あなたは “マンションの3大トラブル” と聞いてどんなことを思い描きますか?
国土交通省の調査結果によると、『生活音』『違法駐車・違法駐輪』『ペット飼育』が該当します。これらは解決が難しいマンショントラブルと言われ、永遠の課題となっています。
以前のブログでは『生活騒音トラブル 』の解決方法をご紹介しました。今回は『ペット飼育のトラブル』にスポットを当ててその対処法を含めてご紹介していきたいと思います。
(参考)
マンションのトラブル解決方法!! 生活騒音トラブル編
居住者間のマナーをめぐるトラブルの具体的内容
冒頭触れましたが、国土交通省「マンション総合調査」によると、生活音が38.0%と最も多いトラブルのトップとなっており、次いで違法駐車・違法駐輪が28.1%、ペット飼育が18.1%と続いています。
出典:国土交通省「マンション総合調査」(平成31年4月26日公表)
ペット飼育のトラブル対処法
ご存じの通り、少子高齢化が進んでいる日本においては、ペット飼育の需要が年々高まっているそうです。
私もマンションの管理会社という立場から、ペット禁止マンションでの隠れ飼育や飼育マナー違反など、ペット飼育に関するトラブル(苦情)としての件数は確実に増加傾向にあるなと肌で感じているところです。
また、家族同然のペットですので、トラブルに発展すると感情的な面もあってなかなか解決が難しい問題でもあります。
① 禁止マンションでの隠れ飼育問題
ペットに関するトラブルで最も多いのは、管理規約等でペットの飼育が禁止されているにもかかわらずペットを飼っている隠れ飼育の居住者へのクレームです。
「管理規約等に違反しているのにそもそも飼っていいの?」「騒音(なき声)や異臭がする」「ベランダにおいて抜け毛が飛んでくる」「敷地内をうろうろさせてる」「エレベーター内で吠えて怖い」などなど。
結論を言いますと、経験上、 “解決策はこれ” というものは残念ながらありません。
規約に違反して飼った場合、義務違反者として飼育に起因する損害の責任を負うことになりますが、飼っている状況を見た他の居住者もあの人が飼っているからと飼育を始めて、マンション内で大きな問題に発展することになることも少なくありません。
ではどうすればいいか。
本来なら管理規約通りに飼い主にペットの処分を申し出るべきところですが、必ず今飼っているペットをどうしたらいいのかということになります。実際には、クレーム側の言い分と飼っている側の言い分を聞いて妥協点を探ることが一番の解決への近道だと考えます。
これまでに経験した対処事例を下記に記載しますが、問題が発覚した時点で、出来る限り早期に理事会等にて話し合いの場を設けて解決していくことが大切なポイントだと思います。
(対処事例)
・飼っているペットを他に預けてもらう。
・飼育期限を設ける。
・一代限り認める。
② 曖昧なペット飼育に関する管理規約規定の問題
管理規約等の規定が曖昧なケースを多くのマンションで見かけます。
例えば『他の居住者に危害・なき声・悪臭等の迷惑を及ぼす恐れのある動物の飼育禁止』と定められている場合、迷惑は人によって感じ方が違うため、飼育可否の判断そのものがつかなくなってしまいます。
これはトラブルのもとになりますので、可能な限り早期に飼育細則等で具体的な条件を明記するようにすることをお推めします。
また、例えば飼育細則の内容にルール違反者へのペナルティ(違反したら飼育をあきらめる旨の誓約書を提出してもらうなど)を定め、より厳しい内容にすることで反対派の了解を得られるように工夫してみてはいかがでしょうか。
③ 飼育を認めているマンションでのマナー違反問題
調べたところ、平成17年以降に販売されたマンションの90%以上がペットの飼育を認めているマンションだそうです。
飼育が認めらていても、飼育細則等に飼い方のルールが細かく明記されているのが一般的です。例えば、共用部分を汚さない、騒音(なき声)・臭いに気をつけるなど、他の居住者に不快な思いをさせないようにするなどのルールがあります。
そのルール違反者が発生してトラブルに発展した場合は、マンション内で飼育している方々で話し合い、マナー遵守やトラブルの仲裁をしてもらってはいかがでしょうか。
日ごろのトラブル防止の観点からも定期的に飼育者間で話し合いの場を設けることも有効だと思います。
最後に
今回、ペット飼育のトラブルについて、大きく三つの場面での対処法をご紹介しました。
国土交通省が一定期間で行っている「マンション総合調査」ではトラブルについて、『話し合いによる解決』が一般的で、平成15年の調査では約80%が住民同士の話し合いで解決されたと報告されています。
やはり、マンション生活には何かあった時に解決できる『話し合い』が大切ということですが、これを円滑に進めるには『日ごろのコミュニケーション』が何より重要なカギになります。
また場合によっては、個人と個人との折衝よりも管理会社や管理組合(理事会)が間に入って解決へ導けるよう話し合いの設定を行うなどの配慮が必要になるケースもあると思います。
※ 他のペット飼育に関したブログも是非ご参考ください。
分譲マンションでペット飼育可能にするための飼育細則づくり5つのポイント
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