管理組合役員必見!マンションの専有部分と共用部分の4つの負担区分

北林真一 北林真一

マンション住まいを始めますと、共用部分とか、専有部分という言葉がよく出てきます。私が先輩から教えられたことで印象に残ったことがあります。つまり、「自分の部屋から一歩出ると、外はすべて共用部分だよ」と。単純明快ですね。しかし、実務では難しい判断を迫られる場合があります。

アイキ

理事長さん、私の部屋の網戸が経年劣化で破れたので、修理しました。標準管理規約では、網戸は共用部分ですよね。管理組合で修理代を負担してください。後で請求書を郵便ポストに入れておきますので支払いをお願いします。・・・強い口調で、こう言われたらどうしますか?

本題に入る前に、「建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)と「マンション標準管理規約(以下、「標準管理規約」という。」を読むと、理解が深まります。

 

■区分所有法 第2条(定義)

3.この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。
4.この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属し  ない建物の附属物及び第4条第2項の規定により共用部分とされた建物の附属物をいう。

 

標準管理規約 第7条(専有部分の範囲)

1.対象物件のうち区分所有権の対象となる専有部分は、住戸番号を付した住戸とする。
2.前項の専有部分を他から区分する構造物の帰属については、次のとおりとする。一 天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。二 玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。三 窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。
3.第1項又は前項の専有部分の専用に供される設備のうち共用部分内にある部分以外のものは、専有部分とする。

 

目次

  • 1.専有部分・共用部分とは何か?
  • 2.専有部分と共用部分の区分とは?
  • 3.専用使用部分とは何か?
  • 4.窓ガラスが割れた場合の費用は、誰が負担するの?
  • 5.専有部分内ならば自由に修繕・リフォームできるのか?
  • 6.専有・共用部分の所有・使用・管理・費用に関する負担区分とは?

1.専有部分・共用部分とは何か?

「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいいます。(区分所有法第2条3項)したがって、部屋の中の部分を指すことになります。

 

「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分(廊下、階段など)、専有部分に属しない建物の附属物(配線配管、給排水設備等)及び共用部分とされた附属の建物を指します。(区分所有法第4条2項)

 

共用部分は、区分所有者全員の共有に属し、原則として総会の決議なしに変更はできません。(区分所有法第11条、第17条第1項、第18条)

 

2.専有部分と共用部分の区分とは?

「共用部分」は、専有部分以外の部分を指しますが、その具体的な区分については、各マンションの管理規約に規定されています。(区分所有法第2条第4項、標準管理規約第7条、第8条、別表第2)

 

3.専有使用部分とは何か?

専用使用権の対象となっている敷地及び共用部分等の部分を指します。つまり、敷地及び共用部分等の一部の内、特定の区分所有者が排他的に使用できる部分となります。例として、バルコニー、玄関扉、窓ガラス、専用庭などがあり、具体的には、各マンションの管理規約に規定されています。(標準管理規約第14条)

 

4.窓ガラスが割れた場合の費用は、誰が負担するの?

窓ガラスは、一般的には共用部分です。共用部分の管理については、原則、管理組合がその責任と負担において行います。しかし、バルコニー等専用使用部分のうち、通常の使用に伴う管理については、専用使用権を有する者(=各区分所有者)がこれを行なうものとされています。

 

窓ガラスが割れた場合の入れ替えなどは、この「通常の使用に伴う」ものとなり、費用は管理組合ではなく、各区分所有者が負担すべきものとなります。

(標準管理規約第21条、標準管理規約第21条コメント)

 

5.専有部分内ならば自由に修繕・リフォームできるの?

専有部分の修繕・リフォームについて、各マンションの管理規約・使用細則でルールを定めることができます。この場合には、それらの定めに従い修繕・リフォームを実施すべきこととなります。(標準管理規約第17条)

 

6.専有・共用部分の所有・使用・管理・費用に関する負担区分とは?

