マンションの専用使用権って何?~ベランダや窓等の維持管理は誰が行うか~

綾部 祐太

こんにちは。あなぶきハウジングサービス 綾部です。
今回は「専用使用権」についてご説明したいと思います。
分譲マンションにお住まいの皆さんは、住戸に面するベランダや窓等が、実は専有部分ではなく共用部分であるとご存じの方も多いと思いますが、それらは共用廊下や階段等の普通の共用部分とは少し扱いが異なります。管理会社から「そこは専用使用権が設定されている部分なので入居者の方が清掃や修理をしてください」と言われたことがある方もいらっしゃると思いますが、何故そうなのか掘り下げていきます。

【専用使用権とは】

実は、「専用使用権」という文言は、分譲マンションに関する法律である『建物の区分所有等に関する法律』(区分所有法)には出てきません。国土交通省が公表している『マンション標準管理規約』(管理規約の見本のようなものです)にこの文言があり、実際には多くの管理組合の管理規約にこの規定があるとは思いますが、制度上は各管理組合が管理規約で規定するものということになります。

『マンション標準管理規約』では次のように規定されています。

(バルコニー等の専用使用権)
第14条 区分所有者は、別表第4に掲げるバルコニー、玄関扉、窓枠、窓 ガラス、一階に面する庭及び屋上テラス(以下この条、第21条第1項及 び別表第4において「バルコニー等」という。)について、同表に掲げる とおり、専用使用権を有することを承認する。

(敷地及び共用部分等の管理)
第21条 敷地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。ただし、バルコニー等の保存行為(区分所有法第18条第1項ただし書の「保存行為」をいう。以下同じ。)のうち、通常の使用に伴うものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない。

国土交通省『マンション標準管理規約』より

それでは、上記条文にある「バルコニー等」、「通常の使用に伴う保存行為」とは具体的に何を指すのでしょうか。

 

【バルコニー等とは】

『マンション標準管理規約管理規約』第14条第1項に「バルコニー、玄関扉、窓枠、窓 ガラス、一階に面する庭及び屋上テラス」と例示されています。『マンション標準管理規約管理規約コメント』(標準管理規約の補足説明部分です)では次の通り説明されています。

第14条関係
① バルコニー等については、専有部分と一体として取り扱うのが妥当であるため、専用使用権について定めたものである。

国土交通省『マンション標準管理規約コメント』より

 

つまり、「専有部分と一体として取り扱うのが妥当である」部分について専用使用権を設定するとされています。他によくあるものとしては、網戸、集合郵便受、専用駐車場(特定住戸に面した専用駐車区画)等が挙げられます。

 

【通常の使用に伴う保存行為とは】

『マンション標準管理規約管理規約コメント』では次の通り、「通常の使用に伴う保存行為」とそうでないものとの区別について説明されています。

第21条関係
③バルコニー等の管理のうち、管理組合がその責任と負担において行わなければならないのは、計画修繕等である。
④本条第1項ただし書の「通常の使用に伴う」保存行為とは、バルコニーの清掃や窓ガラスが割れた時の入替え等である。
⑤バルコニー等の経年劣化への対応については、③のとおり管理組合がその責任と負担において、計画修繕として行うものである。ただし、バルコニー等の劣化であっても、長期修繕計画作成ガイドラインにおいて管理組合が行うものとされている修繕等の周期と比べ短い期間で発生したものであり、かつ、他のバルコニー等と比較して劣化の程度が顕著である場合には、特段の事情がない限りは、当該バルコニー等の専用使用権を有する者の「通常の使用に伴う」ものとして、その責任と負担において保存行為を行うものとする。なお、この場合であっても、結果として管理組合による計画修繕の中で劣化が解消されるのであれば、管理組合の負担で行われることとなる。
⑥バルコニー等の破損が第三者による犯罪行為等によることが明らかである場合の保存行為の実施については、通常の使用に伴わないものであるため、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。ただし、同居人や賃借人等による破損については、「通常の使用に伴う」ものとして、当該バルコニー等の専用使用権を有する者がその責任と負担において保存行為を行うものとする。

国土交通省『マンション標準管理規約コメント』より

 

【誰が費用を負担するか】

つまり、管理規約で専用使用権が設定されている敷地及び共用部分等の管理のうち、「通常の使用に伴う保存行為」は当該住戸の区分所有者がその責任と負担において行い、それ以外は管理組合が行う、ということになります。
ここでややこしいのが、「通常の使用に伴う保存行為」かどうかによって、それに係る費用を負担する人が異なることです。この「通常の使用に伴う保存行為」に該当するかどうかの線引きは難しくこれについて争った裁判例もいくつかあるのですが、前掲した国土交通省の資料をかみ砕いて大まかに言いますと、日常的に普通に使用して汚れたり劣化したりした部分の清掃や修理・部品交換等は、計画修繕(管理組合の長期修繕計画に基づく工事:例/大規模修繕工事等)を除いて、専用使用権を有する人が負担する、と考えて良いでしょう。
なお、個別の費用負担ではあっても、修理工事等をする場合は管理組合への事前届出と承認を必要としている管理組合が多いと思いますので、工事を行う際はご注意ください。

 

いかがでしたか?
少し複雑ではありますが、専用使用権が設定された部分なのかどうかを把握することによってよりスムーズな維持管理ができるかと思いますので、お時間がある時にでもご所有のマンションの管理規約を確認してみてはいかがでしょうか。

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綾部 祐太

あなぶきハウジングサービス 東日本支社 分譲管理事業統括
綾部 祐太(あやべ ゆうた)
東京都出身。2013年入社。
入社から現在まで一貫して分譲マンション管理業務に従事しています。
日々の業務を通じて培った知識や経験をもとに、皆様がより快適なマンションライフを送ることができるよう、有益な情報を発信してまいります。
保有資格:管理業務主任者、宅地建物取引士
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