最新版!これで丸分かり地震保険【応用編②】

柿沼孝明 柿沼孝明

こんにちは。
あなぶきインシュアランスの柿沼です。

前回は地震保険の応用編①として、地震保険でよく皆さんが見落としがちな点について解説していきました。
今回は地震保険の応用編②として、マンションにおける地震保険を中心に深堀していきます。

<前回までの記事>
最新版!これで丸分かり地震保険【入門編】
最新版!これで丸分かり地震保険【応用編①】

1.地震保険の付帯率について

まず初めに地震保険全体での話になりますが、実際にどの位の方が加入されているか気になりますよね。
損害保険料率算出機構が様々な統計データを公表していますが、その中の「地震保険付帯率」についてご紹介します。

≪地震保険付帯率とは≫
「当該年度に契約された火災保険(住宅物件)契約件数のうち、地震保険を付帯している件数の割合」と定義

2020年度 都道府県別の地震保険付保率

都道府県 付保率(%) 都道府県 付保率(%) 都道府県 付保率(%)
北海道 60.6 石 川 62.5 岡 山 66.6
青 森 68.6 福 井 68.6 広 島 74.4
岩 手 73.7 山 梨 74.2 山 口 68.1
宮 城 87.5 長 野 66.4 徳 島 75.8
秋 田 74.4 岐 阜 79.3 香 川 75.4
山 形 67.9 静 岡 68.1 愛 媛 74.2
福 島 76.7 愛 知 76.6 高 知 87.2
茨 城 66.0 三 重 72.7 福 岡 75.3
栃 木 71.4 滋 賀 67.6 佐 賀 60.9
群 馬 63.9 京 都 64.8 長 崎 53.6
埼 玉 64.9 大 阪 68.5 熊 本 84.5
千 葉 63.9 兵 庫 66.9 大 分 73.1
東 京 61.7 奈 良 72.0 宮 崎 83.7
神奈川 63.1 和歌山 68.9 鹿児島 83.2
新 潟 71.0 鳥 取 76.7 沖 縄 58.4
富 山 61.8 島 根 66.1 合 計 68.3

(注1)本表は居住用建物および生活用動産を対象として損害保険会社が取扱っている「地震保険」のみの数値であり、各種共済については含まない。

引用:損害保険料率算出機構 グラフで見る!地震保険統計速報

2020年度の地震保険付帯率は、全国平均で68.3%でした。
2001年度の地震保険付帯率が、全国平均で33.5%となっており、約20年で2倍となっております。

約20年前と比較すると、地震保険の内容や重要性が認知されてきており、付帯率の増加に繋がっていると推察されます。前項でご紹介した、将来大きな地震が発生する確率の高い地域(太平洋側)や、ここ約10年で大きな地震が発生した地域(宮城県:87.5%、熊本県:84.5% など)では、全国平均より高い付帯率になっており、より地震の備えへの意識が高いことが伺えます。

因みに、弊社東日本エリアの2020年度マンション保険(共用部火災保険)地震保険付帯率は約56%と全国平均より少し低い付帯率でしたが、宮城県では100%の付帯率となっており、地域別での違いが顕著な結果となっておりました。

 

2.マンション共用部における地震保険について①

一般的なマンションは鉄筋コンクリートで建てられているため、木造住宅より頑丈なイメージがあり、地震保険料も決して安くはないため、管理費会計の圧迫を防ぐためマンション共用部の地震保険をあえて外している管理組合も多いのではないでしょうか。

しかしながら、東日本大震災においては、震災当時地震保険に加入していた仙台圏所在のマンションのうち92.3%地震保険金を受け取り、工事費用の資金調達方法の調査でも、修繕積立金と地震保険金が多数を占め、地震保険のみで復旧工事を行ったマンションも25%ありました。

出典:マンション管理支援ネットワークせんだい・みやぎ実施の
「分譲マンションの復旧状況に関するアンケート調査(2012年10月)」

 

また、建築年が古いマンションだけでなく、建築後10年以内のマンションでも9割近くが地震保険金を受け取り、復旧費用等に充てられています。
堅牢なマンションであっても、地盤の影響等により傾斜や沈下をしたり、柱・はり・壁にひび割れやはがれ落ち等の損害が生じるケースが多くあります。建物が倒壊しなくても、これらの損害により一部損以上の損害認定がされた場合、地震保険金を受け取ることができます。

