分譲マンションでペット飼育可能にするための飼育細則づくり5つのポイント

松井 久弥 松井 久弥

この記事は、2016年7月28日に公開された内容を一部修正し、2018年8月8日に再投稿しています。

 

こんにちは、松井です。

今回は分譲マンションでペットを飼育可能にするための細則づくりについてご紹介します。昔はペットが飼育できるマンションの方が少なかったのですが、10年以上前から新築マンションでも「ペット飼育可」が標準になっています。今後は少子高齢化・核家族化が進むなか、ペットは「家族の一員」としてますます飼育ニーズが高まっていくと予想されています。

 

目次

  • 飼育禁止から飼育可能にするためには
  • まずは飼育細則をつくりましょう
  • 飼育細則に定めること① 飼育できる動物の種類や数を限定する
  • 飼育細則に定めること② 管理組合への届出又は登録等により飼育動物を把握する
  • 飼育細則に定めること③ 飼育方法を定める(専有部分・共用部分における注意事項)
  • 飼育細則に定めること④ 違反者に対する措置
  • 飼育細則に定めること⑤ その他諸規定
  • まとめ

 

飼育禁止から飼育可能にするためには

そもそもペットの飼育が禁止されている分譲マンションで飼育可能にすることなど出来るのでしょうか?結論から言うと、総会決議により変更することは可能です。ペット飼育が禁止されているマンションでは管理規約において飼育が禁止されていると思いますので、この規約を変更することになります。

ちなみに国土交通省が発行しているマンション標準管理規約の第18条関係コメントによると、

「犬、猫等のペットの飼育に関しては、それを認める、認めない等の規定は規約で定めるべき事項である。基本的な事項を規約で定め、手続き等の細部の規定を使用細則等に委ねることは可能である。」

と記載されています。

つまり、飼育の可否を管理規約で定めて、詳細なルールは飼育細則で定めることになります。

一方で、竣工当初からペット禁止であった場合、その環境を気に入ってマンションを購入された方もいますし、アレルギー等をお持ちの方もいます。飼育ありきではなく、ペット飼育可にすることも選択肢の一つとして、全体のバランスを見ながら反対者の意見も尊重して検討することが必要です。

 

まずは飼育細則をつくりましょう

ペット飼育細則が必要なことが分かりましたので、さっそく作成に取り掛かります。ポイントは「ペットを飼育しない方のための細則であり、飼育しない方の住環境を守るための細則」であるということです。

もともと飼育が禁止されていたマンションとして購入している所有者ばかりなので、最大限配慮して進めていかなければなりません。

では、最低限定めておくべき項目を5つに分けてご紹介します。

 

飼育細則に定めること① 飼育できる動物の種類や数を限定する

いくらペット飼育可能と言っても、その種類や数には制限を設けておかないと大変なことになります。

極端な例ですが、過去には猛毒を持った爬虫類を飼ったり犬を10匹以上飼っていたブリーダーのような方もいました。

<種類や数の例>

・飼育できる動物の頭羽数は、一の専有部分につき2頭羽を限度とする

・観賞用の小鳥、観賞用魚類及び小動物の飼育については別途定める

・犬及び猫(体長(胸骨から尾骨まで)の場合、50センチ以内、体重がおおよそ10キロ以内のもの ※介護犬、盲導犬を除く

・小動物は、うさぎ、リス、ハムスター等とする

また、飼育禁止動物を別表として定めるケースもあります(危険動物・猛獣及び猛禽類・毒を持つ動物を特定しておく)

 

飼育細則に定めること② 管理組合への届出又は登録等により飼育動物を把握する

せっかく飼育できる動物の種類や数を定めても、管理組合としてその内容を把握していなければ遵守されているかどうか判断ができません。

届出や登録のルールもしっかりと定めましょう。

<届出・登録の細則例>

・ 動物の飼育を開始しようとする住戸の区分所有者は、事前に申請書を理事長に提出し、許可を得なければならない。

・理事長は、承認又は不承認を決定した場合は、遅滞なく書面により通知しなければならない。

 

飼育細則に定めること③ 飼育方法を定める(専有部分・共用部分における注意事項)

ペットの飼育場所は専有部分(部屋内)になりますので、専有部分における飼育方法はこまかく設定します。また、住人の中にはペットが苦手な人もいますので、共用部分における注意事項も重要になります。

