消費税増税前に分譲マンション居住者が確認するべきこと

飯沼莉香

あなぶきハウジングサービスの飯沼です。

2014年(平成26年)4月1日に消費税が5%から8%に増税となり、今後2019年(平成31年)10月1日には、10%へ増税される予定となっております。
「消費税が2%上がっても影響を受けるのは各世帯のお財布だけで管理組合の会計にそこまで影響しないでしょ?」と思っていませんか?
今回は、消費税が増税された際に、“分譲マンションにお住まいの皆様が何に注目して確認しておけばよいか”例をあげながらご紹介させていただきたいと思います。

目次

  • 一般会計の支出見直しについて
  • 特別会計(修繕積立金)からの支出項目見直しについて
  • まとめ

 

 

一般会計の支出見直しについて

まずは「一般会計(管理費会計)の収支」を見ていきたいと思いますが、皆様がお住まいのマンションの“管理組合の一年間の支出がどのくらいあるか”ご存知ですか?
一般会計の主な支出項目は、

・管理会社に支払っている管理委託料
・マンションの共用部分に掛かっている保険料
・マンション共用部分の電気代
・マンション共用部分の水道料
・備品消耗品費
・修繕費等

です。
各項目の支出額はさほど大きくないように思うかもしれませんが、全て合計すると、結構高額な支出となります。
それでは、あるマンション管理組合様の事例をご紹介させていただきます。

●Aマンション管理組合:総戸数…150戸以上、築10年未満
(一年間の収入合計)39,001,307
(一年間の支出合計)35,740,335円(税抜にすると33,092,902円)
( 一年間の余剰金 ) 3,260,972

Aマンション管理組合様のある一年間の支出合計は35,740,335円でした。この数字は現在の消費税額8%の場合の支出額です。
これが消費税10%に増税となった場合、36,402,193円となり、8%の場合と比較すると661,858円も支出が増えます!
また、消費税5%だった2014年と比較すると1,654,646円も支出が増額となっています。
Aマンション管理組合様の場合、一年間の余剰金が300万円以上ございますので、消費税増税後すぐに一般会計がひっ迫することはないと推測されますが、毎年の余剰金が100万円未満の管理組合様は要注意です。
また、マンション購入当初に設定されている管理費の金額はあくまで販売当時の経済情勢をもとに算出されておりますので、修繕積立金だけではなく、管理費も支出項目や値上げ等について早めに見直しを行うことが重要となります。

特別会計(修繕積立金)からの支出項目見直しについて

続いて、「特別会計(修繕積立金会計)」からの支出項目について、確認してみましょう。
特別会計といえば、“マンションの大規模修繕工事”や“エレベーターのリニューアル工事”など計画的または突発的な修繕工事等の費用を支出する会計となります。
特に12年から15年毎に実施される大規模修繕工事は高額な支出となり、修繕積立金が不足していると借り入れや一時金の徴収などを行わなければ、修繕工事が出来ないマンション管理組合様もございます。
それでは、あるマンション管理組合様の事例をご紹介させていただきます。

●Bマンション管理組合:総戸数…70戸未満、築10年以上(毎年5月下旬に総会を開催)
[長期修繕計画上の計画修繕項目]
(2019年)大規模修繕工事・・・概算金額7,000万円(税抜)

Bマンション管理組合様の長期修繕計画では2019年に大規模修繕工事の実施が予定されておりますが、Bマンション管理組合様の通常総会開催月は5月下旬であるため、今後以下のようなスケジュールとなることが想定されます。

2019年 5月下旬⇒通常総会時に大規模修繕工事の実施について最終承認される。
2019年 6月初旬⇒通常総会時に承認された施工業者と契約を行う。
2019年 9月初旬⇒大規模修繕工事に着工する。
2019年12月下旬⇒大規模修繕工事が完工する。

ここに記載している通り、2019年5月下旬の通常総会時に大規模修繕工事の実施について最終承認がなされた場合、工事の完工までに消費税の増税予定日である2019年10月を超えてしまい、業者様との交渉にも寄りますが、最悪の場合、消費税の増税分(2%)として140万円も多く支払わなければならなくなります。

まとめ

大規模修繕工事はマンション維持のために必要な工事ですが、消費税分として余分に140万円支払うのとマンション維持保全やバリューアップ工事のために140万円支払うのとでは、全く価値が変わってくると思いませんか?
大規模修繕工事だけではなく、「エレベーターのリニューアル工事」や「インターホンの取替え工事」など長期修繕計画上で2019年前後に実施が予定されている修繕項目があれば、ぜひ、実施時期を消費税増税前にする案も管理組合役員様に提案されてみてはいかがでしょうか?

 

 

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飯沼莉香

あなぶきハウジングサービス 分譲管理事業部 飯沼 莉香(いいぬま りか)
2008年に新卒であなぶきハウジングサービスに入社。
入社当時は広島県福山市でマンション分譲管理業務を3年、現在は高松で勤務しています。
分譲管理事業部では分譲マンションにお住まいの皆様の資産管理や修繕工事をはじめとした提案業務から日常的なお困り事まで様々なご相談事項について、プロとしてお客様起点でアドバイスをさせて頂いております。
マンション管理のお仕事に携わって8年目になりますが、日々是前進の精神で頑張っております。
これまでに培ってきた経験を生かして、マンションにお住まいの皆様にお役に立てる情報を公開していきたいと思いますので、宜しくお願い致します。
取得資格:管理業務主任者・マンション管理士・宅地建物取引士
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