専有部分と共用部分を理解するには、「所有上の区分」「使用上の区分」「管理上の区分」「費用負担上の区分概念区分で判断すると判りやすいです。ただし、この4つの区分でも、「専有部分」と「共用部分」の範囲は微妙にずれており、判りにくいものもあり、例外もあります。

 

「専有部分」と「共用部分」の範囲の微妙なズレを理解するには、以下の基準で判断するか、管理組合の判断となります。

  • マンション全体の美観上の統一により、資産価値を維持する必要がある場合
  • 消防上、防災上および防犯上管理組合による規制がある場合
  • マンション全体の大規模修繕工事など管理組合が窓口となって実施する場合

 

それでは、具体的に「専有部分」「共用部分」について、4つの概念区分にしたがって、考えてみましょう。

 

(1)専有部分についての概念区分

区分 専有部分(明確な専有部分)
所有上 区分所有
使用上 専用使用
管理上 各戸が管理する
費用上 各戸が費用負担する
対象部分 (例)・住戸内の内装・メーター以降の配管・メーター以降の配線・共用管までの排水管・共用ダクトまでのダクト・住宅用火災警報器・住戸内消火器・玄関扉の錠・玄関扉(内側)塗装

 

(2)共用部分について概念区分(その1)

区分 共用部分(極めて不明確)
所有上 共有
使用上 専用使用
管理上 各戸が管理する
費用上 各戸が費用負担する(組合の規制がある場合、組合負担)
対象部分 (例:建物の附属設備)・窓枠・窓ガラス・玄関扉(表側)・網戸・サッシ・ネームプレート(例:建物の附属施設)・店舗用看板・専用庭

 

(3)共用部分についての概念区分(その2)

区分 共用部分(不明確な部分)
所有上 共有
使用上 専用使用
管理上 管理組合が管理する
費用上 各戸が費用負担する(組合の規制がある場合、組合負担)
対象部分 (例:建物の附属設備)・住戸内自動火災警報設備・住戸内発信機・玄関ドアチェック・単独型インターホン・共用連動型インターホン

 

(4)共用部分についての概念区分(その3)

区分 共用部分(混同されやすい部分)
所有上 共有
使用上 専用使用
管理上 管理組合が管理する
費用上 管理組合が費用負担する
対象部分 (例:建物の部分)・バルコニー・ルーフバルコニー・室外機置場・メーターボックス・花台(例:建物の附属設備)・住戸内防火戸・目隠しパネル・乗越え防止柵

 

(5)共用部分についての概念区分(その4)

区分 共用部分(明確な部分)
所有上 共有
使用上 共用
管理上 管理組合が管理する
費用上 管理組合が費用負担する
対象部分 (例:建物の部分)・建物構造部分・基礎、外壁、床スラブ・屋根、柱、梁など・エレベーターシャフト・封除室・エントランスホール・車路、避難経路・管理員室、集会室・屋内ゴミ置場・屋内自転車置場・屋内バイク置場・屋内共用駐車場・電気幹線PS・東電借室、受水槽室・ポンプ室、消火水槽 (例:建物の附属設備)・引込開閉器盤・電気設備・照明設備・給排水衛生設備とその配線、配管・換気設備・ガス設備・TV共同視聴設備・電話設備配管・屋内消火栓設備・自動火災報知機・連結送水管設備・誘導灯、非常照明・移動粉末消火設備・エレベーター設備・オートロック設備(例:建物の附属施設)・フェンス、植栽、花壇・散水栓設備・変圧器、東電引込電柱・屋外駐車場・駐輪場・宅配ボックス・防犯カメラ

 

最後に、例示の費用負担について、区分チェックしてみましょう。

共用部分の不具合例 費用負担区分
①   宅配ボックスの開閉が不能になった 組合負担
②   共用部連動型インターホンが鳴らない 組合負担
③   網戸が破れた(管理責任) 個人負担
④   窓ガラスを割った(管理責任) 個人負担
⑤   サッシ、網戸の開閉不良 個人負担
⑥   集合郵便受けが壊れた(自己破損の場合) 個人負担
⑦   集合郵便受けのダイヤル錠が壊れた 個人負担
⑧   店舗用看板が壊れた(ただし、規約による) 個人負担
⑨   電飾灯が切れた(維持管理) 個人負担
⑩   玄関ドアの鍵差し込み不良、鍵の中折れ 個人負担
⑪   専用庭の植木を枯らした、繁茂させすぎた 個人負担

※対象部分の表示は、例示的なものであり、制約されるものではありません。

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北林真一

北林真一

あなぶきセザールサポート 北林 真一(きたばやし しんいち)
大学卒業後、一貫して不動産業界に従事してきました。
皆さまの大事なお住まい(マンション)のことは私にお任せください。
【得意分野】・合意形成の進め方 ・大規模修繕工事
【モットー】謙虚であれ、誠実であれ
【特技】日本酒と音楽(邦楽除く)は少しだけ詳しいです。
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