<飼育方法の細則例>

・ペットの飼育及び生活範囲は専有部分のみとすること。また、ペットが共用部分等に逃げ出さないよう、脱出防止に努めること。

・法令等によって定められた予防注射、登録等を確実に行い、登録を受けた標識を玄関扉付近等の見やすい箇所に明示すること。

・ペットを廊下、エレベーター、エントランス、バルコニー、ポーチ・専用庭等の共用部分等に放さないこと。

・共用部分等で餌や水を与えたり、排泄をさせたりしないこと。万一、排泄行為のあった場合は、速やかに処置すること。

・専有部分よりペットを外へ連れ出す際、共用部分等では籠等の容器に入れるか抱きかかえるものとし、ペットを共用部分等において歩行させないこと。

・道路等、敷地外においては首輪にリードを付ける等、ペットが飼育者から離れない措置をとること。また敷地外における排泄物等は必ず後片付けを行い、近隣住民、商店、その他外部者から苦情が生じないよう処置すること。

・万一に備えペット対象の損害賠償保険の加入に努めること。

・ペットの鳴き声、体毛、臭い、その他つめとぎなどの習性等で特に居住者、近隣住民に迷惑をかけないこと。特に発情期、体毛の抜ける時期、臭いの強い時期等は十分に注意すること。

・ペットは常に清潔に保つとともに、疾病の予防、害虫の発生防止等の健康管理を行うこと。

・ペットを繁殖させ販売する等、営利を目的とした飼育をしないこと。

・ペットが死亡した場合には、適切な取り扱いを行うこと。

・他の住戸や近隣住戸に迷惑がかからないように、できるだけペットを住戸内に残したまま外出しないこと。

・ペットの体毛や羽の手入れ、つめの手入れ、水槽、籠等の清掃、汚物処理等は決められた場所にて行い、共用部分では行わないこと。

・専有部分でのペットの体毛や羽の手入れ、籠等の清掃、汚物処理等を行う場合は必ず窓を閉め、体毛や羽の飛散を防止すること。また、体毛等のついた布等をはたく等の行為を行わないこと。

 

飼育細則に定めること④ 違反者に対する措置

せっかくペット飼育細則を定めても、違反者がいた場合には厳しい対応をしなければなりません。共同生活の中でルールを順守しない場合の措置についてもしっかりと定めておきます。

<違反者に対する措置の例>

・飼育者が本細則事項及び指示等に従わない場合、理事長はその動物の飼育を禁止することができる。

・動物の飼育を禁止された者は新たな飼い主を探す等、速やかに適切な措置をとらなければならない。

・飼育禁止者は再度動物を飼育してはならない。

 

飼育細則に定めること⑤ その他諸規定

上記に紹介した規定以外にもマンションの実情に応じて細かく規定を定めていきます。以下に実際のマンションで導入されている諸規定の事例をご紹介します。

<その他諸規定の例>

・動物の飼育を開始した者は、別に当マンション管理組合が発行した標識を玄関に貼付し、動物を飼育していることを明示しなければならない。

・飼育者は年1回定期的に最新の飼育動物の写真を理事長に提出しなければならない。

・飼育者は動物に獣医師による健康診断を年1回以上受けさせなければならない。

・飼育動物が犬の場合、飼育者は毎年「狂犬病予防法」(昭和25年法律第247号)第4条で定められた登録及び第5条で定められた予防注射を行わなければならない。

・動物の飼育者は1頭(匹)あたり月額○○○円の飼育負担金を管理組合に納入しなければならない。

 

まとめ

核家族化や一人暮らしの高齢者が増えていく日本において、ペットは大切な家族の一員となっています。分譲マンションでペット飼育を認める場合には、十分に協議の時間を設け、ペットを飼育しない方の住環境をしっかりと守ることを第一に考えて、全区分所有者の問題として検討していくことが必要となります。

 

参考記事 マンショントラブル|ペット問題の対策事例

 

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松井 久弥

松井 久弥

あなぶきハウジングサービス:松井 久弥(まつい ひさや)
2000年あなぶきハウジングサービス入社。
全国10都道府県において、管理担当・リプレイス営業・新規拠点立上げ・部門責任者に従事。特にマンション管理会社のM&Aにおいては、案件化からデューデリ・譲渡契約・お客様対応全般・統合後プロセス(PMI)までを実践。
マンション管理士、M&Aシニアエキスパート。
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