引用:三井住友海上 GKすまいの保険(マンション管理組合用)

倒壊の危険性は木造住宅より低いですが、「マンションだから安心!」という訳ではないですね。

地震により建物が被害を受け、マンション共用部の地震保険に加入していない場合、被害や資金状況によっては「借入」または「一時金」からの支出で被害箇所の復旧をする必要があります。
また、復旧箇所が広範囲にわたる場合、費用も高額になることが予想され、合意形成にも時間がかかります。
実際、東日本大震災で被害を受けたマンションの中には、修理費負担に関する区分所有者間の合意形成ができず、長期間修復できないマンションがあったそうです。

地震保険に加入していれば、地震保険の保険金の用途は自由ですので、管理組合・区分所有者の負担を軽減してくれます。地震保険の有無で、合意形成のスピードに違いがでるのではないでしょうか。

 

3.マンション共用部における地震保険について②

マンション共用部の地震保険に加入するメリットは、共用部分だけでなく専有部分にもあります。

マンション共用部の地震保険に加入している管理組合が「一部損以上」の損害認定がされ、区分所有者が専有部の建物地震保険に加入している場合、専有部(建物部分)に被害がなくても同様の損害認定が適用されます。
これを「1棟認定」と言いいます。

≪「1棟認定」の具体例≫

<ケース1>
1棟の建物全体が全損と認定された場合→「共用部分」「専有部分」いずれも全損とみなす。

<ケース2>
1棟の建物全体が半損と認定された場合→「共用部分」「専有部分」いずれも半損とみなす。
ただし「専有部分」については、次のケース4により全損となることもあります。

<ケース3>
1棟の建物全体が一部損と認定された場合→「共用部分」「専有部分」いずれも一部損とみなす。
ただし、「専有部分」については、次のケース4により全損となることもあります。

<ケース4>
1棟の建物が全損・半損・一部損に至らない場合→「専有部分」が損害を被り、その損害が1棟全体の被害の程度より大きい場合は、「専有部分」につき個別に全損、大半損、小半損、一部損の認定を行う。

 

マンション共用部の地震保険の損害認定結果は、各保険会社で共有することになっており、共用部分と専有部分で保険会社が違っても、専有部分には共用部分の損害認定がそのまま適用できる仕組みとなっています。

実際に過去の大きな地震では、弊社のお客様の中にも専有部(建物)に被害はなかったものの、マンション共用部が損害認定を受けていたため、地震保険金を受理できたケースがありました。

所有されているマンションで共用部と専有部の地震保険に加入していれば、地震で専有部に大きな被害がなくても、

「あの時少し高くて悩んだけど…加入していておいて本当に良かった!!( ;∀;)」

と思えるかもしれませんね。

なお、応用編①で解説したように、地震保険には「建物」「家財」があり、今回の「1棟認定」はあくまで専有部の「建物」地震保険についての内容ですので、「家財」地震保険の内容については各契約者で保険会社へ申請する必要があります。

 

4.まとめ

いかがでしたでしょうか。

入門編で少し触れたように、地震保険は政府と民間が共同で運営しております。政府が普及を推進しており、東日本大震災時においてマンション共用部の地震保険に加入していたことが迅速な復旧等に寄与した事例が報告されていることなど、その重要性に鑑み、国土交通省は2016年3月14日改正の「マンション標準管理規約」の損害保険の例示に「地震保険・地震保険料」を追加しております。

地震保険料との兼ね合いもあるかと思いますが、地震保険は中途付帯も可能ですので、現在加入していない管理組合や区分所有者の皆様は、今回の内容を参考に検討してみてはいかがでしょうか。

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

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柿沼孝明

柿沼孝明

あなぶきインシュアランス 柿沼 孝明(かきぬま たかあき)

2015年あなぶきハウジングサービスに新卒入社。マンション管理組合の運営サポート業務を経験後、あなぶきインシュアランスへ出向。フロント担当者の経験を生かした、東日本エリア(関東・東北・札幌)の管理組合様への火災保険の更新提案や、個人・法人への様々な損害保険提案業務を行っています。

保有資格:管理業務主任者
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