どうしよう!! マンション管理組合の役員になっちゃった!(材料編 シーリング材)

中山竜

株式会社ツツミワークス神奈川支店の中山竜(なかやまりょう)です。

過去3回に渡りアフター点検について、ご説明させて頂きました。

 

【アフター点検PART3】についてはこちらをクリック♪

 

また、前配信者が2021年8月から2022年7月までの1年間にわたり配信を行った『大規模修繕工事準備編から実施編まで』をストーリー仕立てで充実した内容が盛り込まれていますのでまだお読み出ない読者様はぜひ、第一回目のブログ【一体なにからはじめればいいの?】から読んで頂ければと思います。

 

【 一体なにからはじめればいいの? 】はこちらをクリック♪

 

今回から大規模修繕工事において、各工事で使用している材料についてご説明させて頂きます。

 

まず、はじめに

 

マンションの大規模修繕工事において、メインのメニューになってくる工事があります。

 

共通仮設工事・・・仮設事務所の設置、仮設トイレの設置、工事掲示板などを設置する工事

 

直接仮設工事・・・建物外壁を修繕する為の足場組立、解体の工事

 

下地補修工事・・・建物の下地・タイル不具合箇所(ひび割れ、欠け等)の補修工事

 

シーリング工事・・・外部に面している窓の廻りや建物の打継部分などあるゴム状の部材を打ち替える工事

 

外壁塗装工事・・・建物全体を塗り替える工事

 

鉄部塗装工事・・・建物の鉄部(各種扉、鉄製の手摺など)を塗り替える工事

 

防水工事・・・屋上、バルコニー床、廊下床のウレタン防水層の塗り替えや長尺シート張替えを行う工事

 

今回は、上記工事のシーリング工事で使用されている材料を説明させて頂きます。

 

 

シーリング

 

シーリングとは、外部の窓や各種扉の建具廻りにあるゴム状の部材のことであり、建物の打継部分(1階と2階の間)や塗装壁やタイル壁の間にもあります。

 

建具廻り シーリング

塗装面 シーリング

タイル目地(誘発目地) シーリング

 

建具と外壁の間等にシーリングを施工することにより、気密性を高め、防水性も高めます。また、地震や強風などで建物が揺れた際、その揺れに合わせてシーリングが伸縮し、緩衝材として建物の劣化を防ぐ役割もあります。

 

そのような機能のあるシーリング材ですが、寿命としては、5年から10年が目安となっていて、年月とともに劣化していきます。劣化したシーリング材は、固くなります。固くなると建具と外壁の間に隙間ができ、防水性がなくなっていきます。また、固くなりますので、先にご説明しました、緩衝材としての機能もなくなっていきます。そのため、定期的な打ち替えるという工事が必要となってきます。

シーリング材の分類

シーリング材を大きく分類した場合1成分形シーリング材2成分形シーリング材と分けることができます。

 

1成分形シーリング材

 

1成分形シーリング材は、カートリッジ式であり、専用のガンに装着してそのまま使用することができます。硬化方法としましては、空気中の湿気(水分)に反応して、硬化していきます。また、シーリング材に含まれている溶剤等が、蒸発(乾燥)することにより硬化していきます。

 

2成分形シーリング材

 

2成分形シーリング材は、基材と硬化剤と言われる、2種類の材料を混ぜ合わせて専用のガンで使用します。2種類の材料を混ざり合い、化学反応によって硬化します。

 

2成分形シーリング材は、2種類の材料を混ぜ合わせることにより硬化しますので、配合を間違えてしまった、また、混ぜ合わせ不足が起こることにより、硬化にムラが生じますので、きちんとした材料管理が必要となります。その点では、1成分形シーリング材の方が使い勝手が良いと思われますが、しっかりとした配合、及び、混ぜ合わせをした2成分形シーリング材の方が、耐久性や耐候性などの機能が高い為、使用用途に合わせて、1成分形のシーリング材、2成分形のシーリング材を選定していきます。

 

また、シーリング材の種類は豊富で、シーリング材の選定は、打ち替える箇所(シーリング材の上に塗装を施すのか、または、シーリング材を仕上げて露出させるのか)によって変わってきます。

 

シーリング材の種類

 

大規模修繕工事でよく使用するシーリング材としまして、【ウレタン系】【変性シリコン系】【ポリサルファイド系】となります。

 

打ち替えたシーリング材に塗装を施す場合は、【ウレタン系】、シーリング材を仕上げて露出させる場合には、【変性シリコン系】【ポリサルファイド系】を使用します。

 

各材料の性質は下記の通りとなります。

 

【ウレタン系】

特徴としては、弾力性があり、耐久性が高い。密着性も高く万能なシーリング材となります。欠点としては、耐候性が低く、紫外線に弱い為、塗装を施すことが必要となってきます。

使用する箇所としましては、塗装の壁面目地、天井目地、床目地(ウレタン塗膜防水など仕上げする箇所)などになります。

 

【変性シリコン】

特徴としては、耐候性、耐久性が優れていて、また、建物の動きに対する追従性が高い材料となります。欠点としては、シーリング材としての厚みが確保できない状態(平べったく薄く施工する)であると硬化しなくなります。この現象を薄層未硬化(はくそうみこうか)と言います。

材料の種類によっては、塗装を施すこともできますが、そのまま露出していても、耐久性に優れている為、塗装を施す必要はありません。

使用する箇所としましては、タイル目地、サッシ廻りの目地(露出される個所)、屋上に設置されているアルミ笠木(金物)の接合部などになります。

 

【ポリサルファイド系】

特徴としては、さまざまな相手との接着性が良い。また、仕上げた後のシーリング材にほこりなどが付着しにくくなっています。また、耐久性が高いです。欠点としては、柔軟性があまり無く振動の大きい箇所での使用は適さない材料となります。また、塗装材との相性が悪く変色してしまう為、塗装を施すことはできません。

使用する箇所としましては、タイル目地などになります。

 

 

施工手順

 

  • 除去

古いシーリング材を撤去(取り除く)します。

  • 掃除

古いシーリング材を撤去したら、新しいシーリング材を打ち込み前に、撤去した場所を掃除します。

  • 養生

タイルや塗装面に余分なシーリング材等が付着しないよう、目地の脇にマスキングテープで養生します。

  • プライマーを塗る

シーリング材を打ち込む場所に、接着材を塗ります。

  • シーリング材の打設

新しいシーリング材を打ち込みます。

  • ヘラ押え

打ち込んだシーリング材をヘラでならします。

  • 養生撤去

シーリング材が完全に乾く前にマスキングテープをはがします。

 

まとめ

今回は、シーリング材についてご説明させて頂きました。

なかなか読者の皆様にはなじみのない言葉のシーリング材ですが、建物の劣化を防ぐ役割としてはかなり重要な役割があります。シーリング材の役割は、雨などの外部からの水を防ぐ防水性強風や地震などの振動から建物を守る緩衝材としての役割があります。シーリング材の劣化をそのまま放置していきますと、漏水の原因や、外壁の下地に影響を与えていきますので、大規模修繕工事では、工事のメニューとして除外することなく、打ち替えすることをお勧めします。

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中山竜

株式会社ツツミワークス 神奈川支店
中山 竜(なかやま りょう)

高知県出身。七夕生まれ。
2011年入社。
施工管理12年。マンション改修一筋で努めてきました。
【去年の自分よりも成長する】をモットーに日々学ぶことを大事にしています。
皆様のお役に立てる情報を発信できるよう頑張ります!!

保有資格:1級建築施工管理技士
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