義務化となった相続登記って?住所変更登記も合わせて解説!

大墨康平

こんにちは。あなぶきハウジングサービスの大墨です。

今回は今話題の相続登記の義務化、合わせて今後施行される住所変更登記の義務化についてお話していきます。私の営業所では司法書士先生と密に連携を取れる体制が整っていますので、先生からご指導いただいた内容も合わせて皆様に共有させていただきます。
本題に入る前には、不動産登記って改めてどんなものなのか、不動産登記の記載内容が変わるタイミングや意味などを説明させていただきたいと思います。

不動産登記とは?

不動産登記は,わたしたちの大切な財産である土地や建物の所在・面積のほか,所有者の住所・氏名などを公の帳簿(登記簿)に記載し,これを一般公開することにより,権利関係などの状況が誰にでもわかるようにし,取引の安全と円滑をはかる役割をはたしています。    出典:法務省

 

 

不動産所有者の変更

不動産の所有者が変わるタイミングがいくつか存在します。例えば、売買交換贈与、そして相続などいろいろありますが、その都度上記不動産登記の所有者欄を変更する必要があります。Aさんが所有していたお家をBさんに売却し、Bさんの所有物になったという移り変わりが登記され(このことを所有権移転登記と言います。)、登記を見れば、過去どの人が持っていて、いつどのような原因(売買・交換等)で所有権が移転したかという事が分かるようになっているのです。この所有権移転登記は基本的に原因発生時に行われるものという認識ですが、これは第三者に対して「この不動産は私(Bさん)のものです!」とBさん自身が主張するためには、その不動産登記所有者欄にBさんの名前がないとできない、という法律になっているため、所有権移転登記が行われます。一種の証明書の役割を果たしてくれるのです。

余談にはなりますが、この移転登記の手続きは誰でもできるものですが、これを業務として行うのが司法書士先生です。

 

相続登記

さて、本題に入っていきましょう。
相続の発生により、被相続人(お亡くなりになった不動産所有者)から相続人へ所有権が移転します。この原因(相続)を基に所有権移転登記を行うことを相続登記と言います。そして、これまでこの相続登記をするかしないかは任意で行われていました。
このような法整備、さらには社会情勢等その他要因と相まって所有者不明の土地・建物が大量に発生してしまいました。所有者不明の空地・空き家は、周辺の住宅等環境に迷惑をかける要因の一つ(雑草等の手入れがなく虫などが大量発生する・犯罪者等の住処になってしまうなど)で、これを早急に解決したいとき、また公共事業で大規模な開発を行うときなどの場面で、問い合わせ先が分からず、物事が全く進まないという事態を発生させています。
このような事態の解決のため、令和3年に不動産登記法という法律の改正で、相続登記義務化が決定し、その義務化の開始日が令和6年4月1日となりました。
それでは改めて相続登記義務化について重要部分を簡単にまとめます。

【相続登記義務化】
・施行日:令和6年4月1日
・改正趣旨:所有者不明土地・建物の発生を防ぐため
・自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、所有権を取得したことを知った日から三年以内に所有権の移転の登記を申請する必要が有り。
・罰金(過料):10万円以内(対象の不動産1つに対して)

※「過料」と「科料」は、前者は前科がつかず(行政上の秩序罰)、後者は前科がつく(刑事罰)という違いがあります。あくまでご参考までに。

法律には例外がつきものですので、さまざまな事例全てを対象にお話をすることは不可能ですが、施行日以前に「相続の発生及び所有権の取得」を知り得た方に関しては施行日から3年以内、施行日以降に相続が発生した方は、「相続の発生及び所有権の取得」を知った日から3年以内に相続登記手続きを始めないと罰金(過料)になる可能性がありますので、ご注意くださいということです。しかし、3年を経過したからすぐに罰金ということになるわけでもなく、「相続登記してくださいね」という催告が来て、それでもわざと対応を怠った場合にのみ罰金となります。この催告の間も、どうしても登記ができない理由(この理由の定義は未だ明確化していません。)があれば即刻罰金とはならず、国としてもあくまで今回の義務化は、「厳罰化」が目的ではなく、「相続登記の促進」を主の目的としていることが伺えます。

 

 

住所変更登記

住所変更登記とは、登記の所有権者欄に記載の所有者住所が現在お住まいの住所と異なっている際、整合性を保つため現住所へ登記し直す時などに行なわれます。
例えば、
Aさんがとある「●●マンション102号」購入時に「〇〇賃貸マンション101号」から移住することとなっており、そのまま所有権移転登記を行うと、
「△△市□□町1丁目1番地 ○○賃貸マンション101号にお住いのAさん」が購入したことが登記されます。
それではAさんが実際には●●マンションに住んでいることについて不明な状態が続くこととなり、住所部分を「△△市□□町4丁目4番地 ●●マンション102号」へ変更していただいた方が正確な情報を必要とする登記においては助かります。
実はこの住所変更登記に関しても令和8年4月28日頃までには義務化が施行されることが決まっています。こちらは2年以内の期間猶予、罰金5万円以内の予定です。

こちらの住所変更登記は、所有者不明土地・建物の解消策の一環として開始されるものとなります。さらには、相続人を過去から辿り、現在の相続人が判明したとしても、その相続人が前の住所のままの登記であれは、今どこに住んでいるのか分からず、結局そのまま不動産が放置される、という事態を防ぐことができ、相続登記義務化の促進にもつながることとなります。

 

まとめ

さて今回2つの所有権移転登記の義務化に関してお話いたしましたが、なんとなくでもお分かりいただけましたでしょうか?普段触れることの少ない分野かと思いますので、そういうものがあるのだという認識を少しでも持っていただき、いざというときに「そういえばこんな法律があったな!」とひらめくきっかけになると幸いです。相続登記義務化に関して対象になる方は多くいらっしゃるかと思いますが、住所変更登記義務化に関しては、さらに多くの方が対象になると思われますので、よりアンテナを高く張っておく必要があります。
何度も言いますが、この度の法改正は、厳罰化が目的ではなく、「相続登記・住所変更登記の促進」が目的であり、大きな問題である空き家・空地問題、さらには所有者の所在地不明問題を解決し、より一層不動産取引が安全に、迅速に、活発になるよう定められたものだと私は考えています。
このような情報を聞いて不安等が出てきた際には、法務局や司法書士、お知り合いの不動産業者にお気軽にご相談ください。

The following two tabs change content below.

大墨康平

あなぶきハウジングサービス 西日本不動産事業部 関西営業所
大墨 康平(おおすみ こうへい)

兵庫県出身 2021年新卒入社
西日本不動産事業部で、兵庫県の姫路市を中心に中古物件の売買仲介に携わっております。
不動産業界で働き、たくさんの方と関わってきた中で学んだ、又は経験した出来事から、皆様のお役に立てるような情報を発信できるよう、頑張って参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。


保有資格:宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
  • twitter
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

ブログの読者になる

ブログの読者になると新着記事の通知を
メールで受け取ることができます。
読者登録はコチラ

最近書いた記事

関連の記事

  • facebook
  • feedly
  • rss
backtotop