管理会社変更に際しての選考基準、情報収集方法のご提案

工藤剛

こんにちは。ホームライフ管理㈱の工藤です。

 

管理会社変更を検討する際、管理会社各社を比較し、評価する作業はとても大変かと思います。

一般的には、取り掛かりとして、まずはインターネットの比較サイトや口コミを確認したり、管理受託戸数のランキングを参考にしたり、各社のホームページを閲覧したりするかと思います。

それから候補のいくつかの管理会社に見積作成依頼し、そして理事会に来てもらって、プレゼンをしてもらったものの、各社のアピールポイントも似通っていて、理事会で1社に絞る作業が難航することはよくあることです。理事同士で話し合ったものの、管理会社のどの項目を比較し、どこが重要で、何を基準に判断したらいいのか分からなくなってしまったという方もいらっしゃいます。

 

今回は、管理会社変更を検討する方に向けて、管理会社の比較検討の際の参考となる情報を収集できる有効な手段として『マンション管理業協会サイトの内の協会会員一覧にて、管理業者を検索し比較すること』をご提案します。

 

1.マンション管理業協会サイトについて

マンション管理業協会は、マンション管理の適正化の推進を目的として活動し、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」第95条に規定する指定法人の指定を受けている一般社団法人です。マンション管理会社のほとんどは、この協会の会員です。

 

マンション管理業協会 トップページ

http://www.kanrikyo.or.jp/index.html

 

マンション管理業協会サイト内の『協会会員一覧』から任意の管理業者を検索すると、その管理会社の詳細情報が出てきます。そこでは、その会社が管理するマンションの戸数や組合数が閲覧できます。その数は自社ホームページに掲載されていないこともあるので、この情報は各社比較検討するのに役立つと思います。

 

協会会員一覧

http://www.kanrikyo.or.jp/cgi-bin/memsearch/memsearch.cgi

 

2.管理会社の従業員数について

また、管理業者検索後の詳細情報には、その会社の従業員数も掲載されています。この従業員数は、マンションのフロント担当者数の数ではありません。フロント担当者数と、自社雇用の管理員数(外部の人材派遣会社から派遣されている自社雇用外管理員は除く)と、社内の会計部門や工事部門等のスタッフすべてを合計した人数です。一般的には、管理戸数に対し、会社規模やその従業員数は比例していくものと考えられます。管理戸数の総数を従業員で割れば、その会社では1組合につきどれくらいのスタッフが関わっているのかが見えてきます。1組合あたりの人数が多いほど、手厚い管理を期待できると言えるかもしれません。

フロント担当者数・従業員数に対し、管理受託組合数が多すぎる管理会社においては、その業務量が多いためにフロント担当者の動きが悪くなりがちです。また、フロント担当者を変更しても、結局、社内の状況は変わらないために後任者も同じように動きが悪く、誰に任せても同じ状況になってしまいます。このような管理会社を選ばないためにも、管理委託費の安さだけを優先せず、管理の質・すなわち人員体制も見極める必要があります。

 

3.管理会社の資格保有者数について

さらに、管理業者検索後の詳細情報には、その会社の従業員の資格保有者数も掲載されています。資格保有者数も自社ホームページに掲載している会社、掲載していない会社様々ですので、各社を客観的に比較することに役立つ情報と思われます。

マンションのフロント担当者が持つべき資格は『管理業務主任者』です。試験の合格率20%程度の国家資格であり、決して容易な試験とは言えず、この資格の保有者はマンション管理の基本知識をきちんと勉強しています。従業員数に対して、管理業務主任者保持者の割合が多いほど、管理業務主任者資格を保有した、優秀なフロントマンに管理を担当してもらえる確率が高まると言えます。マンション理事会の方々が気にされるのは、「新しい管理会社のフロント担当者はきちんと管理の仕事をしてくれるのか?」ということであり、優秀なフロント担当者が多く在籍する管理会社を選びたいはずです。管理業務資格者人数を確認することは、その視点において重要かと思われます。

 

管理業務主任者以外の資格として、一級建築士や二級建築士の在籍数も掲載されています。受託戸数に対し、これら建築系の資格者数が多ければ、見積もりの作成がスムーズであること、工事の提案が適切であることが期待できます。反対に、受託戸数に対しこれらの資格者数が少ないと、自社内での工事部門が多忙を極め、自社内で案件を抱えきれずに、各フロント担当者が社外の業者に見積作成や工事提案を依頼し、結果、対応が遅くなる可能性があるかもしれません。

 

4.まとめ

マンション管理会社を選定するにあたって、『管理委託費が安ければよい』『受託戸数が多ければ信頼できる』『会社規模が大きければ質の良いサービスが受けられる』という視点は、マンションの管理運営を安心して長く任せられる会社を選ぶための絶対的な視点ではありません。そのマンションに求められている最適なサービスを提供してくれる管理会社を選ぶためには、上記の考え方以外の内容も候補の管理会社に対し確認することが重要です。

今回は、マンション管理会社の選定を具体的に検討する方へ向けての記事となりましたが、管理会社変更について検討したことのない方も、今の管理会社から適正なサービスが提供されているのかを考えてみるために、以下の診断をご案内いたします。(以下、2020年3月18日のブログ記事より抜粋)

マンション管理会社を変更するための9つの手順|ステップ①
マンション管理会社を変更するための9つの手順|ステップ②
マンション管理会社を変更するための9つの手順|ステップ③
マンション管理会社を変更するための9つの手順|ステップ④
マンション管理会社を変更するための9つの手順|ステップ⑤
マンション管理会社を変更するための9つの手順|ステップ⑥
マンション管理会社を変更するための9つの手順|ステップ⑦
マンション管理会社を変更するための9つの手順|ステップ⑧
マンション管理会社を変更するための9つの手順|ステップ⑨

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工藤剛

ホームライフ管理株式会社 工藤剛
大学卒業後、一貫して不動産業界に従事し、現在はマンション管理のフロント業務を担当しております。
マンション管理の経験は6年目となり、その間、築50年超えのマンション、20戸以下の小規模なマンション、350戸超えの大型高級タワーマンションなど、大小新旧さまざまなマンションを担当してきました。
各課題・問題に取り組んできた経験を基に、ブログを通じて皆様のお役に立てるような情報を発信して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします!
保有資格:管理業務主任者、宅地建物取引士、損害保険募集人(基礎、火災)
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