法34条に定められた検査です。
1年に1回、厚生労働大臣の登録を受けた者が行い、都道府県知事へ報告を行います。また、水槽の清掃を1年に1回実施します。

■簡易水道定期水質検査
対象となるのは水槽の有効容量が10㎥を超える施設で水道法3条7項・水道法34条の2に定められた検査。1年に1回、地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者が行い、都道府県知事へ報告を行います。
また、水槽の清掃を1年に1回実施します。

■自家用電気工作物定期点検
対象となるのは高圧(600V以上)の受電の設備と10kW以上のものは、電気事業法により『自家用電気工作物』に分類されます。
電気事業法39条・42条に定められた検査。電気主任技術者を選任し、電気設備の予防保全を行うため点検計画などを定めた保安規程を作成し、経済産業省に提出しなければなりません。
さらに毎年1回、設備を停電して精密検査・測定、また毎月1回外観点検などを実施し、報告することになります。

 

保守点検の種類

保守点検とは、法定点検とは異なり報告義務はありませんが、マンションの建物・設備の異常を未然に防ぐため、定期的な点検が必要です。マンションの設備によって異なりますが、主な保守点検の紹介をさせていただきます。

■機械式駐車場設備点検
故障や事故を防ぎ確実に利用者の安全を守ること、さらには装置の寿命を引き延ばすためには定期的な正しいメンテナンスが必要です。
通常、年4回や年6回で実施します。点検の内容は、各箇所への給油・注油・制御盤の調整・チェーンの調整・排水ポンプの作動確認を行います。また、故障時の緊急出動も含まれます。

■排水管清掃
排水管清掃を怠ると、汚水のつまりや逆流、階下への水漏れなどのトラブルが起こるリスクが高まります。
定期的な正しいメンテナンスが必要です。通常、年1回か2年1回で実施します。
清掃の内容は、共用縦管・横引き管と専有部(キッチン・洗面所・浴室・洗濯機盤)の高圧洗浄を実施します。

■給水設備点検
給水ポンプの故障は皆様の生活に直結しますので、定期的なメンテナンスが必要です。
通常、年1回か2回実施します。点検の内容は、ポンプ・電動機・制御盤・圧力タンク・センサ類・運転制御の点検を実施します。
また、オプションなどで遠隔監視を行っているマンションもあります。

■植栽維持管理
植栽は、適切な管理を行わなければ枯れてしまいますし、美観上もよくありません。
通常、植栽は年間での管理が適正です。植栽の種類によって剪定の時期も異なれば、消毒や施肥の時期も異なりますので、専門業者に植栽の種類にあった管理を行います。


まとめ

「建物・設備管理業務」の内容についてご説明させていただきました。
「建物・設備管理業務」をマンション管理会社に依頼することはとても重要ですが、併せて保守点検の金額を管理組合で知っておくことはもっと重要です。
管理組合で適正な金額を調査しておくことで、無駄な支出を減らせる可能性があります。
適正な金額を知るためには、業務の仕様書と点検報告書を管理会社から入手し、同じ仕様で見積もりをネットなどで取得すればよいのです。管理会社任せにせず、管理組合主体での管理を行い、適正な管理で資産価値の向上を目指しましょう。

 

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松井 久弥

あなぶきハウジングサービス:松井 久弥(まつい ひさや)
2000年あなぶきハウジングサービス入社。
全国10都道府県において、管理担当・リプレイス営業・新規拠点立上げ・部門責任者に従事。特にマンション管理会社のM&Aにおいては、案件化からデューデリ・譲渡契約・お客様対応全般・統合後プロセス(PMI)までを実践。
マンション管理士、M&Aシニアエキスパート。
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